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第16話 崩落予兆の公開検証

隠していた予兆ほど、人前でよく響く。


 東環ダンジョンは週末、都市連携イベントの前座として『安全導線公開検証会』を開くことになった。表向きは信頼回復。実際は、監査室が問題ないと見せるための舞台だ。


 私は鷹城と灯里の後押しで、現場説明役へねじ込まれた。真鍋の顔はひどく険しかったが、二度続けて私の図で救助が成功した以上、完全に外すことはできなかった。


 検証会の最中、私は第五搬路天井の微かな粉落ちを見た。触れなくても分かる。あの崩れ方は、三分以内に来る。


「検証を止めてください」


 真鍋が即座に反発した。


「騒ぎ立てるな。今は来賓が」


「三分以内に北梁が落ちます。非常灯が一つ逆点滅している」


 私は制御盤へ走り、【逆算】で見えた順に隔壁を閉じ、観客を迂回路へ誘導した。鷹城が隊員へ怒鳴る。


「柏木線で引け! 全員、黄色テープの内側へ!」


 二分四十秒後、第五搬路の北梁が鈍い音を立てて崩れた。観客のいた位置から、わずか十数メートル先だ。


 会場は凍りついた。灯里のカメラだけが、真鍋とひよりの青ざめた顔を容赦なく映している。


「これが、問題なしの安全証明ですか」


 私は崩落音の残る中で言った。


 もう、誰も『私怨』とは言えなかった。


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