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140/148

世界連合軍part2

第140話 世界連合軍

第二防衛線。

その後ろから、次々と戦力が集まってくる。

アステリア王国軍。

ヴァルガルド防衛軍。

カグラ皇国先鋭部隊。

魔王軍先行部隊。

そして、国境を越えたアルカディア魔法部隊もこちらへ向かっている。

人間。

魔族。

聖騎士。

冒険者。

国も、種族も、戦い方も違う。

それが今。

一つの防衛線に並んでいた。

「……すごい」

僕が呟くと、カイルが笑う。

「見惚れてる場合じゃねえぞ」

「分かってる」

正面。

ベラの右手で黒炎が膨れ上がる。

さっきまでとは違う。

大きい。

「来ます」

エリシアの声。

同時。

魔道通信が開いた。

『全隊、聞け!!』

ガレス。

『魔王軍地上第一陣、現地到着!!』

遠くから地響き。

魔族の部隊が第二防衛線へ流れ込んでくる。

その先頭。

ガレス。

「来た」

ガレスは止まらない。

そのまま前線中央まで進み、全体を見渡す。

人間の軍。

魔族の軍。

聖騎士。

冒険者。

一度だけ息を吸う。

『この時点より!!』

声が戦場へ響く。

『世界連合軍総隊長として、俺が前線指揮を引き継ぐ!!』

『了解!!』

レオンハルトが即座に応じる。

『現在、第二防衛線を構築済み!住民避難は継続中!第一防衛線は撤退完了しています!』

『分かった!』

ガレスがベラを見る。

『敵は一名!』

一拍。

『だが、数で考えるな!!』

空気が変わる。

『相手は大天使級個体を想定した敵役!元魔王ベラトリクス様だ!!』

ベラ。

少し笑う。

『様はいらぬぞ、ガレス』

『無理です!!』

「そこは崩さないんだ」

僕が言う。

カイルも笑う。

「元上司みたいなもんだろ」

『聞こえているぞ』

「すみません」

怖い。

ガレスは気にせず続ける。

『ヴァルガルド!正面防御を維持!』

『了解!!』

『セレフィア聖騎士団!左右へ展開!ヴァルガルドの側面を守れ!』

『承知!!』

『カグラ先鋭部隊!敵の死角へ回れ!攻撃より観測と攪乱を優先!』

シノブが短く答える。

『承知』

『魔王軍飛行部隊!上空を取れ!』

『はい!!』

次々。

違う国の部隊が動く。

迷わない。

ガレス。

本当に全部に命令してる。

『《黒翼》!』

「うん!」

「おう!」

「はい!」

『お前らは自由に動け!』

カイルが笑う。

「一番雑じゃねえか!」

『通常部隊じゃ止められない攻撃を止めろ!細かい動きまで俺が指示する必要あるか!』

「ねえな!」

『なら動け!!』

「おう!!」

カイル。

槍を構える。

僕も《明星》へ手を置く。

エリシアが一歩、前へ。

その瞬間。

ベラ。

黒炎を掲げた。

『話は終わったか?』

ガレスが正面を見る。

『待ってくださってたんですか?』

『まさか』

ベラが笑う。

『揃うのを見ておっただけじゃ』

「それ待ってたって言うんじゃ……」

僕が呟く。

ベラの視線がこっちへ来る。

黙る。

『では』

黒炎。

さらに膨らむ。

『始めるぞ』

来る。

「エリシア!」

「はい!」

《聖壁》。

僕たちの前へ展開。

同時。

ヴァルガルドの盾兵が盾を地面へ突き立てる。

聖騎士団。

結界。

重なる。

アルカディアはまだ来てない。

今ある戦力だけで受ける。

ベラ。

腕を振る。

巨大な黒炎。

真正面。

――ドォォォォォン!!

