エディブルフラワー
お花って食べた事ありますか?
あなたの街で、エディブルフラワーに出会えるかしら。
アロエベラのゼリーとクッキーは、キッチンカーで販売をしていた。『アセロラ』では、「花野村クッキー」と名付けて売り出していた。それを見てジュンジから
「ネット販売出来ないのかな。」と提案されて始めて一年。これも好調。
なつと愛の手作り菓子は、人気が出て来た。二人は、アルバイトを募集しようと施設長の木村に相談すると芽依と実弥が紹介され、短期移住をしている。
なつが出ていった家に芽依と実弥は、たいした荷物も無くやってきた。愛となつは、二人にお菓子作りのスタートから教え始めた。更に家事一般や村の暮らしも教える。真面目に説明して行く愛になつは、
「出来る事から始めてもらおうね。」とやさしく進める。
「きちんと教えこまないと。」と愛が反論するが、なつは、
「出来る事は、手際よいけれど出来ない事は、私達がやった方が早くて正確で美味しい!」と言う。背中におぶった子供がぐずれば、実弥がすぐあやした。材料の量を測るのは、芽依が手早く正確だった。
女性四人のチームワークの見せどころだった。
ある日、なつの娘みうを連れて五人で散歩に出た。実弥にすっかり慣れたみうが大きなひまわりに指を指した。つられて大人達も見上げると青い夏空に大きなひまわりが堂々と咲いている。
「大きいね。」
「こんなに大きくなるのね。」と。
「違うわ。昔は、これくらい大きくものばかりだったわ。」
「そうなんですか?」
「花屋のひまわりって小さく咲くように改良してあるんですね。そうすれば、映えるし、花束にしやすいですものね。」
「ひまわりの下に可愛い花が沢山ね。見た事無い花ばかり。」
「地域によって雑草すら違うものね。」
「私、お花屋さんでもアルバイトした事あるんです。」と言うのは、実弥だった。
「あら、そうだったのね。」
「お花見て思いついたんですが、クッキーにエディブルフラワーを使ってみたらどうですか?」
それに対して
「エディブルフラワーって単価高いでしょ。採算合うかしら。」と愛が心配顔になった。
「戻ろう!」始めたばかりの散歩をきり上げ、
「いや〜、いや~。」とメソメソするみうを抱いて戻り始めた。
「思いつきは、すぐ実行すべし。」というのは、なつだった。
菓子工房へ戻り四人揃って検索を始めた。お散歩が中断され不機嫌なみうに実弥が、
「よく歩いたね。このお花をビンに入れましょうね。」とカラビンに野花をいけた。
「うん、かわーいー。」とそれから何となく水遊びで機嫌を戻した。
エディブルフラワーをのせている洋菓子が少しずつ出回り始めた。食用として育てられた花たちは、特別かわいい。
見た目が、綺麗だから、ゼリーなどに加えるとスペシャル気分になる。種類もすみれ、アリッサム、カモミールなどあるから、スイーツに季節感を出す事ができる。
「とりあえず、クッキーにすみれのせてみましょうか。クッキーなら、日持ちするから。」
「そうね。賞味期間の長いのから作って反応みたいね。」
「キッチンカーには、アロエゼリーに入れてみましょう!」
「トレニアなんていいんじゃない?」
スマホで検索しながら、
「ナスタチウムもあるのね。」
「ダメよ。ナスタチウムは、わさびの香りだって。」
「レモンの香りのベゴニアですって。レモンも良いわね。」
「ベゴニアの花って季節何時なのかしら?」
「春から晩秋かな。」と実弥が、答えた。
「長く扱えるわね。」
いくつもの試作を重ねて
まずは、ハート形のクッキーにピンクのベゴニアをのせた。横浜のアセロラでもキッチンカーでも売れ行きが良くほっとした。これなら、通販もやって行けそうだと考えた。
しかし村では、人気が無い。
「花を食べて大丈夫か?」
「美しいものには、毒があるだよ。」と言われた。
そんな声を聞くたびに
「農薬などの使い方が心配されているんですよね。
お花だけれど、お野菜と同じ育て方なんですよ。
和食にも食用菊がありますね。」
となつは、説明してまわった。
クッキーの次は、ゼリーに入れてみた。見た目が可愛いので多少高めの設定でも売れた。キッチンカーに
『可愛いお花ゼリー 数量限定』とジュンジがイラスト添えてポスターを描いてくれた。
「花の力ってすごいのね。」
「スイーツの魅力倍増なのね。」
「次は、すみれがいいかな?食品にブルー系は、少ないから、良いと思うけど。実弥ちゃんすみれの花って春よね。」
「春ですけど、1月か2月から始めてもいんじゃないですか?」
四人のスイーツ談議は、エンドレスだった。
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