仮パーティー
第128話 仮パーティー
翌朝。
僕とカイルは、セレフィア神聖国の冒険者ギルドに来ていた。
そして。
「……」
僕たちの隣。
白を基調とした軽装。
腰には細身のレイピア。
エリシア。
昨日、レオンハルトさんから紹介された聖騎士。
今日。
初めて三人で依頼を受ける。
そのはずだった。
「まず冒険者登録からだね」
「はい」
エリシアが受付へ進む。
「冒険者登録をお願いします」
受付嬢が顔を上げる。
「かしこまりました。では、こちらの――」
止まった。
エリシアを見る。
次。
胸元。
聖騎士団の紋章。
「……失礼ですが」
「はい」
「セレフィア聖騎士団の方でしょうか?」
「はい」
「お名前を伺っても?」
「エリシアです」
「……少々お待ちください」
受付嬢。
奥へ。
「何かした?」
僕が聞く。
「何もしていません」
「登録できないとか?」
「聖騎士が冒険者を兼任することは禁止されていません」
「なら大丈夫か」
カイルが掲示板を見ながら言う。
「つーか」
「何?」
「聖騎士なんだから最初から高ランクでいいだろ」
「そうなの?」
「少なくともF級からってのは変だろ」
「規則なら仕方ないんじゃない?」
「お前はどうだった?」
「F級」
「だよな」
「でもすぐD級になった」
「お前の場合は色々おかしいんだよ」
「何で?」
「自覚ねえのが一番怖えよ」
その時。
受付嬢が戻ってきた。
手には。
いくつかの書類。
「お待たせいたしました」
「はい」
「エリシア様につきましては、セレフィア聖騎士長レオンハルト様より身分及び能力証明書が提出されております」
「聖騎士長が?」
「はい」
エリシア。
少しだけ驚いている。
知らなかったらしい。
「また先回りされてる」
僕が言う。
「レオンハルトさん、絶対こうなるの分かってたよね」
「否定できません」
「で?」
カイル。
「ランクはどうなるんだ?」
「通常であればF級からとなります」
「やっぱりか」
「ですが」
受付嬢。
書類を見る。
「既に聖騎士として十分な実戦経験があること」
「治癒魔法」
「結界魔法」
「そして近接戦闘能力」
「それらを考慮し」
「特例査定を受けることが可能です」
「特例査定?」
「実技及び能力を確認した上で、適正なランクから開始していただく制度です」
「なるほど」
僕はエリシアを見る。
「受ける?」
「はい」
即答。
「聖騎士長の証明のみでランクを与えていただくより」
一拍。
「自分の能力を見ていただいた上で評価される方が納得できます」
「真面目だな」
カイル。
「普通です」
「俺なら喜んでもらうけどな」
「カイルらしい」
「どういう意味だ」
「そのまま」
「おい」
受付嬢が少し笑う。
「では、実技査定の手配を――」
「あ」
受付嬢。
僕を見る。
「ソル様」
「はい?」
「冒険者証をお預かりしてもよろしいでしょうか」
「僕の?」
「はい」
「いいけど」
腰。
冒険者証。
渡す。
受付嬢が確認。
「やはり」
「?」
「何?」
「本部より通達が届いております」
「僕に?」
「はい」
受付嬢が顔を上げる。
「ソル様」
一拍。
「本日付で」
**「B級冒険者への昇格が決定しております」**
「……」
僕。
カイル。
エリシア。
「え?」
「おめでとうございます」
「僕が?」
「はい」
「何で?」
「お前なぁ……」
カイルが頭を抱える。
「何?」
「自分が何してきたか覚えてるか?」
「冒険?」
「そこから説明しなきゃ駄目なのか?」
受付嬢が書類を確認する。
「深緑樹海における調査実績」
「災厄との複数回の実戦」
「各国から提出された功績証明」
「そして」
一拍。
「世界連合軍特別部隊への選出」
「……」
「本来」
受付嬢が続ける。
「冒険者の昇格には一定数以上の依頼達成実績が必要です」
「はい」
「ですが」
「ソル様の場合」
少し。
困ったような顔。
「通常の基準で評価することが難しいとの判断が下されました」
