<閑話1-2> 「王子と呪い娘 (後編)」
最新の本文修正日は2014年11月10日です。
15歳で成人を迎えた第6王子のアウタルスは双子月に照らされた少女に少し驚くが、その少女は自分の妹で「王家の血の呪い娘」であった。
その顔を見て自分を庇って身罷った母親の姿と重ねる。使命があるというその少女に対して一緒に旅をしようと持ちかけるが哀しい顔をして断られるアウタルス王子であった。
『だから、私は兄様と一緒には行けないの。私には使命があるの。それは、もしかしたら兄様を助ける手立てとなるかもしれないわ』
「そんな、そういわずに一緒に行こうよ。そうだ、名前も考えてたよ『アウメネエ』ってのはどう? 最初の二文字は私の名前からとって、最後の三文字は何処かの民族言葉で妹っていうんだ。私の妹って言う意味だよ!!」
『ありがとう、兄様』
彼女は最後に頭の中に囁いてきた。そして、最後に「さよなら、私の兄様」と、口に出して言い残し常識ではありえない高さを跳ね上がり、城壁を飛び越えて消えていってしまう。
アウタルス王子は唯それを見送る事だけしかできなかった。失意の中、王子はただ呆然と立ち尽くしていたが、夜明け前に用意してあった身の回りの物を持って何時の間にか覚えた乗馬の技巧で馬を駆る。
一見、箱馬車に載った王子を守る傭兵のような姿であった。まさか15歳の王子が馬を駆っているとは想像できる人物はいない。
その証拠に王都を出た西の荒野で襲ってきた盗賊まがいの集団は最初は抵抗した傭兵が諦めて逃げたと勘違いして箱馬車を襲撃して火をつける。その盗賊は逃げた傭兵には目もくれなかった。
逃げた傭兵の姿をしたアウタルス王子と衛士ゾンディウムは一端西に向かって逃げたが途中で東に向う。衛士ゾンディウムの第二の故郷大森林の森人族の故郷に向う為であった。
アウタルス王子はまず第一王子の暗殺から逃れる為に衛士ゾンディウムの親戚の手を借りようと思ったからだ。
何度も進路を変えて追っ手を撒く。次第に大森林に近付くと追っ手は諦めたようで追っ手の姿をアウタルスは見る事はなくなっていた。
一方、兄と別れた『アウメネエ』は無事使命を果たし、それから3ヵ月後。また同じように使命を果たす為に姿を変え、使命を果たす。
そして、自分の幽閉されていた部屋に戻ると力尽き、高熱にうなされる。高熱にうなされながらも必死に兄の名前を呼んでやがて数日の後に力尽き身罷ってしまう。
最後に放った言葉は「アウタルス兄様」と一言だけであったという。
そして、それ以降この部屋は封印されて後日の「王家の血の呪い娘」が誕生するまでひっそりと捨て置かれるのであった。
『アウメネエ』が最後に発した声は兄のアウタルス王子に届いたようである。馬上でひっそり涙を流すアウタルス王子を見て、あの場所で兄妹が再開した姿を見た衛士ゾンディウムは悟る。
衛士ゾンディウムは何も言わずに振り返った自分を諭し、前を向いて同じように涙を流して馬を駆る。旅は始まったばかりで、これから起こる出来事は彼には想像できない。
しかし、やる事は一つ。ただ、唯一の主人であるアウタルス王子を守るだけである。
☆ ☆ ☆
「ここから話は盛上るんだな~、これが」
そういってニコニコしながら話すジョルジョネ大尉を見て、真偽のほどが怪しすぎるよと怪訝な顔をしてしまう俺である。少しまじめな顔をして話をして欲しいものだ! と、は本人に言えない。しかし、更に興味が有るような振りをして話を聞こうと身構える。
「と、いう事で今日は時間となりました。また今度な!」
「え~、折角面白い話じゃないですか。あ、もしかして。その衛士ゾンディウムって、ジョルジョネ大尉のご先祖様かなんかですか?」
「馬鹿言っちゃいけないよ~。我が家は代々人族だぞ‥‥‥。あれ、そうだったよな? 家系図ではそうなっていたはずだぞ‥‥‥」
2章につづく
☆ ☆ ☆
そんな、日常の一コマの話でした。お話の続きはまた今度になります。以下、1章の登場人物をざっと乗せます。余り詳しく乗せるとネタバレになってしまうのでざっとしか紹介しません。
ここまで飽きずにお付き合いしてくださった方々には感謝の念で一杯です。引き続き2章の方も呼んでいただけるありがたいです。
1)リョウジ 本名:阿佐賀 亮二 [男性・25歳・人間]
