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157/159

限界の先

第157話 限界の先

ドンッ!!

ガレスの身体が。

また。

吹き飛んだ。

地面。

跳ねる。

一度。

二度。

三度。

止まる。

「……」

誰も。

声。

出さない。

さっきまで。

模擬戦。

そう思っていた。

でも。

今は。

違う。

少なくとも。

見ている僕には。

そう見えた。

「ガレス」

アン。

静か。

呼ぶ。

返事。

ない。

地面。

倒れたまま。

動かない。

「立ちなさい」

「……」

少し。

指。

動く。

そして。

腕。

地面。

つく。

「っ……」

ガレス。

身体。

起こす。

口元。

血。

額。

切れてる。

呼吸。

荒い。

左腕。

ほとんど。

上がってない。

「……まだ」

立つ。

膝。

震える。

「まだ……やれます」

アン。

見る。

表情。

変わらない。

「では」

赤い魔力。

上がる。

「来なさい」

レオンハルト。

一歩。

出る。

「アンタレス陛下」

アン。

視線だけ。

向ける。

「何でしょう」

「これ以上は危険です」

「はい」

「……はい?」

「危険です」

普通に。

認めた。

レオンハルト。

少し。

言葉。

詰まる。

「なら」

「ですが」

アン。

ガレス。

見る。

「止めません」

「……」

「ガレスには《四熾》を単独で討伐できるほど強くなってもらいます」

一拍。

「安全な訓練だけで」

「そこへ到達できるとは思っていません」

レオンハルト。

眉。

寄せる。

「しかし」

「レオンハルト」

今度。

ベラ。

声。

出す。

ずっと。

ニヤニヤ。

してる。

最初から。

ガレス。

吹き飛ばされても。

血。

流しても。

ずっと。

楽しそう。

「止めるでない」

「ベラ殿」

「見ておれ」

赤い瞳。

ガレス。

見る。

「今」

一拍。

「あやつは壁に手を掛けておる」

「壁?」

僕。

聞く。

「そうじゃ」

ベラ。

笑う。

「今までのガレスでは届かぬ場所」

「そこへ」

「無理やり手を掛けようとしておる」

僕。

ガレス。

見る。

立ってる。

でも。

本当に。

ギリギリ。

「あれで?」

「だからこそじゃ」

ベラ。

目。

細める。

「余力があるうちは」

「己が限界など見えぬ」

アン。

右手。

上げる。

赤。

集まる。

「ガレス」

「……はい」

「今のあなたでは」

一拍。

「カシエルには勝てません」

ガレス。

黙る。

「おそらく」

「一人では、長時間戦線を維持することすら難しい」

「……」

「《四熾》は」

アン。

赤い魔力。

強くなる。

「あなたが疲れていても」

「傷ついていても」

「骨が折れていても」

一拍。

「待ってはくれません」

ガレス。

拳。

握る。

「仲間が来ることを前提にしないでください」

「助けてもらうことを前提にしないでください」

「あなたは」

赤い瞳。

ガレス。

射抜く。

「一人で倒すのでしょう?」

「……」

ガレス。

笑う。

少し。

「言いましたね」

「私が言いました」

「……そうでした」

次の瞬間。

ガレス。

踏み込む。

「おおおおッ!!」

真正面。

アン。

向かう。

拳。

振るう。

アン。

避ける。

ガレス。

身体。

回す。

蹴り。

受けられる。

そのまま。

肘。

アン。

腕。

止める。

「遅いです」

赤。

弾ける。

ドンッ!!

「がっ……!」

腹。

まとも。

入る。

ガレス。

身体。

浮く。

でも。

倒れない。

アン。

追う。

一撃。

肩。

二撃。

脇腹。

三撃。

胸。

「ぐっ……!」

「ガレス!」

僕。

声。

出る。

最後。

アン。

掌。

前。

「《紅雷》」

赤い雷。

至近距離。

爆ぜる。

ドォンッ!!