世界が黒く染まった。

「っ……!」

《聖壁》が震える。

エリシア。

踏ん張る。

「まだです!」

「右腕!」

星を集中。

《星律》。

エリシアの《聖壁》が強くなる。

その後ろ。

ヴァルガルド。

さらに耐える。

『押し返すな!!』

ガレスの声。

『受け流せ!!正面で全部受ける必要はねえ!!』

ヴァルガルドの盾列が僅かに角度を変える。

黒炎。

左右へ流れる。

そこ。

聖騎士団の結界が受ける。

「……!」

一つじゃない。

ヴァルガルドが受ける。

セレフィアが逃がす。

エリシアが中央を補強。

僕の星が支える。

黒炎。

消える。

防衛線。

残ってる。

『よし!!』

ガレス。

叫ぶ。

『反撃!!』

上空。

魔王軍。

一斉に降下。

左右。

カグラ。

動く。

後方。

アステリア王国軍。

弓。

魔法。

放つ。

一気。

ベラへ。

『ほう』

ベラ。

黒炎。

身体へ纏う。

《黒纏》。

魔法。

弾く。

矢。

焼く。

魔王軍の攻撃を避け、そのまま前へ出る。

「カイル!」

「おう!!」

右脚。

星。

集中。

カイル。

飛ぶ。

槍。

突く。

ベラ。

黒炎。

腕で受ける。

――ガンッ!!

「まだだ!!」

カイル。

押す。

ベラの足。

僅かに止まる。

そこ。

シノブ。

背後。

刀。

振る。

ベラ。

身体を捻る。

避ける。

反撃。

黒炎。

シノブ。

もういない。

「速っ」

僕。

次を見る。

エリシア。

左。

走る。

星。

左脚。

移動。

加速。

細剣。

ベラの肩。

狙う。

黒炎。

防ぐ。

僕。

踏む。

《彗星》。

右脚。

一気。

距離。

詰める。

《明星》。

振る。

ベラ。

僕を見る。

黒炎と刀。

衝突。

「っ!」

重い。

でも。

一人じゃない。

カイル。

右。

エリシア。

左。

シノブ。

後ろ。

上空。

魔王軍。

さらに。

遠距離。

アステリア。

「今!」

僕が叫ぶ。

全員。

同時。

離れる。

次の瞬間。

魔法。

矢。

ベラへ集中。

爆発。

土煙。

広がる。

カイル。

着地。

「どうだ?」

「それ言うと大体無傷だよ」

「言うなよ」

土煙。

晴れる。

ベラ。

いる。

「ほら」

「お前のせいだろ」

「違うでしょ」

でも。

ベラの服。

少し。

焦げてる。

『……なるほど』

ベラ。

自分の袖を見る。

『先ほどより良い』

ガレス。

聞く。

『褒めても何も出ませんよ!!』

『褒めておらぬ』

『どっちですか!?』

『事実を言っただけじゃ』

ガレス。

少し。

笑う。

『なら、もっと見せますよ!!』

ベラの笑み。

深くなる。

まずい。

楽しんでる。

『そうでなくてはな』

次。

ベラの周囲。

黒炎。

消える。

「……?」

違う。

消えたんじゃない。

集まってる。

一点。

右手。

極端に。

「《黒閃》!」

僕が叫ぶ。

ベラの指先。

黒。

細い。

ガレス。

即座。

『正面から退け!!』

盾兵。

左右。

開く。

射線。

空ける。

「え?」

守らない?

その先。

誰もいない。

ベラ。

《黒閃》。

放つ。

黒い線。

防衛線の中央を抜ける。

そのまま。

後方へ。

まずい。

街。

その瞬間。

『大結界!!』

アン。

声。

空。

光る。

巨大な魔法陣。

セレフィア上空。

展開。

光。

落ちる。

街。

村。

避難区域。

全てを包むように。

巨大な半球。

生まれる。

黒閃。

直撃。

――ッ!!

空気。

震える。

でも。

結界。

割れない。

「……!」

耐えた。

研究者の声。

通信。

響く。

『局所負荷確認!』

『魔力循環正常!』

『分散経路、正常作動!』

『損傷ありません!!』

僕。

目。

見開く。

「改良……」

昨日までの。

一度。

亀裂。

入った結界。

もう。

直してる。

ベラも。

見上げる。

『……ほう』

アン。

静か。

『ベラ』

『何じゃ』

『昨日と同じだと思わないでください』

『一晩で直したか』

『直しただけではありません』

一拍。

『強くしました』

ベラ。

笑う。

『面白い』

「煽らないでよアン……」

カイル。

「でも格好いいな」

「それは分かる」

エリシア。

「来ます」

ベラ。

《黒纏》。

再び。

地面。

蹴る。

今度。

防衛線。

中央じゃない。

左。

「速い!」

狙い。

結界維持部隊?

