<1-25> 「年季奴隷と人型重機 (前編)」
最新の本文修正日は2014年11月5日です。
ここの世界の便利な道具である魔技箱の事を教えて貰い、まるで「異次元ポ‥‥‥」いや、やめておこう。そんな事を思った俺ですが、その魔技箱を発明した賢者や勇者の名前を皆は知らない事に驚きを隠せなかった。
だって、国を救った人達だよ? 後世に語り継がれていてもいいよね? 俺の居た所でも有名人は学校で教えていたし、そういうことは宣伝してたよ。またくもって不思議な国だ。
メルディム護衛隊長の事で俺は気を利かせたつもりで彼女の恐ろしい姿を見なかった事にしましたが、その事に黒猫ちゃんのクワビムさんからはっきりとは聞き取れなかったがお礼を言われて少しは敵愾心が低くなったと思っている。徐々に外堀は埋めていけるだろうと考える俺であった。
朝は、何時もより少し早めに目が覚めてしまう。その理由は、この前の早朝に聞いた、むさい男共の掛け声と同じ物が聞えたからだ。
俺はテントの外に出て周囲を見回し、様子を窺う。すると、何時も食堂のテーブルを置いてある所で多くの年季奴隷が木製の剣のようなものと盾をもって剣術?
その剣術のようなトレーニングをしているではないか。その前の方ではゴナベル奴隷長とドルバン車長、後は偉そうな年季奴隷が数人、前で指導しているようだ。
この前、魔獣の話を聞いていた俺は、この奴隷旅団所属中隊が大陸内を巡回して魔獣などを討伐している事を大尉から聞いていたので、その為の訓練だと思ってしまう。その様子を窺っていた俺にゴナベル奴隷長が気付き声を掛けてくる。
「お、起きてしまったかリョウジ。ここは広い所があまり無ぇからな、ここで練習をするしかなかったのだが‥‥‥。お、そうだ、お前もやってみるか?」
「えっ? いや~、俺やった事ないですよ? 剣なんか振り回さなくても良い所だったんで」
「遠慮はしなくても良いぞ~。いっちょやってみろ。この俺が相手してやる!」
「はあ、本当にやった事が無いのですが‥‥‥」
渋々、木製の剣と木製の丸盾を貸してもらう。木製の剣は長さは1.2m位、盾は直径40cm程で左手で握り左腕に革のベルトで固定できる物だ。
ゴナベル奴隷長は剣を振り回しながら剣でこうやって受けるとか、盾でこうやって受け流せとか言うが、俺は剣や盾を振り回す度に次第に息が上がっていき、その上疲労で剣や盾が重く感じてくる。
その内、ゴナベル奴隷長が振り回した盾に盾で身構えたが、その力に負けて思わず尻餅をついてしまい周りの年季奴隷達に笑われてしまう。まあ、こういうことは向いてないし、別に笑われても良いのだけどね。
その尻餅をついた俺に手を貸してくれたドルバン車長が、俺に色々と教えてくれる。
「リョウジ、お前は大した力が無いのだから、ここを使ってね。剣や盾をかわす方が良いよ。まあ、この中隊でお前が剣を持つ状態なら、諦めて降伏や逃げ去ったほうが良いと思うけどね」
そんな事を話しながら、ドルバン車長は自分の頭を指差した。
「いいか、リョウジ。相手の剣から逃げる時は相手の右側に逃げたら駄目だぞ。得物が違ってもそうだ。相手の右手に武器がある時は必ず相手の左側に逃げろ。相手は盾で攻撃してくるがそれは自分の剣でいなせば良い。
右へ右へと逃げると次々と相手の武器が繰り出して来て、逃げる事が出来なくなり追い詰められる。そうだな~、これは部隊の偉い人が必ずとる戦法だ。軍団の頭がやられるとその軍団はお仕舞いだからな、お前も見習うと良い。
それに、相手の左側に逃げる時は必ず擦り足で逃げろよ。こういう風に、踵を少し上げて何時でも飛びぬける姿勢になり、相手に隙を与えないようだ。そうしないと槍等の武器の長い柄で足を払われて転ばらされるからな。まあ、こんな所かな。