一応この物語の主人公。気は弱くて力なし、だめだめ主人公ですが2章で活躍できるかは今の所は不明です。一般的な日本人でアラレスティ大陸に行く前は建設現場の監督をしていたようです。
現場が竣工して休みを貰う前日に召喚されて、荒野で拾われ年季奴隷になってしまう。良く分からない奴隷旅団所属中隊に戸惑いながらも色々と模索して今の所生き抜く。猫好きで自称地球のモフリスト代表
2)モルギス 本名:そのままモルギス [男性・17歳・獣人族犬種]
獣人族は名前だけの事が多い。相棒も名前はめったに付けない、大抵は兄様とか姉様、年下だとお前、とかその程度です。
リョウジが召喚された場所近くで見張っていた斥候兵の一人。獣人族の犬種、森狼種の亜種か? 他にも色々といるようだ。(今後は登場させるかは未定です。)
3)ジョルジョネ大尉 本名:スペンサー・ガリル・ジョルジョネ [男性・35歳・人族]
スペンサーが家名で名字を示し、ガリルは貴族姓を表す。
名目上リョウジを拾った奴隷旅団所属、548期西方第秋70中隊(548は年号の下3桁、西方は大陸順路が西周り秋70とは月の名称で秋下月20日を示し中隊が発足した日付を示す)の中隊長で色々とリョウジの世話を手配する。表面は軽薄で何時もニコニコしているが中身はかなり計算高いようだ。サーベルと火属性の魔素術を使い敵を粉砕するのかは今の所不明。
4)アミュネス少尉 本名:アンジス・ガリル・アミュネス [女性・25歳・人族]
ジョルジョネ大尉の部下で伯爵家のご令嬢。許婚をぶち倒して士官学校に入り成績優秀? で、卒業して今に至る。こっちの世界でリョウジのモフリストライバルでもある。彼女は主に獣人族猫種の長い尻尾にしか興味は無い。武器は投槍と長槍を使い、威力はリョウジが驚く威力だそうで、常識はずれ。
5)メルディム護衛分隊長又はメルディム特務少尉 本名:イルソル・メルディム[女性・歳は後日記述、一応は200歳以上らしい・森人族]
長命で人族の10倍程度生きる。太古に大森林に聖地を作った20守護氏族のうちの筆頭守護氏族の娘。
人族から森人族と呼ばれ、外見はリョウジの知っているエルフだが髪は灰色がかった銀髪で後ろに縛っている事が多い。肌は真っ白で透き通った感じの肌をしている。その肌の顔にはオレンジ色の瞳が光ってリョウジが怖がる。
右手に片手剣、左手は魔素術を操る。その他に森人族の特性で空中に浮かせた武器を自在に操り敵を排除する。食事は三日に一度取るだけで良いそうだ。狩には色々仕来りがあって、リョウジはその姿を見て気絶する。
6)ボグフム 本名:ボグフム [女性・35歳・獣人族森狼種] 長命で人族の2~3倍生きる
メルディム護衛分隊長の部下だが彼女は森人族の獣僕の家系で獣人族森狼種の見たまんまの灰色狼が立って歩く姿である。血が濃いほど獣に近いのかも? 森人族に付き従う種族で、今の所メルディム護衛分隊長に20年ほど付き従っている。
聖獣も馬並の灰色狼で主人同様森人族と同じで食事は三日毎に取るらしい。斥候の役割が多く、武器といっても小刀を腰の後ろの部分に両脇にさしている程度。鎧も皮鎧で森人族同様軽装備。
7)クワビム 本名:クワビム[女性・22歳・獣人族森猫種] 長命で人族の2~3倍生きる
同じくメルディム護衛分隊長の部下で獣僕。彼女も獣人族森猫種の見たまんまの黒豹が立って歩く姿である。しかし、リョウジから見ると怖い黒豹ってよりは近所に居る黒猫ちゃんに見えるらしい。まだ幼さがある獣人で、メルディム護衛分隊長に付き従って7年ほどしか立っていない。
彼女は付き添う事を許してくれたメルディム護衛分隊長に絶対服従? で、彼女に近付く悪い虫を許さない。そのおかげで、終始リョウジは付き狙われる。武器はボグフムと同様。聖獣は馬並みの黒虎である。
8)プイホン 本名:プイホン [男性・17歳・獣人族土猫種]
リョウジと同じ年季奴隷だがプイホンの方がリョウジより社会に出て1年先輩の為、リョウジは彼に敬語を使うようにしている。
獣人族土猫種で赤茶虎猫が立って歩いた姿でリョウジは心を癒される対象の一人となっている。年齢の割には幼く感じるが、そういうものだとリョウジは認識している。リョウジの相棒的な存在?