ガレス。

吹き飛ぶ。

地面。

大きく。

抉れる。

煙。

上がる。

「……」

エリシア。

表情。

変わる。

「これは……」

カイル。

笑ってない。

レオンハルト。

もう一度。

前。

出ようとする。

ベラ。

手。

上げる。

止める。

「まだじゃ」

「しかし!」

「見ろ」

煙。

薄れる。

ガレス。

倒れてる。

動かない。

「……ガレス?」

僕。

呼ぶ。

返事。

ない。

アン。

歩く。

ゆっくり。

近づく。

「ガレス」

「……」

「立ちなさい」

「アン」

僕。

思わず。

呼ぶ。

アン。

止まらない。

「立ちなさい」

「……」

「あなたが倒れた時」

一拍。

「誰が世界連合軍を率いるのですか」

指。

少し。

動く。

「あなたが倒れた時」

「誰が兵を前へ進ませるのですか」

ガレス。

腕。

地面。

つく。

「あなたが」

アン。

続ける。

「《四熾》を前にして倒れた時」

一拍。

「その後ろにいる者たちは」

「誰が守るのですか」

「……っ」

ガレス。

身体。

起こす。

片膝。

つく。

血。

地面。

落ちる。

「そうです」

アン。

見る。

「立ちなさい」

ガレス。

歯。

食いしばる。

立つ。

「……まだ」

膝。

震える。

「まだ……」

魔力。

揺れる。

「終わって……ません」

アン。

初めて。

ほんの少し。

笑う。

「なら」

赤。

広がる。

「証明してください」

次。

アン。

消える。

ガレス。

目。

見開く。

反応。

できない。

腹。

衝撃。

「がっ……!」

身体。

折れる。

アン。

背中。

回る。

蹴り。

ガレス。

地面。

叩きつけられる。

ドンッ!!

結界。

震える。

「……っ」

僕。

拳。

握る。

「ベラ」

「何じゃ」

「これ、本当に大丈夫?」

「大丈夫ではない」

「え?」

即答。

「大丈夫ではない?」

「うむ」

「じゃあ止めようよ!」

「嫌じゃ」

「なんで!?」

ベラ。

まだ。

ニヤニヤ。

「面白くなってきたからじゃ」

「理由が最悪だよ!」

その時。

ガレス。

魔力。

変わった。

「……?」

僕。

ガレス。

見る。

倒れてる。

でも。

魔力。

消えてない。

逆。

少しずつ。

大きく。

なってる。

「何これ」

カイル。

目。

細める。

「ガレスの魔力……」

エリシア。

息。

呑む。

「増えてる?」

ベラ。

笑み。

深くなる。

「来たか」

アン。

止まる。

ガレス。

指。

地面。

食い込む。

「……まだ」

低い。

声。

「足りない」

立つ。

「俺は……」

ふらつく。

「総隊長だ」

一歩。

「魔王軍の」

一歩。

「軍隊長だ」

魔力。

膨れ上がる。

「次の……」

一拍。

「魔王になるって」

ガレス。

顔。

上げる。

「言われたばっかりだろうが……!」

ドンッ!!

魔力。

爆発。

地面。

ひび。

走る。

選抜組。

何人か。

後ろ。

下がる。

「……!」

レオンハルト。

目。

見開く。

アン。

赤い瞳。

ガレス。

見る。

ベラ。

笑う。

「そうじゃ」

ガレス。

右手。

前。

出す。

魔力。

そこ。

集まる。

黒。

深い。

魔族。

魔力。

凝縮。

形。

作る。

「……何?」

僕。

見上げる。

大きい。

剣。

いや。

大剣。

ガレスの身体。

覆うほど。

巨大。

魔力。

固まり。

一本。

大剣。

形成。

される。

地面。

落ちる。

ドォンッ!!

