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すべて失った俺は異世界転生し、生産系魔術のみで神殺し  作者: 坪内俊


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第6話 黒髪赤目の子

「まだ昼過ぎたばかりでお茶の時間前に帰ってくるなんて。今まで無かったのに。本当に今日は私に対して何かの嫌がらせなの。そんなに怒らせたいの。何か言ったら黙っていないで。その汚らしい忌々しい黒髪赤目を森に捨ててくれば。家に入った瞬間、息が詰まる黴臭さと瘴気であぁ気が狂いそう。折角の楽しい家族でのお茶の時間が台無し。もう嫌っ」

 早めに帰宅した事に激怒したマナカは、セトに対して罵り罵詈雑言を浴びせ、ヨハンは神父エルンストが居る手前、父親として何もできずにただ臍を嚙む思いでその場を我慢するほかなかった。幼いハンスは罵詈雑言浴びせられているセトに対して馬になれやれ走り回れと傍若無人ぶりでこき使っていた。風の使い魔ノルムは帰宅途中、フェンリルが最後に言った言葉が気になり、確認することがあると言って魔物の森バァグーガへ引き返したのだった。

 ヨハンが神父エルンストに先ほど起きたセトのペンダントネックレスの件を話そうとした時、神父エルンストの禿げ頭ひげ面で小太りの使用人が慌てて駆け込んできた。

「旦那様、神聖エストラント公国女王陛下直属、近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルがこちらへ向ってきております」

「それはまことか。ロッツォ」

「はい、上空を飛ぶ8頭の翼竜が広げる翼に近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルの白銀の百合の紋章が確かにございました。何やら探しているように村の上空を滑空しておりました」

「白銀の百合紋章は間違いないアマゾルダルだ。女王陛下がどうして。もしや忌子の存在に気付いた。探しているように滑空しているという事は、まだ時間はある。ヨハン、セトにローブを着させ深くフードを被せろ。セトを見習い魔導士として押し通す。良いな」

「わっわかった」

 慌ててフード付きローブを取りに行くヨハンの後ろ姿を見送り、突然の来訪に狼狽する神父エルンストは乱れた衣服を直ちに整え、女王陛下直属の近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルを迎え入れるための指示を使用人ボブソンに命じた

「ロッツォ、アマゾルダルを迎え入れるため花を飾り香を焚き翼竜の餌を用意しろ。今すぐにだ」

「承知いたしました」

 使用人ロッツォが急いで準備に取り掛かり、花と香と餌を買いに村の商人へ出向いて行った。

「いいかマナカ、ハンス。聖騎士様は高貴な方々だ。くれぐれも粗相のないように。わかったね。大丈夫、私がついている。こわくない。こわくない」

 突然の訪問客の訪れを聞かされ怯えているマナカとハンスを抱き落ち着かせる神父エルンストが一番怯えているようだった。

 空気が張り詰めた中、神父エルンストとアスベル一家一同は、突然の来訪者、翼竜聖騎士団アマゾルダルを迎える準備を整えた。

 芳醇な花の薫りと乳香の香りが静寂な玄関に漂う。

 エルフ種族は人臭さが苦手で気分が悪くなるそうで、人種族の家にエルフ種族が来訪する場合は、必ず花を飾り乳香の香を焚くのが習わしだそうだ。

 翼竜が羽ばたき地に降りる風の低い音が窓ガラスを震わせて到着した事を告げた。

 扉を勢いよく開ける音が響き玄関の静寂を破った。近衛翼竜聖騎士団アマゾルダル聖騎士6名が白銀に輝く装甲を鳴らして入るや否や5名の聖騎士は歩みを止め、一人の美しいプラチナブロンドを靡かせ、露出度が高い白銀の甲冑に身を包み、白きマントを翻して悠然と歩んで立ち止まり、高らかに声を張り上げた。

