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第3話 【逆算】は崩落前を示す

瓦礫は、崩れる前の形を覚えている。


 私は鷹城の後ろを走りながら、さっき見えた白い線を追った。曲がる角、折れた手すり、消えかけた非常灯。線は現在から過去へ向かって伸び、崩落前に人が通った経路を逆向きに示していた。


「右です。次の角で左へ折れて、旧点検路へ」


「根拠は」


「今は説明できません。でも、そこが一番空いています」


 鷹城は一拍だけ私を見たあと、隊員へ短く指示を飛ばした。


「柏木の線で行く。担架班、後ろを絞れ」


 封鎖済みのはずの旧点検路には、最近動かしたばかりのバリケード跡が残っていた。その先で救助灯を振っていたのは、崩落に巻き込まれた探索者二人と保守員一人だった。


「助かった……なんでここが」


 息を切らした若い探索者が私を見る。私は答えられなかった。見えたのは、壊れた標識に残る矢印の向きと、誰かが慌てて外した立入禁止札の跡だ。


 救助が終わるころ、視界に浮かぶ白い線は消えた。代わりに一つだけ、頭へ残った情報がある。


 崩落の前、誰かが避難標識を一本外している。


「柏木」


 鷹城が私の手元の標識金具を見た。


「それ、気になるのか」


「ええ。崩落より先に、導線が壊されています」


 私の中で目覚めたそれは、現場の結果から直前の改ざんを逆向きにたどるらしい。


 【逆算】。


 そう呼ぶのが、一番しっくりきた。


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