第4節「束間」 ―御島 凛
「楽しかったぁ」
思わずひとりごちてしまうくらいには楽しかった。
というのも、今日は糸たちと遊びに行っていたのだ。夏休みだから、これからも沢山遊びに行くんだろうけど、夏休み一発目ってなんか、「夏休み始まったぁ!」って感じを実感できて、より楽しく感じる。あれ、これって私だけ?
とにかく、たくさん遊んで、今はその帰り道。
因みに、気温は33度。もう8時になろうっていうのに、めっちゃ暑い。あんまりにも暑いので、心頭滅却してさっきから1人でずっと「寒い寒い寒い」と唱えながら帰っている。周りに人はいないので、変な人に思われることもない。あんまりにも暑いから、きっと皆家にいるんだろう。
あっ、そうそう、そういえば今日は亮くんと美桜ちゃんのデートの日なんだよね!しかも誘ったのは亮くんからなんだとか。まぁカフェ行くだけなんて言ってたけど、ほんとは他に色々するんだろうと思っている。
そんなことを思い出して思わず緩みきってしまった口元を伸ばさないままにスキップしていると、
「……凛」
「どひゃぁ!」
急に声をかけられて、驚きすぎて漫画みたいな声が出た。
「そんなに驚かなくても」
苦笑して立つその人は、お父さんだった。
「び、っくりしたぁ」
ほっと息をつく。お父さんは気配が分かりづらいから、急に来られるとびっくりする。普通に暗殺者とか向いてると思う、この人。
「ってかお父さんはこんな時間にどこ行ってたの?」
「……ちょっと用事でね」
少し間をおいて、お父さんはそう答えた。
「ふぅん」
我ながら気のない声が出て、お父さんはそれで苦笑してた。
「凛こそ、もう8時が来るけど、ちょっと遅すぎるんじゃないか?」
少し咎められた。うぅ、お父さんらしいこと言ってくんじゃん。
「え〜いいじゃん別にぃ」
少し唇を尖らせてみせると、
「うーんまぁ、……今回だけ、な?」
「やった」
許された。
そんな事を言っているうちに、家に着いた。
「あ、やば」
そこで、鍵を忘れてきていたことに気づく。
「お父さん鍵持ってる?」
聞くと、
「当然じゃないか、私は家主だぞ」
至極当然の答えが帰ってきた。
お父さんはバッグから鍵を取り出して、開けて、私を先に入れてくれた。
「ただいまぁ」
大きな声で呼ぶ。お母さんからの返事はなし。今日は家にいるはずだから、多分集中して楽曲でも作っているのだろう。その時のお母さんの集中力はすごくて、周りの音が一切耳に入らなくなることもしばしばだ。
とりあえず、お風呂入ろっと。
私は靴を脱いで、玄関に上がっ




