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第三十五章 麻里、善一の偽物に絡まれる

ある日、職場で麻里が、「陽子さん、相談したい事があるのよ。」と何か相談事がある様子でした。

亮太は、「わかったわ。昼食後、女子更衣室で待っていて。」と困ったような表情をしていた麻里の相談に乗ることにした。

昼食後、麻里は亮太に、「実は先日ナンパされて、その男性にホテルに連れ込まれそうになったので、大声を出して逃げたのよ。その男性は、島谷外務大臣の息子の善一だと名乗っていたわ。陽子さん、政治家の子ども同士で、交流はないの?その人の事を知らない?もし、リベンジされたら、どうしよう。」と相談された。

亮太は、「ああ、よく知っているよ。話はわかったわ。私が確認するわ。」と気の小さい善一が、そんな事をするとは考えられませんでした。

麻里は、「ありがとう。」と亮太が引き受けてくれて安心した様子でした。

亮太は、「麻里、今晩時間取れるか?いつも行く、渋谷駅前の喫茶店で待っていて。今日中に確認してそこに行くよ。」と麻里を安心させた。

麻里は、何故電話じゃなく、会って話をするのだろうと疑問に感じながらも了承した。

    **********

その後、亮太はトイレで善一に電話して、確認した。

「御無沙汰しています。秋山陽子です。私と友達になりたいと言いながら、全然連絡してこないわね。あれは嘘だったの?」と笑っていた。

善一は、「嘘じゃない。でも、あんな事があったから、陽子さんに頼りにならないと嫌われたかと思っていたんだ。」と亮太が失禁までした横浜での事を気にしていない様子でしたので安心していた。

亮太は、「それじゃ、今晩、渋谷で会って頂けませんか?」と麻里に会わせれば、すぐに解決すると考えていた。

善一は、陽子からの予想外の誘いに、「勿論です。」と喜んで即答して、渋谷駅で待ち合わせした。

その日の夕方、渋谷駅で善一と待ち合わせて、麻里が待つ喫茶店に行った。

亮太は、「麻里、待ったか?彼の事を知っているか?」と確認した。

善一は、「私は有名人ではないですよ。」と亮太が何を考えているのか理解できない様子でした。

麻里も、「陽子さんの友達を私が知るわけないでしょう。」と亮太が何を考えているのか理解できない様子でした。

    **********

亮太は、「やはりそうか。彼が、島谷外務大臣の御子息の善一さんよ。」と紹介した。

麻里は、「えっ?嘘でしょう?」と驚いていた。

善一は、「何?私が何かしたのですか?」と麻里の反応が理解できない様子でした。

亮太は、「善一さんの偽物が出没しています。彼女は私の同僚で、島谷外務大臣の息子の善一だと名乗る男性に襲われそうになった。このまま放置していれば、何らかの事件の容疑者にされる可能性がある。そうなればマスコミに報道されて、父親が辞任する破目になる可能性がある。それを避ける為に、警察に通報すべきだ。今日は警視庁の高木隆一刑事に来てもらった。」と後ろの席に座っていた男性を刑事だと紹介した。

隆一は警察手帳を提示して、「警視庁の高木です。大川麻里さんですか?今の話に間違いないですか?」と確認して詳しい話を聞いた。

麻里は、「先日ナンパされて、突然ホテルに連れ込まれそうになったので、物には順番があるでしょう!いきなり嫌よ!誰か助けて!と大声を出して逃げたのよ。今考えると、その男性を何度か見かけた事があったわ。」と説明した。

隆一は、「わかりました。何度か見かけたのは、麻里さんが目を着けられた可能性があります。また、その男性から声をかけられたら、喫茶店にでも誘って、トイレから私の携帯に電話して下さい。」と名刺を渡して、その後、しばらく雑談して別れた。

    **********

その数日後、麻里は善一の偽物から声を掛けられた。

「先日は、物には順番があると言っていたな。それじゃ、喫茶店にだったら一緒に入ってくれるか?」と誘われたので、了承して喫茶店に入り、注文後トイレに入り隆一に電話して喫茶店の所在地と名称を告げて助けを求めた。

しばらく喫茶店で雑談していると善一の偽物が、「そろそろ行こうか。」と席を立って、麻里の手を引っ張った。

麻里は、「どこへいくのよ。」と逃げ腰でした。

善一の偽物は、「子どもじゃないんだから、そんな事説明しなくてもわかるだろう。」と麻里の手を強く引っ張り、麻里を立たせた。

麻里は、「いやよ。辞めて!」と揉めていると、隆一が警察官数名と喫茶店に入ってきた。

    **********

麻里は、「刑事さん、助けて!」と助けを求めた。

善一の偽物は、「貴様!警察に通報していたのか!」と刃物を麻里に向けた。

麻里は、「私の知り合いが島谷外務大臣の御子息の善一さんと知り合いでしたので紹介してもらったのよ。あなたとは別人だったわよ。だから警察に通報したのよ。」と警察に通報した理由を説明した。

