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第9話 封鎖された第五搬路
封鎖された道ほど、使われた痕跡がよく残る。
その晩、私は鷹城と二人で第五搬路の奥へ入った。正規の出入口は封鎖されているはずなのに、床には新しい台車跡がいくつも残っている。壁際にはスポンサー名入りの梱包材、踏み荒らされた養生シート、そして見学用照明のケーブル。
「完全にイベント搬入だな」
「閉鎖区画でやる規模じゃありません」
私は古い隔壁へ触れた。白い線が逆向きに伸びる。梱包を運ぶ台車、見学ルートの立て看板、ひよりが誰かへ向けて笑う横顔。さらにその奥、普段は塞がっているはずの補助扉が開いていた。
「隊長、こっちです」
補助扉の向こうは旧資材搬路だった。都市防災局の許可がなければ開けられない扉なのに、錠前には最近付けた複製鍵の傷がある。
「許可外搬入」
鷹城が低く言う。
「しかも救助用じゃない」
私はうなずいた。
「閉鎖区画を秘密の搬入口にして、第五搬路を見学ルート兼荷通路に使っていたんです。標識と非常灯を変えたのは、その流れを隠すため」
そして崩落が起きた。無理に開け続けた道は、都合よく耐えてくれなかったのだ。
私は複製鍵の傷跡を写真へ残した。
導線の不正は、もう『うっかり』では片づかない。