重い。

音。

「……」

ガレス。

柄。

握る。

片手。

無理。

両手。

それでも。

重そう。

でも。

持ち上げる。

「ガレス」

アン。

見る。

「それは?」

「……知りませんよ」

「え?」

「今」

ガレス。

血。

拭う。

「出ました」

僕。

思わず。

「ガレスも!?」

全員。

僕。

見る。

「何じゃ」

ベラ。

「いや」

一拍。

「僕だけじゃないんだなって」

「一緒にするな」

ガレス。

即答。

「ひどい」

カイル。

笑う。

少し。

空気。

戻る。

でも。

ガレス。

大剣。

構えた瞬間。

また。

変わる。

魔力。

大剣。

流れ込む。

刃。

さらに。

大きく。

濃く。

なる。

ベラ。

目。

細める。

「ほう」

アン。

笑う。

ほんの少し。

「それです」

ガレス。

息。

荒い。

「何が……ですか」

「あなたが」

一拍。

「今まで届かなかった場所へ進むための力です」

ガレス。

大剣。

握る。

「だったら」

一歩。

地面。

沈む。

「使わせてもらいますよ」

アン。

構える。

「来なさい」

ガレス。

走る。

最初。

遅い。

大剣。

重い。

一歩。

二歩。

でも。

三歩目。

魔力。

爆発。

加速。

「おおおおおおッ!!」

地面。

砕く。

一直線。

アン。

向かう。

大剣。

後ろ。

引く。

「魔王の座を……!」

アン。

赤い魔力。

前。

集める。

「奪いに来いって言ったのは!!」

ガレス。

跳ぶ。

大剣。

頭上。

「アンタレス様でしょうがあああああッ!!」

振り下ろす。

アン。

逃げない。

真正面。

右手。

上げる。

赤い魔力。

激突。

ドォォォォォンッ!!!