ああ、それと剣を受ける時は目を瞑らない方が良いよ。これは慣れだけどね。これらの事を肝に銘じれば戦場に出ても死ぬ事は少なくなるからな」
「はあ、そういうものなんですね。この大陸に人族同士が戦う戦場があるのですか?」
「東の方に行くとな、偶に創世大陸の流れ者がやってきて盗賊まがいの事をやる事があるからな。今のはその人族対策だが、覚えていても損は無い。魔獣はお前には無理だとは分っているが、人族はここを使って弱い物を狙うからね。追々覚えると良い」
彼はそう言って、再び自分の頭を指で指し示す。
そうやって、ドルバン車長は色々事細かく対人戦を指導してくれる。何時かはそういう目に会うかもしれないので俺も真剣に聞いていたが、後半は違う事を考えていた。
この不摂生な体は明日には筋肉痛に悲鳴を上げると言う事だ。間違いなく筋肉痛になると思うが、明日から俺もこの訓練に参加しようと決めた瞬間であった。
だって、帰る日まで生き残らないといけないし、こんな水知らずな土地で死んでしまうなって容認できない。と、言う事は建前で、痛い事は嫌いだが逃げ足を鍛えておかないと、いざという時に逃げられないよね?
戦うなんて真っ平ご免だ! 痛い事は嫌いだが相手の痛い瞬間を見るのも否だ!
そんな事を思いながら、皆の真似をして剣の素振りを見よう見真似でやってみる。しかし、皆の三分の一も終わらないうちにヘタリ込んでしまう。
そんな屁タレな俺はある事に気が付いてしまう。プイホンさんがいないのである。周りを見渡してもいない。その内、今日の練習が終わり明日も剣の練習に参加させて貰う事を話して、テントを覗いたが彼は見当たらなかった。
汗をタオルで拭いて、他の人が水を出してくれたのでそれに相乗りして、顔を洗い歯を磨く。支度が終わり皆が食堂のテーブルを設置しだした頃、体中に葉っぱや何かの蔦のような物を体に付けて配膳の列に並ぶプイホンさんを発見する。
腰の革袋が少し膨らんでいて、何処と無く誇らしいげな表情をしている。俺は、お盆にいつものメニューを載せてもらい彼の隣のテーブルに着いて何処に行っていたか聞いてみる。
「プイホンさん、体に葉っぱを付けて何処に行ってたの?」
「ああ、兄ちゃん。えへへ、ここにも居たんだ~」
彼はそう言って、袋の中身を見せるが俺はその中身を見て後悔する。どう見ても溝鼠のように30cm程の大きさのプイらしい。それが五匹ほど彼の革袋に入っていた。
「おいらね、目が覚めてこいつの鳴声が聞えたから、追掛けて捕まえたんだ~。それでね、十匹捕まえたけど、岩猪のお肉のお礼に、ボグフム姉ちゃんにあげて来たんだ~。後はお昼の休憩の時に焼いて食べるよ!」
「へ~、お礼に渡してきたのか~。あっ、俺は君の分を取るつもりは無いから思う存分に君の分を食べて良いよ」
俺は中身を見てしまった為、彼にそう言って釘を刺しておいた。あの、袋に入った様子を見て食欲はわかない。
彼はちょっとしょぼんとしていたので、もう少し元気になったら貰うから、またその時にと社交辞令を言っておく。すると、少し元気になったのか「その時は腹いっぱい食わしてあげるからね!!」と、言われてしまう。
ああ、公園に居た猫の事を思い出す、餌付けに成功した何匹かの彼らに俺のアパートの玄関扉のドアの前に、蛙や小動物の死骸を嫌がらせの如く置かれた事を思い出す。
噂ではお礼と言われているが一部では「次はお前の番だ!!」と、脅しの文句だといわれていたような。今回は前者なのかもしれない。ああ、プイホンさん、余り張り切らなくて良いですよ?
