⑩月❸〇日:今日は、はろうぃんとやららしいのである!
今日は何やら、朝から外が騒がしいのである……。
ワイワイ、ガヤガヤと雑音が響く家の中、吾輩は不機嫌になりながら起きたのである。
それと同時に、玄関を叩く音が。どうせおばはんだろ。今までなら居留守を決め込んでいたであろうが、おばはんは顔は怖くても金之助と吾輩の恩人である。
そんなおばはんを無下に扱うのも悪かろう。吾輩は、はあ。と憂いを溜め息として吐き出した後、玄関の扉を開けたのだ。
目の前には珍妙な格好をしたおばはんや、近所の子供たちが嬉しそうに騒いでおる。
おばはんは何をしているのであるか? 吾輩は、変な格好をしたおばはんにそう声を掛けたのだが、返ってきた言葉に思わず目を点にしてしまったのである。
なんでも、今日は“はろうぃん”とやららしい。そしておばはんは“ばにぃ”の“こすぷれ”なるものをしているらしいのだが、おばはんよ、その歳になってそんな珍妙な格好ができるとはもしや羞恥心というものが備わっておらぬのか? そう聞いたのだが、鬼婆顔負けの形相で怒られたのである。
流石に吾輩、理不尽極まりないのである!
吾輩が、おばはんの理不尽さに不貞腐れておると、おばはんは嬉しそうに金之助に、カボチャの帽子を被せ始めたのだ。
だがしかし、吾輩の目には、ただただ迷惑そうな顔をしているようにしか見えぬ……。にも拘わらず、おばはんは金之助も喜んでおると申すのだ。
これは参った、参った。
それに何故だか、近所の子供たちまでも吾輩の家にやってきて、“とりっくおあとりーと”などと抜かし始めるのだ。
吾輩にはその呪文が何なのかよく分からぬのだが、呆気にとられていると、子供たちは悪戯盛りなのだろう。これでもかと顔に落書きされてしまったのである。
これは参った、参った。
悪戯は良くないのであるぞ! ほれ金之助の顔に免じてもう許してくれぬだろうか? そう子供たちにお願いしたのだが、どうやらはろうぃんは子供が仮装、大人がお菓子を配る役割を担うらしい。
ということは、おばはんのばにぃはばに不相応ということなのである。まあ、それを追求するとまた怒られるのであるから、そこは振れぬとして、この家には子供が好むお菓子などありはせぬ。参った、参った。どうしたものか──




