12話:鬼婆はほんま、ごめんどす。
そっから意識は朦朧として、もうよお分からんなりましてん。体は震えてさぶうけど、うちもまだここで死ぬつもりありまへん。そんな気持ちでなるだけ暖を取れる場所で縮こまっとったら、気いついたら顔が怖あ鬼婆に抱き抱えられとったんよ。
なんやこの鬼婆、うちをどうする気どすか!? そう必死に叫びとおても、体力が底を尽きとるんか、声が掠れて掠れて出やしまへん。
ほんま、母から聞いた鬼婆と酷似しとったさかい、もう心臓バクバクもんやったんよ。今でもあないに醜う女を見ることなんかありまへん。
それくらい怖かったんどす。ほんなら、なんや変な臭いが漂よっとるけったいな場所で、あかんたれな男がうちから離れようしてはらしまへん!?
えっ、ちょ、待ってぇや。うちをこんな化け物の元に置いていくつもりどすか!? うちは堪らんなってしもて、白い衣に身ぃ包んだけったいな男の腕から飛び出し、あかんたれな男を追おうとしたんや。
せやったらここでも鬼婆が邪魔してきはりますねん。ほんまなんなんどすかこの鬼婆!?
男は背中に哀愁漂わせとったし、ほんまこいつらなんなんや。うちは内心困惑しながらも必死に待たんかい! て叫んだんどす。
そしたら、男がようやくうちのことに気づいてくれはって、なんや言うたあと、また白い衣に身ぃ包んだけったいな男にうちを引き渡して、去っていきましてん。
うちは鬼婆の餌にされることになったらしいわ。そう覚悟を決めとってんけど、何日経っても鬼婆は姿現さへんし、白い衣に身ぃ包んだけったいな男もうちにご飯くれて、なんや身体弄るだけでなんもしてきはりまへん。
不思議に思っとったら、急にまたあかんたれな男が姿現しましてな、うちを抱いてどっか行こうしはりますねん。
なんどいこいつ。って噛んだろう思いましてんけど、うちを抱く男の顔は、なんやほんま嬉しそうで、この男もうちと同じ独りぼっちなんやろな。そう思たらご飯の恩義もあるさかい、当分この男の世話でもしたろかな思いましてん。せやからもちろん、噛むんも辞めてあげたんや。
そっからあかんたれとの生活が始まったんよ。