そんな事を思いながら朝飯を食べて、朝の青汁を空ける。今日は昼にプイが食べれる為か、さっさと皿のスープを空けて何時ものように皿をなめて、スキップをして食器を下げに行くプイホンさんであった。
朝食後は何時ものように道具袋を持って指揮車に向う。他の年季奴隷達は材木の製材作業をする為の準備をしていた。
指揮車に入れて貰うと、何時ものようにいそいそと二人は働いていたので道具袋から日記を出して日々の出来事などを書き記する。今日は冬中月2日。確か、月初めに仮の報酬の奴隷銅貨を支給されるという事を思い出し、今月はどれ位貰えるか思案する。
10枚ぐらい貰えればあの獣人族猫種用の櫛が買える。しかし、全額使ってしまうのもあれだよね? それに報奨金が出るから余り気にしなくてもいいかな?
そんな狸の皮算用をしていて、ニヤケてた俺の顔を見たアミュネス少尉は、しかめっ面で怪訝な表情で俺の顔を見ていた。その視線に俺は気付きハッとなり、イソイソと日記を書く。
ああ、アミュネス少尉から見たら気持ち悪く感じてしまったかな? 「でもね、貴方より早くここの猫種達と仲良くなって貴方より先にモフモフを味わいますからね!!」と、地球のモフリストのプライドを心の中で誇示した俺であった。
やがて、彼らの業務が終わったようで、アミュネス少尉は羊皮紙の束を持って指揮車を出て行ってしまう。俺はジョルジョネ大尉を見てその場所に行って良いか様子を窺う。どうやら、羊皮紙の束をテーブルの上に出してニコニコして俺を見ていたので準備は良いようだ。
俺は彼の向かいの席に付き、計算の準備をして羊皮紙の束を貰い中身をチェックする。そして、何時ものようにジョルジョネ大尉は後ろの席に行って仮眠を始めてしまう。
その後、何時ものように計算が終わる頃目を覚まし、俺の向かいの席に来て計算の終わった物をチェックして、今日の質問は何と問いかけてくる。
「そういえば、ガルボルテ工作長は山人族だったですよね?
その山人族ってどういう人達なんですか? 体は大きいし、あの『ゴーレム』あ、じゃなく『岩人形』あ、その『岩人形』みたいな物を動かして。さぞ、戦闘力はありそうに思えるのですが」
「ああ、山人族の事か~。彼らはかわいそうな人達でな。この前話した四百年前の奴隷王事件の前まではな、鉱山や、工房などで普通に奴隷として働かされてな。見た目はあのなりなんだけどな。
暴力っていうか戦闘は嫌いでな、王国がこの大陸に来た頃は鉱山で採った鉱物を精錬して武器を作ったり道具を作って人族や王国と交易したりしてたんだ。まあ、人族の方が狡賢いからな。次第に彼らを騙して奴隷なんかにしたようだよ。
彼らも、素朴で純朴な人達だったから抵抗しなかったようだけど、人族もそんな彼らには暴力は振るわなかったようだ。まあ、中にはあの、岩人形で抵抗したようだけどな。人族の方が人数任せで波状攻撃して鎮圧したようだけど、基本彼らは従順に鉱山労働や工房などで仕事をしてな」
「へ~、戦闘は嫌いなんですか‥‥‥。俺と同じですね」
「それで、奴隷王事件が解決して先住民との王子が交わした各種盟約のお陰で先住民系の奴隷が開放されたのだけど、彼らは基本自分の研究以外は興味が無くてな。
当時国王になった王子が気にして、彼らに商工業組合に所属して自分達の組合を作る事を進めたんだ。そうすれば、また騙されても商工業組合が彼らを保護するから理不尽な奴隷や騙されてただ働きしなくてすむしな。
そんな事で彼らの多くは奴隷組合ではなく商工業組合に所属して各研究の種類によって自分達の組合を作ってな。ドグマァン工房っていうのはそういう事なんだ。
普通の先住民族は同じ一族で、同じ氏族が固まって集落を作るのだが。彼ら山人族は同じ研究で工房や組合を作って集落を形成してな。変わってるだろ?
