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第5話 救助隊長は最短路を疑う

最短路は、いつも一番安全とは限らない。


 その夜、鷹城は閉鎖区画の簡易机へコーヒー缶を二本置いた。


「昨日の礼だ」


「助かったのは隊長の判断です」


「違う。俺は最短路を選びそうになった」


 彼は図面へ指を置く。


「普通なら主通路を掘り返す。でも柏木は、崩落後の空きじゃなく崩落前の流れを見ていた」


 私は少し迷ってから話した。


「今の現場へ触れると、直前までどう使われていたかが逆向きに見えるんです。誰がどこから入って、何を外したかまで」


「スキルか」


「多分」


「なら使え。現場は、正しい能力を遠慮なく使った方が助かる」


 王都の研修以来、初めてそんな言葉を聞いた気がした。安全監査官は前へ出るな、数字だけ並べろ、現場の空気を壊すな。それが今までの評価だった。


 鷹城は続けた。


「ただし、最短に見える道ほど疑え。スポンサー付きの救助イベントや見学会が入ると、上は見栄えのいい導線を優先する」


「第五搬路も?」


「あそこは去年から、大手クランの見学配信用に再利用したがっていた」


 私は缶コーヒーを握りしめた。閉鎖区画の標識一本が消えただけじゃない。誰かが利益のために、閉じるべき道を開けている。


「隊長」


「何だ」


「私、その線を全部引き直したいです」


 鷹城は静かにうなずいた。


「なら俺が、現場へ持っていく」


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