「……」
カイル。
笑う。
「ほら」
「何が?」
「ギルドまで困ってんじゃねえか」
「僕のせいじゃないでしょ!」
「なお」
受付嬢。
「戦闘能力のみを評価した場合」
一拍。
「A級相当、あるいはそれ以上との報告もあります」
「……」
エリシアが僕を見る。
「ですが、冒険者としての活動期間及び依頼達成実績を考慮し」
「現時点ではB級が妥当である」
「それがギルド本部の判断です」
「なるほど……」
新しい冒険者証。
受け取る。
B。
「B級……」
ちょっと。
嬉しい。
「カイル」
「何だ」
「あと一個で同じだね」
「舐めんな」
「何で!?」
「俺はちゃんと冒険者としてA級まで上がったんだよ」
「僕だって冒険者だよ!」
「世界救ってランク上げる奴と一緒にすんな!」
「そんな上げ方してない!」
「結果そうなってんだよ!」
「お二人とも」
エリシア。
「受付です」
「……」
「……」
周り。
見られてる。
「すみません」
「悪い」
エリシア。
ため息。
「本当に大丈夫でしょうか」
「何が?」
「このパーティーです」
「まだパーティーじゃないよ!」
「それもそうでした」
「そこ納得する!?」
その後。
訓練場。
エリシアの特例査定が始まった。
まず。
近接。
「始め!」
試験官。
盾。
剣。
エリシア。
レイピア。
静か。
「……」
一歩。
試験官。
剣。
振る。
エリシア。
半身。
紙一重。
避ける。
そのまま。
レイピア。
シュッ。
「っ!」
試験官。
盾。
防ぐ。
でも。
エリシアは止まらない。
一突き。
二突き。
三突き。
全て。
違う場所。
盾。
肩。
脇腹。
脚。
試験官の防御が。
少しずつ崩れる。
そして。
「……!」
剣。
振り下ろす。
エリシア。
レイピア。
受けない。
触れる。
流す。
剣の軌道。
逸れる。
次の瞬間。
レイピア。
喉元。
止まる。
「……そこまで!」
終了。
「速いな」
カイルが言う。
「うん」
「力で押すタイプじゃねえ」
「カイルと真逆だね」
「俺だって技術あるぞ」
「知ってるよ」
次。
治癒魔法。
訓練用に用意された負傷者。
腕。
切り傷。
エリシアが手をかざす。
「《治癒》」
白い光。
傷。
塞がっていく。
「……」
試験官。
頷く。
次。
結界。
「《聖壁》」
光。
半透明の壁。
試験官。
魔法。
放つ。
ドンッ!
結界。
揺れる。
でも。
壊れない。
二発。
三発。
耐える。
「解除します」
光。
消える。
「以上です」
エリシア。
一礼。
「……」
試験官たち。
相談。
少しして。
結果。
「エリシア殿」
「はい」
「近接戦闘」
「治癒」
「結界」
「いずれも基準を大きく上回っています」
「ありがとうございます」
「戦闘能力のみならばB級相当」
「……」
「しかし」
一拍。
「冒険者としての活動実績がないことを考慮し」
**「C級冒険者として登録します」**
「承知しました」
「え」
僕が言う。
「もっと喜ばないの?」
「嬉しいですよ」
「顔に出ないね」
「そうでしょうか」
「うん」
「では」
エリシア。
小さく。
笑う。
「嬉しいです」
「……」
「これでよろしいですか?」
「何か違う」
カイル。
「面倒くせえな、お前」
「何で!?」
ギルド。
依頼掲示板。
三人。
並ぶ。
「さて」
カイル。
「これだな」
一枚。
取る。
魔物討伐。
「却下です」
エリシア。
即答。
「何でだよ」
「ソルさんは昨日まで寝込んでいました」
「俺は戦える」
「今日は三人の相性を見るための依頼です」
「討伐なら見られるだろ」
「必要以上の危険を冒す理由がありません」
「B級とA級がいるんだぞ?」
「だから何でしょう」
「……」
カイル。
僕を見る。
「強いな、こいつ」
「うん」
「聞こえています」
「……」
「……」
エリシア。
別の依頼。
取る。
「こちらで」
「何?」
僕が見る。
依頼。