それでガルボルテ工作長はドグマァン工房に所属して、王都の商工業組合の工房で自分の研究をしていたそうだ。そうそう、今はこの大陸中の鉱物の調査をするために色々な奴隷旅団所属中隊に入っていたそうだ」
「じゃあ、ひょっとして森人族と同じように長命なんですか?」
「ああ、そうだ。彼らも森人族と同じように見た目の年齢の十倍は歳を取っていると思う。確か、五百歳以上だったと記憶しているが、彼らもその年数になってくると数えるのが面倒で分らないらしい」
「そうなんですか。じゃあ、『リアル』あ、う、実際に奴隷王事件を目撃したのですね」
「ああ、そうだが。その事は彼には聞かないほうがいい。確か、彼の両親が事件に巻き込まれて亡くなっているからな。だけど、今は家族が王都に居て彼と同じ工房で仕事しているから娘さんの話とか女房殿の話をすると、目じりが下がって自慢を始めるかもな。
彼らも森人族と同じで酒が好きだから、酒を酌み交わしながら話すと必ず娘さんと女房殿の話を自慢してくるから聞いてみるといい。しかし、奴隷王事件の事は禁句だからな! それに彼らの酒盛りに付いていく自信があればだけどな。俺はとても彼らの酒豪ップリには付いていけないよ」
「はあ、まあ過去に触れられたくない人に態々聞きませんよ。それに俺は下戸の部類に入る者であの木の『ジョッキ』あ、う、木の器に一杯も酒を飲めば眠ってしまいますから。心配しなくても良いです。
話は変わりますが、ガルボルテ工作長も岩人形を作れるのですよね? どんな感じなんですかね? 一度見たいと思ってまして」
「ああ、それは分るよ。一度、目の前で見ると驚く。しかし、めったに見れるものじゃないからな~。これから山道だし、一度見られる時が来ればいいけどな。あれって結構疲れるから、そんなにしょっちゅう観られるものじゃないしいな~。
そういえば彼の弟子には会ったのかな? 彼は弟子を二人連れていてね、一人は人族で十三歳位だったかな。それともう一人は彼と同族の山人族の少年で、百五十歳位でまだ少年っていうのだから驚くよ。身長も一と五分の四メトあるからあれで少年って行っても説得力ないよな~」
へっ? そういえば一と五分の四メトといったら180cm位か? なんか少数点以下を言う時、分数に直すのはここの流儀なのか? この前のサーベルの時もそうだった事を俺は思い出す。
「あの~、『少数点以下』あ、っていうか、1メト以下の単位を言う時に『分数』あ、にして言うのはここの流儀ですか? ちょっと気になりまして。書類は『一.三四』とか書いてありましたけど」
「ああ、商売をする時の癖でな。流儀では無いけど、町の店で物を買う時なんかは『一.五キラ』の肉の塊を買う時なんかは大抵一キラと二分の一を売ってくれって言うな。朝食のゴダ芋を頼むときはどうしているか分るよな? そういう事だ」
ああ、メンドクセイ。まあ、そういうものだと覚えておくか。
「そういえばそうですね。話は戻りますが、種族属性であの岩人形を作れるのですよね? それは魔素術とは違うのですか?」
「ああ、魔素術とはちょっと違うが魔素陣のような物を地面に書くから似たような物だけど。魔素陣も元は色々な先住民の術を参考にしているから、こっちの魔素陣の方が彼らの術に似ていると表現しても良いかもな。
その魔素陣を地面に描いて発動は自分の血を使うらしい、指の先をちょっと噛んで血を一滴垂らすと発動する。俺も数えるだけしか観た事は無い。あれは、言葉では説明しにくいな~。ただ、あれを見てくれとしかいえない。
それが発動すると、その地盤が盛上って岩人形が生成される。地盤の地質によって強度や材質が違うらしい。俺は普通の岩人形と土人形しか見たことないから分らないけどな。
噂では鉄分を精製して鉄人形という物もあるらしい。そんな物が動いてやってきたら、さすがの俺も困ってしまうけどな。君も見れると良いけど、運が良ければ見れるかもな」
