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馬鹿な女は愛せない、と離縁されましたので……!  作者: 一分咲


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25/33

25.元旦那様と再婚ですか……? 3

「俺の子のはずはないな。こうなることを恐れて、彼女にはエスコート以外で指一本として触れたことがない」


 ひどく忌々しそうなウィリアムの表情に、彼が言っていることは事実なのだろうと思う。


(お屋敷の皆様は、キャサリン様を歓迎しているようですから……キャサリン様がウィリアム様の愛人だというのは、皆が希望の元にでっち上げた嘘なのでしょうね。三年前の違和感に説明がつきました)


 レリアはウィリアムと結婚していた頃、キャサリンが夫の愛人だというのがいまいち腑に落ちなかった。屋敷の皆が「あの二人はお似合いだ」と言いながら、レリアを邪魔者として見てくるのが不思議だったのだが、今となれば納得する。


(三年前に潜入した際、このお家にはキャサリン様のご実家、ガルシア侯爵家に縁がある方々が多く働いていらっしゃいました。代替わり前のエルランジェ公爵家は使用人の方々が中々居つかなかったいわくつきの家でしたものね。関係が深い家に雇用を頼るのは、特段おかしいことではありません)


 当時、『国が内部からめちゃくちゃに壊したい家』としてエルランジェ公爵家を見ていたレリアとしては、何も引っかかるところはなかった。しかし今改めて味方側に立てば、この状況のおかしさに気づかなかった自分はどうかしているような気がしてくる。


 ところで、目の前の状況に意識を戻したい。


 ウィリアムの言葉はキャサリンには届いたものの、周囲の使用人たちには聞こえなかったようだ。キャサリンははっきりと「触れたことはない」と断言されて顔を真っ赤にしながらも、エスコートしようとする家政婦長に身を預けるのだった。


「私、疲れてしまったわ。いつもの部屋で休みたいの」

「はい。キャサリン様のお部屋にご案内しますわ」


 ざわざわとした祝福ムードの空気の中、キャサリンがなぜかこの屋敷内に持っている部屋に下がっていくのを皆で見届ける。


 キャサリンの妊娠は、ウィリアムすら知らなかったのだから、この屋敷の面々も知るはずがない。きっと、彼女は自分が持てる全てを利用し、何もかも既成事実にしたいのだろう。


(ウィリアム様の「指一本触れたことがない」が本当なら、彼にとってはとんでもなく不名誉な噂を立てられたことになりますが……怒れないですよね)


 なにしろ、キャサリンの父親はガルシア侯爵。


 この国の軍部を操り、関わる貴族たちを掌握する、王太子選には欠かせない存在だ。選挙を前にしたウィリアムが楯突くことができないのは説明されなくてもわかる。


 キャサリンが去った後、レリアはウィリアムに問いかけた。


「彼女の妊娠の真偽はともかくとして、王太子選の票集めが有利になる方向で考えるのなら、このままキャサリン様と結婚するのがいいと思いますが」


「冗談はやめろ」

「では、どうされるのですか?」


 仏頂面の元夫に問いかけると、彼はチラリとこちらを見る。それから、不敵な笑みを浮かべた。


「……いいことを思いついた」

「何でしょうか?」

「詳細を話す前に、人払いを。組織の人間だけ残ってくれ」


(……?)


 ウィリアムの言葉で、使用人たちが部屋から出ていく。護衛の四人とウィリアムだけが残ったのを確認して、レリアはもう一度問いかけた。


「それで、人払いをしてまで話したい『いいこと』って何でしょうか?」


 正直、この展開での『いいこと』に関しては、あまりいい予感はしない。けれど、なんとか笑顔を取り繕って問いかけたレリアに、ウィリアムは一日の予定を告げてくる上官と同じぐらいの軽さで言った。



「――俺と結婚してほしい」


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短編投稿しました!(2026/7/6)
はじめまして、聖女に振られた旦那様

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