セレフィアから半日ほど。
小さな村。
薬草。
治療用魔道具。
物資輸送。
護衛。
ただし。
街道周辺で魔物の目撃数が増加。
推奨。
D級以上。
「護衛?」
「はい」
「地味だな」
カイル。
「依頼に地味も派手もありません」
「分かったよ」
「ソルさんは?」
「僕はいいよ」
「では」
エリシア。
受付へ。
「これにしましょう」
カイル。
小声。
「もうリーダーみてえだな」
「聞こえています」
「耳もいいのかよ」
「聖騎士ですので」
「関係あるか?」
たぶん。
ない。
昼前。
僕たちはセレフィアを出た。
荷馬車。
一台。
御者。
そして。
僕。
カイル。
エリシア。
三人。
「……」
街道。
平和。
「エリシア」
「はい」
「ずっと周り見てるね」
「護衛ですので」
「まだセレフィアからそんな離れてないよ?」
「だからです」
「?」
「何も起きていない時に警戒するのが護衛です」
「……」
カイル。
「正論」
「カイルどっちの味方?」
「正しい方」
「僕間違ってる?」
「ソルさん」
「何?」
「警戒してください」
「はい」
「もう完全に指揮されてんな」
「うるさい」
でも。
エリシア。
ちゃんとしてる。
ただ真面目なだけじゃない。
御者。
荷物。
周囲。
全部。
ちゃんと見ている。
聖騎士。
人を守る仕事。
その意味。
分かってるんだ。
「……」
僕も。
周囲を見る。
でも。
心眼は使わない。
必要ない。
全てを見る。
でも。
全てを必要とするわけじゃない。
シリウス。
昨日の夢。
言葉。
まだ。
頭に残ってる。
「……選択」
「何か言いました?」
「何でもない」
「そうですか」
それから。
しばらく。
森沿い。
街道。
「止まって」
僕が言う。
カイル。
止まる。
エリシア。
すぐ。
レイピアへ手。
「何か?」
「いる」
「数は?」
カイル。
「……」
耳。
気配。
魔力。
「十二」
「魔物?」
「たぶん」
茂み。
音。
次。
唸り。
「来る!」
魔物。
獣型。
十二体。
街道へ。
「御者さん!」
エリシア。
即座。
「荷馬車から離れないでください!」
右手。
「《聖壁》!」
光。
荷馬車。
囲う。
「カイル!」
「おう!」
槍。
構える。
「ソルさん」
「僕もいける」
「無理は」
「しない!」
「……」
エリシア。
少し。
驚く。
「学習しましたね」
「僕だって学ぶよ!」
魔物。
来る。
「カイル!」
「任せろ!」
前。
槍。
一閃。
一体。
弾く。
次。
突き。
二体目。
「エリシア!」
「はい!」
レイピア。
抜く。
速い。
カイル。
力。
エリシア。
技。
一体目。
突進。
半身。
回避。
レイピア。
首元。
一突き。
二体目。
爪。
レイピア。
触れる。
流す。
そのまま。
刺突。
「……」
やっぱり。
上手い。
僕は。
星。
展開。
一つ。
二つ。
三つ。
十。
周囲。
配置。
《心眼》。
「……」
情報。
入る。
魔物。
十二。
カイル。
エリシア。
御者。
荷馬車。
森。
風。
木。
鳥。
地面。
「……」
多い。
昨日なら。
全部。
追っていた。
でも。
違う。
必要なのは。
魔物。
三人。
護衛対象。
それだけ。
他。
切る。
「……!」
頭。
痛くない。
見えている。
でも。
必要としていない。
「カイル!」
「何だ!」
「星、付ける!」
「おう!」
星装付与。
黄金。
カイル。
纏う。
次。
エリシア。
「エリシア!」
「はい?」
「これ」
星。
飛ばす。
「っ!」
黄金。
エリシアの身体。
纏う。
「これは……」
「星装付与」
「これが」
「うん」
「僕の星」
「どう扱えば?」
「好きに使って!」
「説明が雑です!」
「カイルはそれで使ってる!」
「俺を基準にすんな!」
魔物。
来る。
「前!」
エリシア。
踏み込む。
「……!」
速い。
本人。
星を脚へ。
流した。
一歩。
加速。
「なるほど」
レイピア。
突き。
ドンッ!
