16話:あかんたれと追いかけっこしてあげたんどす。
ある日のこと、とある部屋の引き出しに、あかんたれがなんや美味しそうな匂いがするもんを隠してることに気づいたんどす。
あかんたれだけせこいわ思いまして、うちもそれを拝借させて貰っとったんよ。せやったら、タイミグが悪うことにバレてしまいましてん。
あっ、これあかんやつや。そう思ったら体が勝手に動いてしもうてたんどす。
ひょいひょいって、あかんたれの足通り抜けて逃げててんけど、そんならめっちゃ追いかけてきますねん。
これ怒られる奴やん!? そう思て、必死に逃げとったんやけど、なんやあかんたれは体力無さすぎひんか? こんなんに捕まるようなうちやありゃしまへん。
しゃあないから、ちょっと待っとったろ思いましてな、捕まる寸前で何回も逃げたりましてん。そんなら、最終的にはめっちゃ息切れして倒れはりますねん。
どないしたん? 思て様子見に行ったたら、体力の限界が来たらしくてな、ほんまあかんたれはあかんたれやわ。
もう一歩も動かれへん! みたいに寝転がって、うちを捕まえる気力すらなさそうどした。
これはうちの勝ちでええって事どすか? そう思いながら、あかんたれの上で「うちの勝ちや!」って勝利宣言したったら、珍しいこともあるんやね。あかんたれも負けを認めたようにうちの喉元撫でてきよったんどす。
ちょっとは見直した瞬間どすな。まあ、せやけど、野生に生きるもんは体力が命やさかい、あかんたれはもっと体力つけるべきやと思うんよ。せやからうちがまた今度、特訓したらなあかんな。
うちはそう思いながらも、あかんたれの相手をもうちとだけしたりましてん。




