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世界に残された記録

第97話 世界に残された記録

太陽宮から戻った。

翌日。

アルカディア。

臨時会議室。

円卓の中央に。

複数の魔法陣が浮かんでいる。

六星同盟。

主要人物たちが。

魔導通信によって集まっていた。

教皇。

アン。

アステリア王。

各国の代表。

アルカディアの研究者たち。

そして。

僕とベラ。

『ソル』

最初に。

僕を呼んだのは。

アンだった。

「何?」

『大丈夫?』

「うん」

『本当に?』

「本当に」

アンの後ろ。

セラもいる。

『怪我はありませんか?』

「ないよ」

『ベラ様』

「何じゃ」

『危険なことは』

「しておらぬ!」

『まだ何も聞いていません』

「……」

僕は。

笑いそうになる。

「ベラ」

一拍。

「怪しい」

「ソルまで言うな!」

教皇の隣。

アルヴィスが。

小さく咳払いする。

『では』

一拍。

『報告をお願いします』

空気が変わる。

僕は。

頷いた。

「はい」

太陽宮で。

起きたこと。

アステリオン・アウレストラ。

僕が。

アウレストラ王族直系の血を。

引いていたこと。

アークトゥルスも。

同じ血筋だったこと。

《天曜》。

太陽。

そして。

天使。

全て。

話した。

最後。

僕は。

胸へ手を当てる。

「《天核》」

全員の視線が。

集まる。

「アウレストラ王家が」

「……」

「千百年間」

一拍。

「守ってきたものです」

アンが。

僕を見る。

『それを』

「……」

『ソルが?』

「うん」

『……』

「アン?」

『なんで』

「え?」

『なんで行くたびに』

一拍。

『大事なもの増やして帰ってくるの?』

「僕に言われても!」

ベラが笑う。

「そのうち」

「……」

「国でも持って帰るのではないか?」

「持って帰らないよ!」

『ベラ』

アンの声が。

低くなる。

『冗談に聞こえない』

「何故妾が怒られる!」

少しだけ。

空気が緩む。

でも。

話は。

ここから。

「アステリオンは」

一拍。

「最後に言いました」

全員。

僕を見る。

「世界には」

「……」

「まだ」

一拍。

「千百年前の記録が残ってるって」

アルカディアの研究者が。

反応する。

『他国に?』

「分かりません」

僕は。

首を振る。

「でも」

「……」

「アウレストラと一緒に戦った人」

「……」

「記録を託された人」

一拍。

「そういう人たちが」

「……」

「いたみたいです」

教皇が。

考え込む。

『つまり』

「はい」

僕は。

頷く。

「今度は」

一拍。

「世界中から」

「……」

「千百年前の記録を探したい」

静寂。

最初に。

頷いたのは。

アンだった。

『魔族領も調べる』

「いいの?」

『当然』

アンが答える。

『人間だけが』

「……」

『千百年前から』

一拍。

『この世界にいたわけじゃない』

ベラの表情が。

変わる。

「確かにの」

『魔族側にも』

「……」

『古い一族や』

「……」

『伝承が残っている』

セラも。

頷く。

『魔王城の地下書庫にも』

「……」

『現在ほとんど解読されていない』

一拍。

『古文書があります』

アステリア王も。

続く。

『我が国も』

「……」

『王家の古文書を』

一拍。

『改めて調べよう』

各国の代表も。

同意する。

アルヴィスが。

まとめる。

『では』

一拍。

『六星同盟として』

「……」

『各国に』

一拍。

『千百年前の記録の再調査を要請します』

全員。

頷く。

その時。

教皇が。

口を開く。

『私からも』

一拍。

『一つ』

「何ですか?」

『五百年前の記録についても』

「……」

『改めて』

一拍。

『調べたいと思います』

「五百年前?」

『はい』

教皇の視線。

ベラへ。

『聖女ルナ』

ベラの表情が。

変わる。

そして。

『賢者アークトゥルス』

僕も。

反応する。

『彼らが』

「……」

『千百年前のアウレストラについて』

一拍。

『どこまで知っていたのか』

「確かに」

アークトゥルス。

知っていた。

星の声。

《天曜》。

王族の血。

なら。

五百年前。

どこまで。

辿り着いていた?

ベラが。

腕を組む。

「ルナも」

「……」

「何か知っておった可能性はある」

『私も』

「……」

『そう考えています』

教皇が答える。

『これまで我々は』

「……」

『五百年前の記録として』

一拍。

『読んできました』

そして。

『ですが』

「……」

『千百年前の出来事を知った今なら』

一拍。

『違う意味が』

「……」

『見えるかもしれません』

「じゃあ」

僕が言う。

「セレフィアは」

一拍。

「ルナの記録」

『はい』

「アルカディアは」

「……」

「アークトゥルス」

アルカディア代表が。

頷く。

『我々が担当します』

「魔族領は」

アンが答える。

『古代魔族の記録』

少しずつ。

役割が決まる。

アステリア。

ヴァルガルド。

その他の国々も。

それぞれ。

古い記録を。

調査する。

世界会談で。

結ばれた六星同盟。

初めて。

同じ一つの目的へ。

動き始める。

「それと」

アンが。

僕を見る。

「何?」

『《天核》については』

表情が。

真剣になる。

『広めない方がいい』

ベラが。

頷く。

「妾も同意じゃ」

「天使に知られるから?」

「それもある」

ベラが答える。

「じゃが」

一拍。

「人間にも」

「……」

「魔族にも」

「……」

「強い力を欲しがる者は」

一拍。

「必ずおる」

僕は。

胸へ手を当てる。

太陽。

天使が。

恐れた力。

「分かった」

教皇も。

頷く。

『《天核》の存在を知る者は』

一拍。

『必要最低限に留めましょう』

その日の会議で。

六星同盟の。

新たな方針が決まった。

千百年前。

アウレストラ帝国。

滅亡の時代。

世界中に残された。

記録を探す。

そこに。

天使へ対抗するための。

何かが。

残されているかもしれない。

そして。

僕たちは。

まだ知らなかった。

その調査が。

五百年前の英雄たちについても。

僕たちが知らなかった。

事実を。

浮かび上がらせることを。


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