「……!」
エリシア。
自分で驚く。
威力。
上がってる。
「すごい……」
「でしょ!」
「ソル!」
カイル。
「喋ってる場合か!」
「分かってる!」
魔物。
残り。
七。
カイル。
前。
エリシア。
横。
僕。
見る。
まず。
任せる。
エリシアが。
どう戦うか。
レイピア。
右手。
踏み込み。
右脚。
受け流し。
手首。
結界。
左手。
治癒。
右手。
「……」
なるほど。
その時。
魔物。
カイル。
腕。
爪。
掠る。
「ちっ」
「カイルさん!」
エリシア。
片手。
「《治癒》」
白い光。
カイルの腕。
傷。
塞がる。
「お」
「軽傷です」
「戦いながら治せんのか」
「この程度なら」
「便利だな!」
「怪我をしないでください」
「はい」
素直。
「カイルが言うこと聞いた」
「聞こえてるぞ!」
魔物。
エリシアへ。
三体。
「……」
僕。
見る。
踏み込む。
その瞬間。
右脚。
僕が。
星を動かす。
《星律》。
「っ!?」
エリシア。
加速。
予想以上。
でも。
崩れない。
そのまま。
一体。
刺す。
二体目。
横。
爪。
結界。
必要。
左腕。
星。
移動。
「《聖壁》!」
ドンッ!!
「……!」
結界。
いつもより。
硬い。
魔物。
弾かれる。
右脚。
次。
右腕。
星。
流す。
「今!」
エリシア。
反応。
速い。
一歩。
刺突。
ドンッ!
二体目。
倒れる。
「……」
三体目。
後ろ。
「エリシア、そのまま前!」
「ですが」
「後ろは僕!」
星。
一つ。
魔物へ。
《彗星》。
ドンッ!
吹き飛ぶ。
「……」
エリシア。
僕を見る。
でも。
すぐ。
前。
いい。
切り替え。
次。
カイル。
魔物。
二体。
「カイル!」
「おう!」
右脚。
星。
集中。
加速。
槍。
突く。
次。
右腕。
星。
移動。
一体。
吹き飛ぶ。
残り。
一体。
「エリシア!」
「はい!」
踏み込み。
星。
右脚。
僕が動かす。
でも。
全部は見ない。
一瞬。
必要な場所だけ。
右脚。
切る。
右腕。
星。
刺突。
「はっ!」
レイピア。
魔物の額。
一撃。
静か。
最後の一体。
倒れた。
「……」
戦闘。
終了。
「ふぅ」
カイル。
槍。
肩へ。
「弱かったな」
「油断しないでください」
エリシア。
周囲。
確認。
「もういねえよ」
「確認します」
「真面目だな」
僕は。
自分の頭。
触る。
「……」
痛くない。
昨日。
あれだけ。
頭が。
壊れそうだった。
今は。
平気。
もちろん。
人数も違う。
戦況も違う。
でも。
それだけじゃない。
カイル。
必要な瞬間だけ。
見る。
エリシア。
必要な瞬間だけ。
見る。
護衛対象。
確認。
安全。
切る。
また。
全体。
見る。
選択。
切り替え。
そして。
また。
全てを見る。
「……シリウス」
少しだけ。
分かった。
気がする。
「ソルさん」
「ん?」
エリシア。
自分の身体。
黄金の星。
見る。
「これが《星装》なのですね」
「うん」
「途中から」
「?」
「私が操作していませんでした」
「……分かった?」
「自分の身体ですので」
「そりゃそうか」
エリシア。
右手。
開く。
閉じる。
「不思議です」
「何が?」
「普通」
一拍。
「自分の魔力でもない力を他者に操作されれば」
「戦いにくくなるはずです」
「……」
「ですが」
レイピア。
見る。
「むしろ」
一拍。
「いつもより動きやすかった」
「本当?」
「はい」
「よかった」
「ただ」
「?」
エリシア。
僕を見る。
「先ほど」
「はい」
「私の脚へ力を集中させましたね」
「うん」
「事前に言ってください」
「え?」
「想定より速く動いて、木に衝突するところでした」
「……」
カイル。
笑う。
「ははっ!」
「笑うな!」
「エリシアなら対応できると思ったんだよ!」
「対応しました」
「ならいいじゃん」
「よくありません」
「はい」
「素直だな」
「カイルもさっき素直だったでしょ!」
でも。
エリシア。
少し笑ってる。
「《星律》」
エリシアが言う。
「これが?」
「うん」
「仲間へ付与した星を」
「僕が制御する」
「……」
エリシア。
少し考える。