一瞬、重機のような鋼鉄の岩人形を思い浮かべてしまい、その岩人形に乗ってそれを動かすガルボルテ工作長を想像してしまった。ああ、やっぱり、人型重機だ。
「さあ、そろそろ時間だ。製材が終わって。多分、馬車の魔技箱に収納している所を見学できるかもよ。今回は奴隷組合の倉庫には送らないから収納だけだ。その収納だけでも見学するといい。明日はここから移動するから、今日も早く寝たほうがいい」
「はあ。あっ、そういえば。今朝見たのですけど、年季奴隷の人達が剣と盾を持って練習してたのですが、私も参加して良いのでしょうか? ああ、戦闘はしませんが身を守るために、少しはやってみたいと思いまして。駄目なら諦めます」
「へっ? なんだって? ああ、巡回で魔獣や盗賊の類をやるのにある程度訓練しているが‥‥‥。ああ、う~ん、危険だよ? それでも良ければ。ああ、う~ん。まあ、良いか。ゴナベル奴隷長に話しておくよ。ああ、分ったよ。じゃあ、今日はこれでな」
そういって、なんとも煮え切らない返事というか。確認って言うかそんな状態であったジョルジョネ大尉。俺はモヤモヤ感が一杯になり首を傾げながら指揮車の外に出る。
外に出た俺は昨日の製材場に足を運ぶが5分も掛からずその場に付くと驚いてしまう。あれだけあった数百本の丸太が全て製材が終わり、1号馬車と同じような馬車が製材し終わった木材の横に2台横付けされていた。そして、荷馬車の側面に付いている魔技箱の蓋を開けて製材を次々と収納している。
確か、100以上の丸太があったから、一本400kgとして40t以上の木材があるはずなんだが‥‥‥。2台の荷馬車にそれが積めるの? だって10tトラック4台以上だよ? どう見ても今目の前にある荷馬車は2tトラックロング荷台の大きさで6m有るか無いかである。
ドンドン魔技箱に入れているが、車輪がめり込む事もないし、荷台がギシギシ言う事もなかった。ああ、この大陸の便利な道具ってすばらしいね、これだと内燃機関や蒸気機関なんか出来たらどうなるんだろ? 恐ろしくなるよね。そんな事を考えながら見ているとアミュネス少尉が羊皮紙を見ながら何かを指示している。
その横へ行き羊皮紙を覗き見ると、どうやらそれは俺が計算した物らしく、見た事がある数字や俺のあまり上手くない字が目に入ってくる。思わずアミュネス少尉にその事を聞いてみる。
「あの~、それって俺が計算した物ですよね?」
「ああ、これは貴方が計算した重量表よ。貴方は計算が出来て、あの算盤も使えるようね。凄いわ! 私は計算が苦手なの。あのちまちまやっている所を想像すると、背中がかゆくなってね。ああ、お風呂は入ってるわよ! そういう事だから、この件については貴方を大尉と同じように尊敬はしてるつもりよ」
このお嬢様は思った通りのツンデレキャラか~‥‥‥。ああ、視線が合うと赤面しちゃって話せる自身が無いけど、なんか目を見ないで話すと普通に話せるものだね。
「はあ、そうなんですか。それでですね、その魔技箱にいったいどれ位の重量って言うか分量が入るのでしょうね?」
「ちょっと待ってよ~、今のは一万キラで十タランね。この型は一台に五個設置されているから五十タランは積めるかしら。ああ、これは最大性能の八割の重量だから最大重量は‥‥‥。自分で計算するといいわ!」
「はあ、そうなんですか‥‥‥。最大で十二タランと二分の一ですか。結構積めますね、全部で六十二タランと二分の一ですね」
俺は計算をつい暗算でして彼女に数値を話してしまう。アミュネス少尉はその俺の答えを聞いて、眉間をピクピクさせ顔が引きつりだす。
そして、後は忙しいからまた後でと話をぶった切り俺が計算した重量表とにらめっこして、積み込み作業をしている年季奴隷に向って指示を出し始める。
アミュネス少尉はそんなお茶目な機能を搭載したツンデレタイプのお嬢様のようで、新たな一面を垣間見る事が出来る。
そんな事で、女性とそつなく会話出来た事に満足してしまう俺であった。
後編へつづく
次話は11/3の夜に投稿します。




