2-12 セリーヌの告白
「実はね。私、まだアリシアに言えてなかったことがあるの。」
夜、眠るときになってセリーヌが突然改まって姿勢を正して話し始めた。
もしかして、あの事か?自然と私も正座をして話を聞く体勢を整えた。
「話を聞く覚悟はできました!さあ、どうぞ。」
私は神妙な顔をして、ごくりとつばを飲み込んだ。
「すごく言いづらいんだけどね...
私...
ーーー明日帰らなくちゃいけないの...わ~~~ん。」
セリーヌはそう言って両手で顔を覆ってしまった。
私は、あまりの衝撃に声を出すこともできなかった。
「ど、どうしても?」
恐る恐る私が、セリーヌを見つめると...
「学園が始まっちゃうのよ~~」
セリーヌは、この世の終わりのような顔をした。
「そ、それは...仕方ないわね~それじゃ、絶対絶対また来てね。約束よ。」
私がそう言うと、セリーヌは大きくうなづいて約束してくれた。
「でも、セリーヌ。まだ、私に言えてないこと、あるでしょう?」
私は実は鋭いのである。セリーヌをじっと見つめた。
「はあ~。やっぱりアリシアには分かっちゃうのね。そうなの、まだあるのよ。」
やっぱり!今度こそ、あの事よね。
「何なの。私、心の準備はできているわ。何でも言って。」
私がそう言うと、セリーヌは背筋を伸ばして、一つ息をついた。
「あのね。
今まで言ってなかったんだけど...
ーーー私、ロマンス小説家を目指しているの。
キャッ!言っちゃった!」
セリーヌは、今度は打って変わって両頬に手を当てて恥ずかしそうにしている。
私は、またもや驚きのあまり固まってしまった。
「そ、そうなのね~びっくりしたわ。予想と違ってスケールが大きすぎて心臓が止まるかと思ったわ。」
本当に、心臓がどきどきとうるさい。セリーヌはやはり恋愛の先生だったか。
「いいと思うわ。私、セリーヌを応援する。本ができたら一番に読んで一番にファンクラブに入るわ。約束する!」
私は、セリーヌの手を取った。
「それでね。ちょっと言いづらいんだけど...」
セリーヌがもじもじと指を触り始めた。
「何でも言って。私たち親友でしょう。」
私が、そう言うと...
「あのね。
あなたとロラン様のこと小説に書いてもいい?もちろん!誰かはわからないようにするわ。
お願い!もう私、書きたくて仕方がないのよ。実は、もう初めの辺り、書き始めちゃってるんだけど...」
なんと!
「誰かは全く分からないようにしてくれるならいいわ。セリーヌの書きたいという気持ちを止めることはできないものね。がんばって!」
私が言うと、セリーヌは嬉しそうに私の手を取ってきた。
「ありがとう。あなたのことは最高に素敵に書くわ。約束する!」
私は、だんだん我慢ができなくなってきた。
「セリーヌ!思い切ってこちらから聞いちゃうけど...あなた、ルシアン様のことで私に言いたいことあるでしょう?」
もう思い切って聞いてやった!好奇心を止めることができない。
「えっ。気、気づいていたの?もう、アリシアには何でも分かっちゃうのね。恥ずかしいわ。」
セリーヌが顔を赤らめて下を向いてしまった。
「分かるわよ。あなたの親友だもの。大事な事よね。ルシアン様は両方好きよ。」
「えっ」
私が、セリーヌに教えてあげると、セリーヌは驚いたように顔を上げた。
「何のこと?」
セリーヌは首をかしげる。
「何って、ルシアン様は野菜派でも肉派でもなく両方好きだってこと!」
私が、セリーヌにしっかり教えてあげた。
「そうね。そのようね。でも、私が思っていることは、ちょっと違うの。」
セリーヌの言葉を聞いて、首をかしげるのは今度は私の方だった。
「どういうこと?」
「恥ずかしいんだけど、私、ルシアン様のことちょっといいなと思ったのよ。」
セリーヌの言葉を聞いて衝撃に思わず大声を上げそうになり、慌てて口を押さえた。
「全然気づかなかったわ。そうなの?どのあたりが?」
私がこっそり聞くと、セリーヌは恥ずかしそうに小声で話した。
「ルシアン様って大人でしょう。『何でも来い』って!すごく頼れるなって思ったの。だから私、ルシアン様の視界に入れてもらえるように自分を磨こうと思って。」
セリーヌの言葉は、すごく大人びていて、さすが私の恋愛の先生だと感心した。
そうして、夜の衝撃の告白タイムが終了した。
次の日、ルシアン様が帰った後、家族みんなに惜しまれながらセリーヌも学園に帰っていった。
絶対にまた会おうと約束を交わして。




