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いつも通り

おそくなってすいません

今回長めです

空を、王都へ、家へ向けて飛ぶ。

魔法は、心が落ち着いていた方が強い力がでる。

わたしに心があるなら、わたしの心はきっとしずまりかえっている。だから、同じ魔力でも普通より速く飛ぶことができる。これなら、すぐに着くだろう。



あの少年と少女。特に、少年の方。

あれは、気を付けた方がよさそうだ。

まさか、私と同じようなことを考える奴がいたなんてーー

思い出してはないと思うけど……大丈夫だろうか。



ついた。もうすぐ、時間だ。

じゃあ、さようなら。

次がないことを祈って。


----------------------



「お前なんて、産まれなければよかったんだ!お前のせいで、お前のせいで!」


そういい、私を殴る男。


「お前は、いらない。お前なんか、いらない!お前はさっさと死ぬべきなんだよ!」


そう叫び、私を海に突き落とす男。


ー私の父親ー


そう、私が生まれなければ、私を産まなければ、母は死ななかった。私のせいで、母は死んだ。


そう、私はいらない。私なんかいらない。

でも、私にとって、お前もいらない。


そう、私は死ぬべき。死ぬべき子供。母を殺したのだから。

でも、娘を殺すお前も死ぬべき。死ぬべき男。


そう囁くのは、誰?

私?

それともーー



落ちていく、堕ちていく。

暗く深い、闇の中に。


苦しい、苦しい。

息が、苦しい。

胸が、心が、苦しい。


ー心?ー


心って、なに?


嬉しいって、悲しいって、楽しいって、憎いって……

感情って、なに?


なにも知らない、なにもわからない。


手をのばす。


誰か、誰かーー


「たす…け………て」




ガバッ


きずいたら、自分の家、自分のベッド。

その上で、手をのばして、泣いていた。

心の中で泣いていた。

苦しい、助けて、って。

でも、まるでやり方を忘れたかのように、涙はでていない。


どうして、家にいるのだろう。

私は、あの村にいたはずなのに……。


どうして、こんなに悲しいのだろう。苦しいのだろう。


どうして?


私は、なにも知らない。なにもわからない。


みんなに、会いたい。

会って、話して、笑って、全部忘れたい。


「独りは、いやだ」


その呟きは、月明かりのさす薄暗い部屋に消えていった。




----------------------




翌日。私は冒険者ギルドに向かっていた。

早くみんなに会いたかった。

いつもにぎやかで、バカなことばっかりやってる優しいみんなに。


「おっはよー」

「アイナ、おはよー」

「おう、アイナ!昨日ぶり」

「村、どうだったー?」


ー村ー


その言葉に、胸が大きく脈打つ。


「うん。ボロボロで……まあ、ヤバかった」

「語彙力どこいった」

「あはは。でも、あんなの誰がやったんだろうね」

「あんなのがどんなのかわかんねぇけど、確かに誰がやったんだろうなぁ」

「確かに」

「へんな噂もあるしな」

そう、みんな口々に話し始める。

「……まあ、そんなことより、今日の依頼は?」

「そんなことって。…えっと、今日の依頼はねぇ、いつも通りだね」


「ふーん。じゃあ、これ!」

いつも通り依頼を受ける。


「いってきまーす」

いつも通り依頼に出かける。


いつも通り。そう、いつも通り。

いつも通りの私。

いつも通りの日常。

いつも通り、いつも通りーー


大丈夫。私はいつも通り。




~カミラside~


「今日のアイナ、なーんか変だったなぁ」

「笑顔がぎこちなかった」


アイナがでていったとたん、みんな口々にアイナについて話し始める。

確かに、今日のアイナは少し変だった。


「アイナはS級といっても、まだ子供」

「私達を子供あつかいするといっても、まだ子供」

「とても頭がよくてたくさんの知識があるといっても、まだ子供」


げっ。この声は。


「昨日村でみた光景に、悲しい気持ちになった」

「それでも、私達に心配させないように」

「ここにきて、いつものように振る舞った」


「「ああ!今日もすばらしく尊い!!」」


やっぱり、自称アイナ親衛隊。

今日もまた美人が台無しだよ。


この3人は、自称アイナの親衛隊。残念な美人として有名。

“あの残念な……”でたいていの人が誰かわかるくらい有名。

本人達は気にしてる様子ないけど、いいのかな。


……そんなことより、今はアイナのことだね。

あの3人がいう理由ならアイナのことだから大丈夫だと思うけど……ちょっと違う気がする。アイナは、“みんな大大大好き!”とかいってそうだけど、私はいままで一度もアイナが人に対して“好き”とかそういう言葉をつかったところをみたことがない。そういう話題になっても、いつも曖昧に笑って誤魔化している。それは誰に対しても同じでーー

そして、その時のアイナの瞳は普段のアイナからは想像できないほど冷えきっている。

きっとアイナは、“好き”とかそういうのがたぶん嫌い、というか、もはや嫌悪してると思う。自称アイナ親衛隊が何度もそういう話題をだすけど、何度見てもあの目はそういう目だった。

アイナは誰にでも優しい。でも、好意に関しては嫌悪感をもってるし、他人に関心がない気がする。他人なんかどうでもいい、みたいな。言い方悪いけど、そんなアイナが見ず知らずの人が死んだからってあんなふうになるかな。私だって、その村の人達が可哀想だって思ったけど、隣国のことだし、そんぐらいにしか思わなかった。村、そんなに酷い状態だったのかな。アイナ、村で何があったんだろう。


「カミラ。この依頼を受けたいんだけど……」

「えっ!」


どうやら考えこんでいたようで、声をかけられるまで相手に気づかなかった。ヤバッ。今は仕事に集中しないと。


「ごめんなさい。気づかなくて。この依頼ね、わかった」


声をかけてきたのは、茶髪の美少年。8歳だっけ。ちなみにS級。この子の仲間2人も。最近の子供が怖いんだけど。あとこの子、8歳なのに色気が……。別の意味で怖い。それにしても、久しぶりだなぁ。最近来てなかったし。


「久しぶりだね。最近何してたの?」

「ん?隣国の事件の調査だよ」


そういって、にっこりと微笑んだ。い、色気が。こいつ、8歳のくせに、8歳のくせにぃ~!

私なんて色気のいの字もないんだぞ!その1割でもいいからわけて!君に色気はまだ早い!

…っと、いけない。仕事仕事。


「り、隣国の調査って、今噂のあの事件の?」

「うん」


8歳がなにしてんの?

てかこの子は何者ですか?いろいろ怖い。


「あ!そうそう、隣国といえば、アイナが昨日そこにいったんだよ」

「アイナ?」

「え?アイナを知らないの?」

珍しい。

「うん。ねぇ、そのアイナちゃんって、どういう子なの?」


そう、目をキラキラ、いや、もはやギラギラ?させながらきいてきた。

ここに野生の狼がいる。私はあなたの将来が心配だよ。

まあ、特に隠す理由もないし、そのうち知るだろうから話すけど。




---------------------------------



その日の夜。


「ヘンリ~。面白い情報ゲットしたよ~」

「面白い情報?」

「今日ギルドいったらさ、隣国の事件の話になって……」


アイナの知らないところで、少年達はゆっくりと、でも確実に動いている。

ヘンリーだー!

ごほんごほんっ


えー、ごめんなさい!

うちのやる気ちゃんが家出してたの!(言い訳)

今日帰ってきたの!

明日からはちゃんとやる!……ような気がしないでもない。

……すべてはやる気ちゃんしだい。

うん。本当すいません。

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