善一の偽物は麻里に刃物を向けて、「退け!この女を殺すぞ!」と麻里を人質にして逃亡しようとした。

その横にいた客が足を出すと、善一の偽物はつまずいてバランスを崩したので、麻里は善一の偽物を突き飛ばして、「刑事さん、助けて!」と逃げた。

善一の偽物は足を出した客に、「貴様、余計な事をしやがって!」とナイフで襲いかかった。

その客は善一の偽物を柔道で撃退した。

    **********

隆一が善一の偽物を逮捕して、「ご協力感謝します。陽子さん、あっという間に投げてしまいましたね。お強いのですね。」と感心していた。

麻里が、「陽子さんはオリンピック柔道の松木翔子選手の謎のコーチよ。強いのは当たり前じゃないですか。」と亮太が強い理由を説明した。

隆一は、「そうですか。陽子さんがコーチでしたか。」と強い事に納得して、善一の偽物を連行した。

麻里は、「ありがとう、陽子さん。刑事さんまで紹介して頂いて、陽子さんに相談していてよかったわ。」と亮太に感謝していた。

亮太は、「麻里、高木刑事は、結婚詐欺師から麻里を助けた、京都府警の高木係長の息子さんよ。」と高木刑事の事を説明した。

麻里は、「えっ?本当なの?もっと早く教えてよ。息子さんにも御礼したかったわ。ところで陽子さん、何故ここにいたの?偶然なの?」と不思議そうでした。

亮太は、「今日は、たまたま時間が取れたので麻里を尾行していた。麻里達が喫茶店に入った後で俺も入ったが気付かなかったか?」と麻里はそれどころじゃなかったのかな?と笑っていた。

麻里は、「私も必死だったのよ。全く気付かなかったわ。でも、何故もっと早く助けてくれなかったのよ。」と不満そうでした。

亮太は、「揉め出した時に、窓から外を見るとパトカーが来たので警察に任せる事にしたのよ。」と様子を見ていた理由を説明した。

    **********

隆一は、その日帰宅後、母の広美に電話した。

隆一は、「母ちゃん、先日、秋山陽子さんが異様に強いと言っていましたが、その理由がわかったよ。」と広美が気にしている様子でしたので連絡した。

広美は、「何故だったの?」とその理由を知りたそうでした。

隆一は、「陽子さんは、オリンピック柔道の松木翔子選手の謎のコーチだったよ。だから、強いのは当たり前だよ。今日だって、刃物を持った暴漢をあっという間に投げたよ。恐らく犯人は、いつの間に投げられたかわからなかったと思うよ。」と広美がわからなかった事に気付いたと自慢していた。

広美は、「そうなの。でも肝心な事がわかってないわよ。秋山陽子という柔道の選手は聞いた事ないわよ。あれだけ強いから、きっと名のある選手だと思って調べたけれども、道場に通っていた形跡もないし、女子大時代に、大学柔道の試合に出ただけで、他の試合にも出てないのよ。どこで柔道を覚えたのよ。私はそれを知りたかったのよ。」と何もわかってないと隆一に幻滅していた。

隆一は、「女子大時代に柔道の試合に出た事がきっかけで、柔道に目覚めたんじゃないの?」と考えていた。

広美は、「女子大時代に出場した試合は、五人の勝ち抜き戦で、陽子さん一人で他のチームの選手全員を数秒で倒して優勝したらしいわよ。その時にはすでに強かったのよ。」と隆一の考えを否定した。

隆一は、「陽子さんは、秋山官房長官の娘さんでしょう?だから、自宅にコーチを呼んで、個人的に修業していたんじゃないの?名家のお嬢さんが柔道の達人だとばれると都合が悪いから隠しているだけじゃないの?だから謎のコーチなんだろう。」と推測していた。

広美は、「筋は通っているわね。」とそれしかないかと納得していた。

    **********

亮太は帰宅後、秋山官房長官より、「今度は、刃物を持って人質をとり、籠城していた凶悪犯を取り押さえて警察に引き渡したそうだな。警察で取り調べると、何人もの女性から被害届が提出されていて、その被害者の一人が殺害されていて殺人の疑いも出て来たそうだ。身よりのない一人暮らしの女性だと、被害届が提出されない可能性があり、もっと多くの女性が殺害されている可能性もあり、徹底的に追求するそうだ。女性の敵を捕まえたと、また私の株があがったよ。」と喜んでいた。

亮太が、「私にも被害女性から御礼の手紙が何通も届いているよ。その中の一人が私の幼馴染だったので驚いたよ。勿論、彼女は俺の事には気付いていないですがね。」と亮太にも御礼が来ている事を説明した。


次回投稿予定日は、7月17日を予定しています。

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