結界。

大きく。

揺れる。

地面。

沈む。

衝撃。

僕たち。

襲う。

「っ!」

エリシア。

《聖壁》。

展開。

僕。

カイル。

その後ろ。

入る。

選抜組。

それぞれ。

防御。

砂埃。

舞う。

中央。

ガレス。

大剣。

アン。

赤い魔力。

ぶつかってる。

「おおおおおッ!!」

ガレス。

押す。

アン。

足元。

地面。

割れる。

一歩。

後ろ。

「……!」

さらに。

ガレス。

魔力。

込める。

二歩。

アン。

下がる。

僕。

目。

見開く。

「アンが」

カイル。

笑う。

「押されてる」

三歩。

アン。

下がる。

ガレス。

笑う。

「……三歩」

アン。

ガレス。

見る。

「はい」

「さっきより」

ガレス。

血。

流しながら。

笑う。

「二歩増えましたよ」

アン。

少し。

笑う。

「見事です」

次の瞬間。

赤い魔力。

変わる。

「ですが」

ガレス。

目。

見開く。

「まだ」

一拍。

「足りません」

《紅雷》。

至近距離。

大剣。

伝う。

赤い雷。

ガレス。

身体。

走る。

「がっ――!!」

爆発。

大剣。

弾かれる。

ガレス。

身体。

空。

舞う。

落ちる。

ドンッ。

今度。

動かない。

大剣。

魔力。

崩れる。

消える。

「……」

静か。

アン。

息。

吐く。

ガレス。

見る。

「ガレス」

返事。

ない。

「……」

アン。

少し。

しゃがむ。

確認。

「生きています」

僕。

「その確認が必要な時点でおかしくない!?」

アン。

僕。

見る。

「大丈夫です」

エリシア。

すぐ。

ガレス。

駆け寄る。

膝。

つく。

身体。

確認。

顔。

変わる。

「……大丈夫ではありません」

「え」

レオンハルト。

駆け寄る。

「状態は」

「魔力枯渇」

エリシア。

手。

当てる。

「全身に損傷」

「骨も複数」

一拍。

「内臓にも負担が出ています」

僕。

アン。

見る。

「半殺しじゃん」

アン。

少し。

目。

逸らす。

「……限界を越えてもらう必要がありましたので」

「だからって」

その時。

ベラ。

「ふふ」

笑う。

「ふふふ」

ずっと。

ニヤニヤ。

してた。

さらに。

楽しそう。

「ベラ?」

「いや」

ガレス。

見る。

「よいものを見た」

レオンハルト。

「ベラ殿」

「何じゃ」

「笑っている場合ではありません」

「生きておるじゃろ」

「そういう問題ではありません」

「お主ら、そればかりじゃな」

ベラ。

周囲。

見る。

そして。

何もない場所。

向かって。

一言。

「シノブ」

「はい」

「うわっ!?」

僕。

振り向く。

いつの間に。

少し。

離れた場所。

黒い装束。

シノブ。

立ってる。

「いたの!?」

「先ほどから」

「全然気づかなかった」

「隠密ですので」

「そうだけど」

ベラ。

シノブ。

見る。

「教皇を連れてこい」

「……」

シノブ。

ガレス。

見る。

エリシア。

治癒。

続けてる。

レオンハルト。

補助。

入ってる。

「治癒班ではなく?」

「無理じゃ」

即答。

「……」

僕。

ベラ。

見る。

「無理?」

「うむ」

「何が?」

ベラ。

ガレス。

顎。

示す。

「今のガレスは」

一拍。

「普通の治癒術師では完全に治しきれぬ」

静か。

「教皇を連れてこい」

シノブ。

少し。

間。

「承知しました」

消える。

本当に。

一瞬。

「……」

僕。

アン。

見る。

「アン」

「はい」

「教皇じゃないと治せないって」

「……そうですね」

「そうですね、じゃないよ」

カイル。

さすがに。

苦笑。

「訓練初日だぞ」

エリシア。

治癒。

続けながら。

アン。

睨む。

「次からは」

一拍。

「もう少し加減してください」

アン。

少し。

考える。

「ですが」

「してください」

「……はい」

強い。

アン。

負けた。

ベラ。

笑う。

「アンタレス」

「何ですか」

「お主」

一拍。

「妾より酷いのではないか?」

僕。

すぐ。

頷く。

「僕も思った」

カイル。

「俺も」

レオンハルト。

「否定はしません」

アン。

「……」

全員。

アン。

見る。

「必要な訓練です」

僕。

倒れてる。

ガレス。

見る。

「教皇じゃないと治せない状態にするのが?」

「……」

アン。

黙った。

ベラ。

腹。

抱える。

笑う。

しばらく。

して。

遠く。

人影。

見える。

シノブ。

その隣。

教皇。

さらに。

治癒術師たち。

教皇。

こちら。

来る。

そして。

地面。

倒れてる。

ガレス。

見る。

次。

アン。

見る。

「……アンタレス」

静か。

ものすごく。

静か。

アン。

少し。

姿勢。

正す。

「はい」

「これは」

一拍。

「訓練ですよね?」

「はい」

「戦争ではありませんね?」

「……はい」

教皇。

ため息。

つく。

「まず治します」

ガレス。

隣。

膝。

つく。

淡い。

光。

広がる。

エリシア。

レオンハルト。

少し。

下がる。

教皇。

治癒。

始める。

光。

ガレス。

全身。

包む。

ベラ。

まだ。

ニヤニヤ。

「初日から派手にやったの」

僕。

ベラ。

見る。

「次、誰?」

「何じゃ」

「これ見た後にやりたい人いる?」

選抜組。

見る。

全員。

目。

逸らす。

カイル。

さっきまで。

楽しそう。

だった。

今。

ちょっと。

真顔。

エリシア。

治癒。

見てる。

レオンハルト。

ガレス。

見る。

その目。

変わってる。

怖がってる。

というより。

覚悟。

決めたような。

顔。

アン。

そんな。

全員。

見る。

「今日」

静か。

言う。

「ガレスは」

一拍。

「自分の限界を一つ越えました」

教皇。

治癒。

続ける。

「あの大剣」

「今までのガレスにはなかった力です」

ガレス。

意識。

ない。

でも。

確かに。

最後。

アン。

三歩。

下げた。

「次は」

アン。

全員。

見る。

「皆さんです」

選抜組。

固まる。

僕も。

「やっぱり?」

「当然です」

ベラ。

笑う。

「安心せい」

一拍。

「死なぬ程度には加減してやる」

僕。

倒れてる。

ガレス。

見る。

「その言葉」

一拍。

「今日一番信用できない」

ベラ。

また。

笑った。

世界連合軍。

強化訓練。

初日。

総隊長ガレス。

限界突破。

そして。

半殺し。

僕たちは。

ようやく。

理解した。

この訓練。

たぶん。

思っていたより。

ずっと。

大変。


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