9)ゴナベル奴隷長 本名:ゴナベル [男性・48歳・人族]
一応リョウジの直接じゃないが上司、年季奴隷を取りまとめる存在。他にも色々やっているようだ。プイホンを可愛がり風呂を入れたり、お酒を飲ます事がある。
10)ドルバン車長 本名:ドルバンティス [男性・36歳・人族]
役職が2個あり一つはゴナベル奴隷長の部下で副奴隷長、もう一つは一号馬車の車長である。
一応リョウジが所属する一号馬車の車長で直属の上司。色々と物知りで、何かにつけて質問するリョウジに嫌な顔せず教えてくれる存在。
11)ミリクナ医務長 本名:ミリクナ [女性・16歳・人族]
奴隷旅団所属中隊の医務長をやっていて所属している全員の健康管理を任されている。リョウジが寝込んだ時はリョウジの看病をしたり薬を調合したりしていたようだ。しかし、大きな荒地ミミズを眉一つ動かずに仕留める一面を見せるが結構ドジッ娘属性を持った謎多き少女。
12)ギムネーヤ料理長 本名:ギムネーヤ [女性・40歳・人族]
奴隷旅団所属中隊の料理長で、女性の年季奴隷を指揮して調理やその他の仕事を采配している。何処にでもいる肝っ玉母さん的な存在。
13)カルマイネ料理長補佐 本名:カルマイネ [女性・30歳・人族]
ギムネーヤ料理長の直属の部下で薬と毒物に関して専門家である。薬を作る事とそれを飲んでくれる人を見る事が何よりの喜びの変な癖がある。人見知りが激しくて特に男性の前では上がって中々話が出来ない。
年下のミリクナ医務長の部下なのか、敬語は使って話をするようだ。緊張の糸が切れると毒物テロを起こして、リョウジが被害にあう。あのメルディム護衛分隊長も逃げ出すほどである。
14)料理人見習いメア 本名:メヒナメア [女性・16歳・人族]
ギムネーヤ料理長の弟子で物覚えの良い少女。リョウジとはまだ話した事が無い。
15)ガルボルテ工作長 本名:ドグマァン・ガルボルテ [男性・500歳以上・山人族]
森人族と同様に長命で人族の10倍は生きるらしい。人族同様家名が先に来る。家名って言うか氏族名のほうが正しいのかも。
奴隷旅団所属中隊の工作長をしていて、隊内の武器防具の整備に作業で使う道具や部品等の調達、馬車の整備の指揮もこなすメカニック的な存在。外見はドワーフの高身長版で全身銀色の毛むくじゃらでズボンしか履いていないワイルドな親父である。
過去の事は余り話したがらないが、自分の嫁と娘の話は喜んでするらしい。リョウジのアイデアで鉛筆をエンピッツとして普及させる為に色々と手を尽くしたようだ。リョウジのアイディアを実現する為の重要人物? なのかも。
16)弟子その一 本名:ガァルワンズ・バッフルボム(余り登場させるつもりも無いので乗せます。) [男性・150歳・山人族]
森人族と同様に長命で人族の10倍は生きるらしい。人族同様家名が先に来る。家名って言うか氏族名のほうが正しいのかも。
ガルボルテ工作長の弟子で色々手伝いをしているようだ。150歳なのだがまだ小僧らしい、身長は1.8mもありとても少年には見えない。
17)弟子その二 本名:チーチャス(余り登場させるつもりも無いので乗せます。) [男性・13歳・人族]
ガルボルテ工作長の弟子だが年季奴隷としてガルボルテ工作長の下で働いている。
18)専属御者親子の親 本名:後日記述 [男性・後日・人族]
後日話に出す予定です。主にジョルジョネ大尉が乗っている箱型馬車の御者をしている。
19)専属御者親子の子 本名:後日記述 [男性・後日・人族]
息子で御者見習いをしている。プイホンさんとは割りと気が合うようで、話をしている所をリョウジは目撃する。
20)国王陛下 本名:アラレスティ・バラム・サルフェルス(王子の時の名前)・カシュゲル3世(こっちは即位名) [男性・53歳・人族]
アラレスティ王国・第42代・国王・カシュゲル3世
主に王宮の出来事で登場する時の国王はこの人の事をさす。リョウジはまだ会った事が無い
21)王后 本名:アラレスティ・バラム・アナディア [女性・43歳・人族]
国王カシュゲル3世の正妻で「王家の血の呪い娘」の話に数回出ます。名前は今後も出す予定も無かったのですが一応設定の名前です。
22)王家の血の呪い娘 本名:後日記述 [女性・15歳・人族]
