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第17話 奪われた功績の行方

奪った功績は、最後に一番重く返ってくる。


 公開検証会のあと、ひよりが資料庫へ来た。いつもの作った笑顔はなく、目の下だけが濃く疲れている。


「先輩」


「何」


「私、最初は本当に、少し手伝っただけだったんです」


 彼女は震える手で端末を差し出した。そこには、私の導線図へ自分の名前を上書きした履歴、真鍋からの指示メッセージ、そして『スポンサー案件だから札は外せ』という短い文面まで残っていた。


「断れなかった?」


「主任席がほしかったんです」


 正直すぎて、私は怒鳴る気力を失った。欲しかったのだろう。私だって、現場主任の席はほしかった。でも、だからといって出口の向きを売っていい理由にはならない。


「崩落するとは思っていませんでした」


「事故って、いつもそう言う人の方から来るの」


 ひよりは泣いた。可哀想だとは思わない。ただ、この子もまた『見栄えのいい導線』に飲まれたのだと分かった。


「証言してください」


 私が言うと、彼女は小さくうなずいた。


「はい。全部話します」


 奪われた功績が、やっと正しい持ち主へ戻り始める。返ってきたから嬉しいんじゃない。もうこれ以上、誰にも出口を売らせたくなかった。


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