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はながさく 2  作者: 92コ


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5/6

別居婚

 芽依が間に入り、連絡を取り合った。


「ちゃんと籍入れて結婚しょうね。」と言われ実弥は、涙が止まらなかった。


「ベビーのためじゃないよ。実弥ちゃんとずっと一緒に暮らしたいと思っているからだよ。


 妹の可奈が、弟の良の嫁と仲悪くてね。可奈は、まだ良に甘えたかったのだろうね。ヤキモチなのかな。

だから、僕に『結婚しないで』と決めかかっていたんだよ。

可奈は、僕から説得するよ。実弥ちゃんと会えば、すぐ解決出来ると思うよ。」


「遠くに転職しちゃたし。」


「実弥ちゃんも音信不通になって、引越しちゃったし。」


「だって。だって。

もう会えないと思って。

私の事、嫌いだと思って。」


 長々と二人は、話し合った。

スマホの画面の中で眼を赤くした実弥を優は、愛おしく想った。

 例え距離があってもスマホと言うのは、便利なもので沢山の会話ができた。顔を合わせていたら、照れて言えない事も少し素直に言える。ケンカになるような事もスマホでの距離ある会話は、穏やかにそして素直にやり取りが出来た。 



 高知で漁業の研修を受けていた優が実弥に会いに来たのは、半年程経っていた。浅黒く逞しい感じの優になっていた。


初めて会うなつと愛は、

「あら、素敵な男性。」と思わず言った。

公民館には、渡辺アキヨのリーダーの元、お披露目の食事会が準備されていた。

「初めまして」の挨拶もそこそこにアキヨは、優達に沢山のアドバイスをした。


「村人の前で挨拶される前にはっきり厳しい事を言うわね。


 女性が遠い所から移住して来て、数カ月後に大きなお腹を抱えていたら、この田舎でなんて噂されるかご存知ですか? 想像出来ますか?

都会と違って、近所付き合いが濃厚なのよ。

都会なら、見て見ぬふりで終わる事もここは、小さな村、沢山の噂が飛ぶんです。

悪気があって噂するのではなく、皆、実弥ちゃんを心配しての事。

だから、優さんがちゃんと結婚した事や父親である事、そして別居婚だけれどお願いしますなど、挨拶の中で言うように欲しいんです。

村の人達は、皆いい方ばかりだから、困り事は、すぐ手助けしてくれるわ。

 今日の視線は、実弥ちゃんのお腹とあなたの態度ですからね。」


 初めて会った渡辺から一方的に話され圧倒されつつ、優は、自分がした事を真摯に受け止めた。実弥がこの数カ月どう過ごしたかも、想像し始めた。

側で静かに聞いている実弥の手をそっと握った。

 

 なつがテーブルに桜茶を置いた。少し塩気の残る優しい味だった。           


「実弥ちゃん。

ここには、実弥を心配してくれる人が沢山いるんだね。渡辺さんは、お母さんみたいだね。

ボクが高知で一緒に暮らしたいと言っても来ない理由が分ってきたよ。」



 少しずつ村人が公民館へ集まって来た。広間には、なつ達が、作ったウエディングケーキが飾られていた。

実弥や芽依の顔見知りも増え笑顔いっぱいで始まった。


 まず渡辺が、挨拶をした。


「みなさ~ん、こんにちは。大勢集まりましたね。

今日は、高知から、素敵な男性が来たのでご紹介しますね。逞しい感じの方ですが、惚れちゃダメですよ。

これから自己紹介して頂きますが、その後は、質問攻めしましょう。

いつものコロッケサンドイッチも用意しましたので、楽しい時間にしたいと思います。」


 テーブルの上には、コロッケサンドイッチは、勿論、野菜のゼリー寄せ、焼き鳥、フライドポテト、パスタサラダと各自手作りだったり、なつ達が作ったお料理など並んでいた。


 少し緊張気味の優と実弥が、手を繋いで中央に立った。


「よっ! 熱々ご両人!」と大声を出したのは、渡辺だった。


 二人の緊張した顔が少しほころび話し始めた。

「初めまして、優と申します。優しいと言う漢字です。この実弥の夫です。

 高知で漁師の見習い中の身分です。まだ自由に休みをもらう訳にもいかないので実弥と一緒に暮らす事がまだ出来ません。

 実弥を高知に連れて行きたかったのですが、実弥がここで暮らしたいと言います。

ここに来るまでは、よく分からなかったのですが、ここへ来て、渡辺さんをはじめ皆さんにお会いしてその気持ちが理解できました。

別居婚と言う形になりますが、どうぞよろしくお願いします。」と二人で頭を下げた。

拍手がおきた。代わって実弥が

「皆さん、いつも気遣って下さりありがとうございます。来月には、この子が生まれてきます。普通なら、両親揃って暮らすものでしょう。

 私も臨時的にお菓子作りの手伝いと考えていたのですが、ここで、この花野村で暮らしていて楽しい。

今まで体験して来なかった事が、沢山あり、お菓子作りももっと学びたいと思います。

 別居婚になりますが、どうぞよろしくお願いします。」


 再び拍手がおこり、二人は、深く頭を下げた。

そして、二人が可愛いケーキが運ばれ

「では、ウェディングケーキにナイフの入刀です。」と渡辺の気取ったひと言があった。

「記念の写メ!」と誰もがスマホを向けた。


 何度も拍手の嵐が二人を包んだ。


お読み頂きありがとうございます。


お気づきになりました?

優の兄弟の名前。上から優、良、可にしました。


次回の投稿少し遅れます。申し訳ないです。

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