前の「王家の血の呪い娘」は割愛します。
国王カシュゲル3世の正妻の娘で、生まれた時に死んだと発表されたが、召喚者を呼んだ後力尽きて死線を彷徨う。しかし、持ち直して今は王宮の何処かの部屋で療養している。
23)奴隷組合組合長 本名:後日記述 [男性・60歳位・人族]
国王直属の機関である奴隷組合の長である。各地にある奴隷組合の支部や出張所の情報網を使って色々と国王の目と耳になっているようだ。奴隷組合は国王、王国の資産である奴隷の委託管理を行っている。
24)ラグフム護衛副分隊長 本名:イナゲヘア・ラグフム [男性・218歳・森人族]
長命で人族の10倍は生きるらしい。人族同様家名が先に来る。家名って言うか氏族名のほうが正しいのかも。
メルディム護衛分隊長同様森人族であるが彼女より身分が低い氏族の出で、同じ特務少尉だが傭兵の経験年数が少ないため副分隊長をしている。彼のメイン武器は長剣だが謂れは後日記する為控えます。そして片手剣を2丁と複数のクナイを操り敵を打ち破る。寡黙で過去に色々とあったようだ。
25)護衛隊員バル 本名:バールート [男性・30歳・獣人族岩蜥蜴種]
一族の仇である山蜥蜴種の山賊を追って大陸中を旅していたがジョルジョネ大尉に誘われ傭兵になり、彼と同じ奴隷旅団所属中隊の護衛隊員にしてもらっている。ラグとは仲良しでラグの訛った言葉を唯一理解してくれる獣人
26)護衛隊員ラグ 本名:ラグルード [男性・32歳・獣人族森熊種]
ジョルジョネ大尉について歩くバールートが気に入り共に傭兵として旅をしている。自分の事を良くわかってくれているバールートの敵討ちを手伝う事を目標としている。
27)現奴隷旅団本部長ザルツベ大佐 本名:ザルツベ・ガリル・スペッズ [男性・55歳・人族]
少佐時代にジョルジョネ大尉(当時少尉候補生)と出会い、親交が続いている。話のわかる上司。今回の任務に彼を引き上げた。それと共に彼の部下の多くを彼の関係者で固めた。
家名で呼ぶのは上司の為で彼の上司はスペッズ大佐と呼ぶらしい。
これ以降、400年前に登場する人物です。
28)奴隷王 本名:不明 [男性・不明・人族]
400年前の奴隷王事件起こした張本人とされている人物。名前は故意に忘れ去られて、裏で宗教関係が糸を引いていたとされている。
29)第6王子 本名:アラレスティ・バラム・アウタルス [男性・15歳(事件当時は18歳とされている)・人族]
400年前の奴隷王事件を解決した人物。救国の大賢者と救国の勇者と共に今のアラレスティ王国の基礎を作った人物とされている。
プイホンさんが見ていたジョルジョネ大尉が書いた絵本では第5王子と書かれている。
30)衛士ゾンディウム 本名:ゾンディウム [男性・事件当時は30歳とされている・人族と森人族のハーフ]
母親が人族と父親が森人族のハーフの為、氏族名は許されなかった。400年前の奴隷王事件を解決した人物の第六王子の二代目の衛士。終生第六王子アウタルスに付き従う。後日の閑話の話に出てくるのかも。
31)救国の大賢者 本名:不明 [男性・不明・人族]
400年前の奴隷王事件前後に活躍したマルチな魔素術使い。彼が魔素術の基礎を築いたとされる。名前は故意に忘れ去られている。
32)救国の勇者 本名:不明 [男性・不明・人族]
彼も救国の大賢者と同じで400年前に活躍した。名前は故意に忘れ去られているが、リョウジと同じヒノモトから来たと言われている。
☆ ☆ ☆
以上、主な登場人物をざっくり紹介しました。あれ、こいつ抜けてんじゃね? と、思いの方は余り突っ込まないでください。多分1章で登場が終わりか名前の無い役で、それだけの登場だけだと思います。
本文中に出てくるカタカナの名称などは架空のもので、実際のものとはかけ離れているかもです。設定で主人公が翻訳首輪を通して聞えてくるものの表現として捉えてくれるとありがたいです。そのせいで現代日本のカタカナの外来語が通じないようにしています。面倒くさい日本語になって読み難いかもしれませんが、そこらへんは笑って許してくれるとありがたいです。
また細かい設定をここで乗せてしまうと、ネタバレの可能性が出てくるのでここでは省略します。
引き続き2章の1話目を投稿します。