違う。

その手前。

聖騎士団。

ベラ。

突っ込む。

『左翼!!』

ガレス。

叫ぶ。

『下がるな!!』

聖騎士。

構える。

ベラ。

黒炎。

振る。

その前。

レオンハルト。

入る。

剣。

黒炎。

受ける。

――ガァン!!

『ぐっ……!』

「レオンハルト!」

ベラ。

目。

細める。

『聖騎士長か』

『世界連合軍副隊長でもあります』

『そうであったな』

レオンハルト。

押されながら。

笑う。

『でしたら』

一拍。

『簡単に通すわけにはいきません』

後ろ。

聖騎士。

結界。

重ねる。

レオンハルト。

踏ん張る。

ベラ。

一歩。

止まる。

そこ。

ガレス。

前へ。

「え?」

大剣。

振り下ろす。

ベラ。

黒炎。

受ける。

衝撃。

地面。

割れる。

『ガレス』

『ようやく俺も着いたんで』

『総隊長が前へ出てよいのか?』

『必要なら出ます』

一拍。

『俺は後ろで叫ぶだけの総隊長じゃありませんよ』

ベラ。

笑う。

『よかろう』

ガレス。

レオンハルト。

並ぶ。

魔王軍軍隊長。

聖騎士長。

世界連合軍。

総隊長。

副隊長。

二人。

同時。

構える。

僕。

その光景。

見る。

前にも。

見た。

でも。

今は。

会議室じゃない。

本当に。

同じ敵。

前。

並んでる。

『行くぞ、レオンハルト!』

『はい!』

二人。

飛び出す。

ガレス。

正面。

レオンハルト。

右。

ベラ。

迎える。

黒炎。

三つ。

ぶつかる。

カイル。

僕を見る。

「俺らも行くぞ」

「うん」

エリシア。

「私も」

シノブ。

横。

現れる。

「合わせる」

僕。

《心眼》。

開く。

必要なもの。

選ぶ。

ベラ。

カイル。

エリシア。

ガレス。

レオンハルト。

シノブ。

今は。

六人。

それだけ。

星。

浮かぶ。

カイル。

エリシア。

そして。

必要な瞬間。

必要な場所へ。

「――《星律》」

星。

動く。

カイル。

加速。

エリシア。

続く。

僕も。

《明星》。

抜く。

六方向。

いや。

上。

魔王軍もいる。

後ろ。

援護射撃もある。

一人を。

軍。

止める。

これが。

今回の訓練。

その時。

通信。

新しい声。

『こちらアルカディア魔法部隊』

アン。

即座。

『聞こえています』

『現地到着』

一拍。

『大結界との魔力接続を開始します』

「来た!」

さらに。

別。

通信。

『アステリア王国軍、第二陣到着!!』

戦力。

まだ。

増える。

ベラ。

ガレスの大剣。

受けながら。

僕たちを見る。

『まだ増えるか』

僕。

笑う。

「世界だからね」

『……そうじゃったな』

ほんの一瞬。

ベラの顔。

変わった。

でも。

すぐ。

黒炎。

爆発。

全員。

飛ぶ。

「うわっ!」

僕。

空中。

体勢。

戻す。

着地。

顔。

上げる。

ベラ。

立ってる。

黒炎。

大きく。

広がる。

今まで。

より。

さらに。

「……」

カイル。

槍。

握る。

「また上げる気か?」

エリシア。

「そのようです」

ガレス。

大剣。

構える。

レオンハルト。

剣。

上げる。

シノブ。

姿勢。

低く。

アン。

通信。

静か。

『全隊』

一拍。

『第三段階へ移行します』

「第三段階?」

僕。

聞く。

アン。

答える。

『大結界を維持したまま』

一拍。

『全戦力で』

声。

迷い。

ない。

『ベラを止めます』

僕。

正面。

見る。

元魔王。

ベラトリクス。

その後ろ。

何もない。

ベラの目的は。

僕たちを倒すことじゃない。

防衛線を抜け。

大結界へ到達すること。

僕たちの目的も。

ベラを倒すことじゃない。

守ること。

世界。

集まった。

大結界。

展開した。

総隊長。

副隊長。

各国軍。

《黒翼》。

全部。

揃い始めた。

そして。

ベラも。

それを見て。

さらに。

出力を上げる。

黒炎。

空へ。

立ち上る。

『では』

ベラ。

笑う。

『ここからが』

一拍。

『本番じゃな』

世界連合軍。

対。

元魔王。

防衛訓練。

第三段階。

始まる。


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