「我は神聖エストラント公国女王陛下直属である近衛翼竜聖騎士団アマゾルダル団長エリザベータ・シュトルツゥヴァイアーである」

 腰に携えた革袋から宝玉を取り出し、手にした宝玉の光が指し示した灰色ローブを身に纏う深くフードを被った少年を確認した上で団長エリザベータは言葉を続けた。

「女王陛下の勅令を読み上げる。みな心して聞け。”この宝玉の光が指し示す者を探し出して関係する者を処刑せよ。宝玉の光が指し示す者は、リムラ教の掟を破った黒髪赤目の忌子である魔神の子である。その者はその場で処刑せよ。ヒョーデル村を統治している村長であり領主である神父マルケス・エルンストの捕縛命令を下す”以上。この宝玉の光が指し示しているそこの灰色ローブを身に纏う深くフードを被っているその者。フードを取り、顔を上げて見せろ」

 灰色ローブを身に纏い深くフードを被ったセトは、何も答えず俯いたまま微動だにしなかった。

 これはまずいと察知した神父エルンストは、そこへ透かさず助け舟を出した。

「エリザベータ団長閣下。私は捕縛命令を頂きました神父マルケス・エルンストでございます。この者は単なる見習い魔導士の故、火炎魔法で昨日顔に火傷を負ってしまい。強い神聖魔術を施したため、その宝玉の光が誤って指し示しているのだろうと推測されます。醜い人種族の顔が更に醜悪に成り果てております。高貴な団長閣下を穢してしまわぬよう深くフードを被らてせて俯かせているのでございます。何卒、ご理解とご勘弁の程を」

「ほう、そうか火傷を治癒する神聖魔術が強く宝玉の光が見誤ったか。そうか。あい分かった神父マルケス・エルンスト。これ以上の愚行を重ねるのは、見苦しいぞ。この宝玉、見誤る事は絶対にない。この宝玉は女王陛下から拝借している物でな。お前の嘘は見え透いた嘘ということのだ。エリッサ」

「はっ」

「灰色ローブの者のフードを取れ」

「はっ」

 指示を受けたエリッサは灰色ローブを纏う見習い魔導士少年のフードをはぎ取った。忌子で間違いない特徴の黒髪・赤目が顕わになった容姿を見たエリッサは目を背けた。

「神父エルンスト。これはどういうことだ。お主、リムラ教の掟は知っておろう。何故、忌子がこうして生きておるのだ。洗礼の時に処分しなかったのはどうしてだ。神父マルケス・エルンスト。この者は黒髪、赤目の魔神の子で相違ないな」

 額に脂汗を滴らせた神父エルンストの首が縦に振られ、か細い声を振り絞って答えた。

「相違ございません」

「名は何という」

「セト・アスベルと申します」

「忌子である魔神の子、セト・アスベルはその場での死刑執行、アスベル家一家の者は即日、公開処刑執行、神父エルンストは捕縛し王都へ連行する」

 そうエリザベータが言い終えるか否やヨハンは、大剣ギロディストを抜刀して駆け出していた。ヨハンはすぐさま攻勢に転じて、エリザベータの後方で待機している5名の近衛翼竜聖騎士団アマゾルダル団員へ立ち向かった。

 不意を突かれた近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルの団員一人が大剣ギロディストの刃の餌食になり吹き飛び、土でこしらえた壁を突き破った。

「皆逃げろ」と叫ぶヨハン。

 もうもうと土煙が舞い上がり、視界を遮られた近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルの聖騎士達。

「ひぇぇ、ヨハン頼む」

「今の内に早くっ」

 前方を警戒しつつ大剣ギロディストを前方へ構えるヨハンが叫ぶ。

「マナカ、ハンスを抱いて窓から行くぞ」

「はい、神父様」

 いち早く窓から逃げた神父エルンストは悲痛な叫び声を上げた。

 神父エルンストのあとを追って窓から逃げたハンスを抱えたマナカもその神父エルンストの叫び声と重なるかのように悲痛な叫び声を張り上げ、ハンスの激しい泣き声が発したか否や三人の断末魔はピタッと止んだ。


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