第三十四章 スナックのオーナーの正体
翌週出社した亮太は、「西垣さん、先週末、松島から着信があって、挙式の詳細が決まったそうだな。結婚まで秒読みに入ったな。」とお祝いしていた。
昌子は、「ええ、それで、この週末に会場の広さなどから招待客を決めて、招待状を郵送したわ。その返事次第で、招待客が決まるわ。」と嬉しそうでした。
亮太は、「招待状を郵送する前に、根回ししておくものよ。郵送する時には、もう招待客は決まっているのが普通だよ。二人には親がいるのだろう?そのあたりの事は聞いていないのか?」と要領の悪さに驚いている様子でした。
昌子は、「えっ?そうなの?どちらの親も田舎に住んでいて東京には住んでないわよ。」と焦っている様子でした。
亮太は、「結婚式の準備期間だけでも、親を呼んで同居する事を勧めるわ。」と二人の結婚式が成功する事を祈っていた。
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結城課長に着信があり、電話が終わると、亮太と真一が、「秋山さん、平井さん、二人とも会議室に来て下さい。」と呼ばれた。
結城課長は、「今、金馬電気の島田部長から電話があり、営業担当を、平井さんから秋山さんか石川さんに変えてほしいと依頼されました。何があったのだ?平井、お前何か失敗したのか?」と真一の事を心配していた。
真一が、先週末スナックで、島田部長の相手をせずに備品の扱いの事で照子と揉めていて不愉快な思いをさせたので焦っていると亮太が、「別に平井さんが失敗したわけではないわ。島田部長はカラオケが大好きで、音痴な平井さんから、カラオケができる社員に変更してほしいようです。」と真一を庇った。
結城課長は、「そうですか。ところで石川さんとは誰ですか?総務部に石川という社員はいますが、まさか違いますよね?総務が接待したとは聞いた事がないし、確か彼女は堅物の石頭社員だと聞いた事があります。接待するとは考えられない。」と石川って誰だろうと考えていた。
亮太は、「そのまさかですよ。総務部の石川さんのカラオケは超一流で、カラオケ大好き島田部長のお気に入りです。」と説明した。
真一も、「確かに石川さんに接待させると言った時は冗談だと思っていました。石川さんが接待したとは今でも信じられません。」と何故照子が接待したのか意味不明でした。
亮太は、「平井、お前営業だろう。営業は情報力が命だ。情報力がないからバタバタして時間がなくなり、時間が勝負だなんて言っているから石川さんと揉めるんだ。」と色んな情報を入手して活用すれば、時間にも余裕が出てくると教えた。
真一は、「確かに陽子さんも、俺達と同じ営業の仕事をしていますが、いつも落ち着いていますよね。」と亮太の言葉には説得力があった。
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昌子は退社後、友彦とデートしているときに、会社での事を雑談で喋った。
昌子は、「陽子さんは何でも知っていて何でもできるわよね。やはり、男性の内緒話も女性の内緒話も知っているので情報量が違うのかしら。」と感心していた。
友彦は、「いや、男性達は亮太の前では内緒話はしないだろう。」と女性になった亮太には男性の内緒話は入手困難だと考えていた。
昌子は、「いいえ、男子社員から聞きましたが、夏になると、女子社員も薄着になり、ブラジャーが透けて見えるが、文子と麻里は、二人とも胸が大きく、どんなブラジャーをしているのだろうと内緒話をしていると、陽子さんが、文子は純白のフロントホックのブラジャーで、麻里は、肌色でフロントホックじゃなかったよ。更衣室で見る限り、文子のほうが胸は大きいよ。などと、自然に男性の内緒話に割り込んでいて、男子社員も、何で陽子ちゃんがここにいるのだ?いつからここにいたのだ?と自然に溶け込んでいたので、陽子さんがここにいる事に全く気付かずに驚いていたわよ。」と亮太は男性のHな話にも自然に入っていけると教えた。
友彦は、「それは、亮太が元々男だったからだろう。」と考えていた。
昌子は、「そうね、見る所も私達女性とは全く違うようね。文子や麻里とは何度か更衣室で一緒になりましたが、二人がどんなブラジャーをしているかなんて全然見ていなかったわ。まして誰の胸が大きいだなんて全く知らなかったわ。」と自分も色々見られているかと思えば恥かしく、亮太が来る前に早めに出社しようと考えていた。
友彦は、「そうか。羨ましいな。」と昌子の前で失言した。
昌子は、「何が羨ましいのよ。Hね。」と不愉快そうでした。
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このように、友彦は昌子と色々雑談していると、照子が以前調査したスナックでバイトしている女性だと知り、調査結果を悪用したのかと心配していた。
その件で、わざわざ電話するのも気が引けたので、昌子に事情を説明して亮太にそれとなく聞いてもらうように依頼した。
