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はながさく 2  作者: 92コ


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4/6

シングル

「花野村」には、空家になった古民家がいくつもあり、移住者は、そこに暮らしています。

明るい声の

「おはようございます!」で始まる愛の家に芽依と実弥が、暮らしている。今朝の朝食作りは、実弥の番だが、台所で座り込んで動かないでいる。

後から起きてきた二人が、心配そうに顔をのぞき込む。

「気持ち悪いの。」と弱々しい声が返ってきた。


 芽依とここに短期移住して来てもうすぐ5か月になる。

「ねぇ、最近生理無いでしょ。生理になるといつも辛そうにしていたけれど、ここに移住してから、そんな状態ないよね。」と単刀直入に芽依が聞く。

実弥が小さく頷いた。


「えっ!そうなの!」と愛が驚く。

「相手は、誰なの?」の問に芽依が

「優君でしょ?」それには、返事の無い実弥だった。


「一人で育てます。優君には、関係ないの。私だけの赤ちゃんなの。」テーブルに伏して背中が、震えている。声を上げずに泣き始めた。


 そこへなつがみうを連れて出勤して来た。


 泣いている実弥を見てみうがかけより頭を撫でた。いつも自分がされているから、自然と手を出したのだろう。


 なつも愛も相手を知らないのでついつい芽依に質問してしまう。


 目を赤くした実弥が、顔を上げぼそぼそと話し始めた。結婚するつもりで交際していた優から、

「妹が、結婚に反対するんだよ。『優兄は、ずっと独身』と決めつけるんだよ。」と言われ、諦めていたところに、このアルバイト募集を知り、将来移住もいいかもしれないと考えた。

 施設で育ち親もいないので両親揃った人からは、軽蔑されている感じがした。妊娠している事に気が付かないまま心機一転やって来た。

 環境を変える事で自信のある自分になり、独立心をもった強い女性になりたかった。

だから、妊娠に気づき眠れない夜が続いていた。

「中絶も考えたんだけれど。」と聞いた途端に愛が、

「諦めちゃだめよ。産んだらいいわ。ここで皆で育てていけるわ。

世の中には、生きて行きたくても、突然の災難で死んじゃう人が、いるのよ。パパもママも皆、家族皆、ずっと元気に暮らせると思っていたの。

お腹の子の命を勝手に止めちゃだめよ。」と強い口調で言った。

 愛は、珍しく親の話をして、大きな深呼吸をした。


「あのね。私も過去が思い出せず、恋に後ろ向きだったの。男性に誘われてもいつも断った。

実弥ちゃんみたいに恋をしてこなかった。人をうんと愛したいって、想うのよ。

応援するから、頑張ってみたら。人生長いから一人で子供育てるのは、大変だろうけれどね。

 私は、未経験だけれど、なつがいるもの。ねっ。」

なつが、ゆっくり微笑んだ。

「子供って可愛いよ。」と。


 そんな中、部屋の隅で芽依がスマホを見ている。そして突然話し出した。

「お久しぶりです。芽依です。お元気ですか?

ねぇ、聞いたわよ。パパになったんですって。おめでとうございます!」


 その言葉が聞こえた途端に実弥が慌てて駆け寄った。


「あら、実弥ちゃんから連絡行っていると思ったわ。とにかくおめでとうございます。

知らなかったんですか?

やだ~。内緒でした?

えっ?今どちらなんですか?

えっ〜、高知。

こちらには、いつ戻られるのかしら?

えっ?  はっ?

あっ。ごめんなさい。何だか電波悪いみたいで、聞き取れないわ。

また連絡させて頂きますね。」


「やめて、やめて。」と実弥が駆け寄ったところで電話を切った。


「電波の具合なんて悪くないわよ。実弥ちゃんにかけてくるんじゃないかな。

優君にも責任ある事でしょ。実弥ちゃん一人で考えて決める事では、ないでしょ。」


「私、着信拒否してるの。」


 芽依の強引な方法は、解決が早いかもしれないが、連絡は、来なかった。


「とにかく、まだ病院に行って無いんでしょ。それが先でしょ。」となつが言った。


お読み頂きありがとうございます。

あなたには、愛する人がいますか?


続きは、また来週の投稿予定です。

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