表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/43

海を越えて

第40話 海を越えて

アルデバランの塔を出てから、僕たちはヴァルガルドの街へ戻っていた。

街は相変わらず雪に覆われている。

けれど。

昨日までとは、少しだけ違って見えた。

アルデバランはもういない。

その事実が、まだ胸の奥に残っている。

「……次は、聖女ルナの塔ですね」

アンタレスが静かに口を開く。

「うん」

僕は頷いた。

「アルデバランが、そこへ行けって言ってた」

ベラが腕を組む。

「しかし、ルナの塔がどこにあるのかは分かっておるのか?」

「……それが」

僕は少し黙る。

「分からない」

「分からんのかい」

「だって、アルデバランは場所までは教えてくれなかったし」

「まったく……」

ベラが呆れたように息を吐く。

アンタレスが少し考える。

「調べる必要がありますね」

「うん」

僕たちはヴァルガルドの街を歩きながら、情報を集めることにした。

まず向かったのは、冒険者ギルドだった。

受付で聖女ルナの塔について尋ねる。

「聖女ルナの塔、ですか?」

受付嬢が少し驚いた顔をする。

「はい。どこにあるのか知りたいんです」

「それなら、ヴァルガルド国内にはありませんよ」

「……え?」

思わず聞き返す。

「聖女ルナの塔は、海の向こうにあると言われています」

「海……」

僕は顔を上げた。

「別の大陸です」

「別の……大陸」

想像していなかった言葉だった。

ベラも少し目を細める。

「なるほどのう」

「何か知ってるの?」

僕が尋ねる。

「いや。五百年も経てば、世界の地理も変わっておるからのう」

ベラはそれ以上は何も言わなかった。

受付嬢が地図を広げる。

「ここから南へ向かえば港町があります。そこから船が出ています」

「船でどのくらい?」

「海が穏やかなら、数日です」

「数日……」

僕は地図を見る。

「じゃあ、そこから船に乗ればルナの塔へ行ける?」

「正確には、別大陸へ渡ってからさらに移動することになりますね」

思ったより遠い。

それでも。

行くしかない。

「分かりました」

僕は頷いた。

ギルドを出ると、三人で街を歩いた。

「船に乗るとなると……」

アンタレスが呟く。

「お金が必要ですね」

「……」

僕たちは顔を見合わせた。

「いくら持ってたっけ?」

「少なくとも、船賃を払えるほどはありません」

アンタレスが答える。

「やっぱり?」

「はい」

ベラが頭を抱える。

「また金の問題か……」

「仕方ないよ」

僕は苦笑する。

「だったら、稼ごう」

「どうやって?」

「冒険者ギルドで依頼を受ける」

僕はギルドの方向を見る。

「船に乗るためのお金を稼ぐんだ」

アンタレスが頷く。

「それが一番確実ですね」

「うむ」

ベラも頷いた。

「ならば、さっさと稼ぐぞ」

「やる気満々だね」

「海を渡るのじゃろう?」

ベラが胸を張る。

「ならば、船賃くらい自分たちで用意してみせろ」

「はいはい」

僕たちは再びギルドへ向かった。

掲示板には、いくつもの依頼が貼られている。

討伐。

採取。

護衛。

荷物の運搬。

その中から、僕たちは報酬と難易度を見比べていく。

「これなら……」

僕が一枚の依頼書を手に取る。

「報酬も悪くない」

「では、それにしましょう」

アンタレスが頷く。

「一つじゃ足りないと思うけど」

「なら、もう一つじゃな」

ベラが別の依頼書を取る。

「これも受けるぞ」

「ちょっと待って。二つ同時にやるの?」

「船に乗るには金がいるのであろう?」

「そうだけど……」

ベラが僕を見る。

「ならば働け」

「……はい」

こうして。

僕たちは次の旅のために、依頼を受けることになった。

聖女ルナの塔へ向かうために。

海を越える。

その先に、何が待っているのかは分からない。

ただ。

アルデバランが、僕たちに残した言葉だけは分かっている。

――聖女ルナの塔へ行け。

なぜ、そこへ行く必要があるのか。

なぜ、アルデバランは最後にルナの名前を出したのか。

その答えを知るために。

僕たちは、まず船に乗るための金を稼ぐことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