昌子から聞いて亮太は、「石川さんが、どこのスナックでバイトしているのか忘れていたよ。たまたま島田部長と入ったスナックに石川さんがいただけだよ。松島には今晩にでも俺から説明しておくよ。」と説明した。
帰宅後亮太は友彦に電話した。
亮太は、「昌子から聞いたが、お客様と入ったスナックに、偶然石川さんがいただけだ。お前こそ、調査内容を昌子に漏らしただろう。」とあくまでも、偶然だと押し通そうとしていた。
友彦は、「夫婦は一心同体だ。」と反論した。
亮太は、「まだ結婚してないから夫婦じゃないだろう。」と指摘した。
友彦は、「人の事よりお前はどうなんだ。わざわざ会社から遠い不便なスナックに連れて行き、本当に偶然か?」と亮太を疑っていた。
亮太は、「島田部長が、会社の近くには何度か接待されて何度も行っている。少し変わった所に行きたいとの要望に答えただけだ。」と反論した。
友彦は、「あくまでも偶然だというのか?悪いが、そんな都合のいい話は信じられない。あのスナックは地理的に不便で客が少なく、石川さんのカラオケでもっているらしい。そんな不便な場所に普通はスナックがあるとは考えないだろう。最初から知っていたと考えると理解できる。」と偶然ではないと確信していた。
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亮太は、「そうか。友彦、お前大事な事を見落としているぞ。それでよく探偵が務まるな。何故あんな不便な場所にスナックを開いたか知っているか?あのスナックのオーナーは、俺が男だった頃の同級生だ。つまり、お前とも同級生だ。彼の最愛の恋人が、あの場所で暴漢に襲われて亡くなっている。犯人はまだ逮捕されてないそうだ。あの場所で彼女の冥福を祈っているんだ。勿論、俺は女になっているから、あいつは俺に気付いてないがな。石川から聞いたが、石川の調査で、お前があのスナックに行った時は、たまたま体調が悪く、石川が来た時に交代して、奥で休んでいたらしい。嘘だと思うのなら、お前も探偵だったら調べてみろよ。」とスナックがあの場所にある事を知っていた理由を説明した。
友彦は、「えっ?恋人があの場所で暴漢に襲われて死んだって、まさかオーナーは伊藤か?伊藤次郎か?しかし冥福を祈る?スナックでか?普通はお花を供えないか?」とまだ信じられない様子でした。
亮太は、「友彦、お前、学生時代、俺と銀座でスナックに行ったの覚えていないか?店内の様子がそのスナックと同じだと気付かないか?そのスナックのママが殺害された伊藤の恋人だよ。恋人が殺されて、あのスナックが売りに出された時に、伊藤が買い取りあの場所に移転したんだ。」と何故スナック開店が冥福を祈る事になるのか説明した。
友彦は、「そうか。俺も見覚えのあるスナックだったから気になっていたんだ。今の説明で納得したよ。だったら、ごちゃごちゃ言わずに、最初からそう言えよ。」と不愉快そうでした。
亮太は、「お前探偵だろう。自分で調べて納得させようとしただけだ。」としょぼい探偵だなと思っていた。
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友彦は、「しかし、あいつがオーナーだったとはな。伊藤はお前の事に気付いていないんだろう?その話をどこで聞いたんだ?作り話をして誤魔化そうとしてないか?」とまだ疑っていた。
亮太は、「お前も疑り深いな。俺が女になる前に、あの場所にスナックを開くつもりだと本人から聞いていた。それで女になってからあそこにスナックがある事を知った。まだ石川さんがあそこでバイトする前に、一度行っている。島田部長が少しかわったところに行きたいと言っていたので、そのスナックに行った。スナックの設備も当時のものだから、レトロ感あふれるスナックで珍しいからな。これが作り話かどうか、お前も探偵だったら調べろよ。」と説明して友彦も納得した。
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友彦は、「その話は理解した。でも、お前の会社の誰だっけ?石川さんだっけ?が何故そのスナックでバイトしているんだ?」と照子があそこでバイトする切欠を知りたそうでした。
亮太は、「ああ、それは俺も気になり、先日本人に直接確認した。伊藤の死んだ彼女は、石川さんの姉だそうだ。姉が襲われた場所にお花を供えに行った時に、そこにスナックがある事に気付いて店内に入ると、店内の様子から驚いてオーナーと話をして、死んだ姉の恋人の伊藤さんだと知り、スナックでのバイトを申し出たそうだ。だから両親が、石川さんのバイトの内容を聞いても、姉を思い出させて両親を悲しませるだけだから何も言わなかったそうだ。お前が探偵として、石川さんがどこでバイトしているのか両親に報告したから両親も気付いて、たまに客としてあのスナックにいき、伊藤さんと姉の思い出話をして姉の冥福を一緒に祈っているそうだ。月命日には必ず日中に墓参りしてスナックに客として行っているそうだ。」と説明した。
次回投稿予定日は、7月14日を予定しています。