「強力です」
「でしょ」
「ですが」
「?」
「信頼が必要ですね」
「……」
「身体の動きに直接介入される」
「一歩間違えれば」
「味方の動きを崩します」
「……」
確かに。
「だから」
エリシア。
僕を見る。
「私の動きを」
「もっと知ってください」
「……」
「私も」
一拍。
「ソルさんの星を知ります」
「うん」
「そうすれば」
レイピア。
鞘へ。
「もっと上手く戦えるはずです」
「……うん!」
何か。
嬉しい。
カイルが。
僕たちを見る。
「俺の時そんな話したか?」
「してない」
「してねえよな?」
「カイルは勝手に使ってたから」
「お前が勝手に付けたんだろ!」
「結果使えたじゃん」
「まあな」
エリシア。
「やはり」
「?」
「カイルさんを基準にするべきではありませんね」
「おい」
「正解」
「ソル!」
それから。
大きな問題もなく。
夕方前。
目的の村へ到着した。
薬草。
治療用魔道具。
全て。
無事。
村長へ渡す。
「ありがとうございます」
「いえ」
エリシア。
一礼。
「依頼ですので」
「最近、魔物が増えておりまして」
村長。
少し。
不安そう。
「今日も出ました」
僕が言う。
「街道で十二体」
「やはり……」
「前から?」
「ここ数週間ほどです」
「……」
カイル。
森を見る。
「原因は?」
「分かりません」
「そうですか」
今日は。
護衛。
調査じゃない。
まず。
依頼完了。
帰り。
村の入口。
三人。
歩く。
「で?」
カイルが言う。
「何でしょう」
エリシア。
「俺たち」
「?」
「どうだった?」
「どう、とは?」
「一緒に戦っただろ」
「はい」
「パーティー」
一拍。
「入るか?」
「……」
エリシア。
少し考える。
「まだ一度です」
「固えなあ」
「当然です」
「まあ」
僕が言う。
「いいんじゃない?」
エリシア。
僕を見る。
「……?」
「急がなくて」
「……」
「仲間になるなら」
一拍。
「ちゃんとお互いのこと知ってからの方がいいでしょ」
「……」
「僕も」
「エリシアのこと」
「まだ全然知らないし」
「……」
「だから」
僕は笑う。
「また一緒に依頼しようよ」
エリシア。
少し。
目を見開く。
そして。
「……はい」
小さく。
笑った。
「お願いします」
「決まりだな」
カイル。
「次は討伐な」
「却下です」
「何でだよ!」
「ソルさんの体調を確認してからです」
「俺は!?」
「元気でしょう?」
「そうだけどよ!」
僕。
笑う。
たぶん。
悪くない。
まだ。
三人じゃない。
僕とカイル。
そして。
一緒に依頼を受けただけのエリシア。
でも。
少しずつ。
知ればいい。
そう思って。
村を出ようとした。
その時。
「あ、あの!」
後ろ。
村長。
走ってくる。
「冒険者様!」
「?」
僕たち。
止まる。
「どうしました?」
「一つ」
村長。
森を見る。
「お願いしたいことが……」
「依頼?」
「はい」
「最近」
一拍。
「森の奥から」
「妙な音がするんです」
「音?」
カイル。
「どんな?」
「分かりません」
村長。
首を振る。
「ただ」
一拍。
「夜になると」
森。
暗い。
その奥。
指を向ける。
「地面の下から」
「……」
エリシア。
表情。
変わる。
僕も。
森を見る。
「いつから?」
「魔物が増え始めた頃からです」
「……」
カイル。
槍。
握る。
「偶然か?」
「分からない」
僕は答える。
でも。
魔物が増えた。
同じ頃。
地面の下から。
音。
「ソルさん」
エリシア。
「今日は調査依頼を受けていません」
「うん」
「そして」
僕を見る。
「あなたは病み上がりです」
「分かってる」
「……」
「今日は行かないよ」
エリシア。
少し驚く。
「学習したでしょ?」
「……はい」
小さく。
笑う。
「では」
村長を見る。
「明日」
僕は言う。
「ギルドを通して正式に依頼を出してください」
「……!」
「僕たちが」
森を見る。
「調べます」
まだ。
何があるのか。
分からない。
魔物か。
自然現象か。
それとも。
別の何か。
そして。
僕たち三人にとって。
本当の意味での最初の冒険は。
ここから始まることになる。




