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2-11 カフェ作りの第一歩


「まだまだ忙しいんだが、また何かひらめいたのか?なんかここに来るのが恐ろしくなりつつある...」


ランバート商会のルシアン様がそう言って、うちの執務室に入ってきた。


「何ですか?それ!わくわくしてくるの間違いじゃないんですか?」


私は、ルシアン様に向かって澄ました顔でそう答えた。


「そうですね~おかげさまでプライベートな時間がまるでないほど、忙しくさせていただいてます!」


ルシアン様から、まるで感情のないような棒読みの答えが返ってきた。


「本当にいつも無茶ばかり言って申し訳ないね。言いにくいんだが、今回は更に大事になりそうなことなんだけど。止めておくかい?」


お父様が、すまなそうに肩をすぼめてルシアン様を見た。


「いえ!申し訳ありませんでした。商人として呼ばれたのについ弱音を吐いてしまいました。ぜひ、お聞かせ願えればと思います!」


ルシアン様は、お父様に向かって背筋を伸ばしてそう答えた。


「今回は、私の領地の特産になった野菜、ハーブ、ジャムを使ったお菓子や料理を食べられるカフェを作れないかという相談なんだ。」


お父様が、意を決して本題を話した。

その途端、ルシアン様は目を丸くして驚いた後、黙って考え込んでしまった。


「驚くのも無理はないね。私もまさかこの領地の特産物がそんなことになろうとは思ってもみなかったからね。」


お父様も自信がないのか、ため息をついている。


「と、言うことはこの提案をしたのはまた、君かい?」


ルシアン様は、困った子を見るかのように私に視線を向ける。


「この領地が大好きなだけです。それに私だけで考えついたことでもないんです。周りのみんなと関わっていくうちに自然と思いついちゃっただけなんです。言うなれば偶然の産物ですよ!」


私は、腕を組んで笑顔でうなづいた。


「は~~~~っもう分かったから、どうしたいのか詳しく聞かせてもらおう!こうなったら何でも来いだ。」


ルシアン様は、諦めたようにメモの準備を始めた。


そうして、カフェで出すお菓子や料理。どんな客層を狙うか。場所はどのあたりにするのか。そのための準備は何が必要か。いつ頃オープンにこぎつけるか。など少しずつ話し合っていった。


まだ、カフェの計画がスタートしたばかり。

大まかに決まったのは、貴族向けに王都にカフェを作る。

そのために、まず領地に安定した材料を確保できる果樹園、ハーブ園を整備すること。

野菜はもともと作っているがカフェ用の野菜を提供できる場所を作ること。

輸送手段。

同時にカフェを作りつつ、そこで働く人を見つけ、教育していくこと。


課題は山盛りだが、その分需要や雇用も拡大し、成功すればかなりの利益が見込めること。


規模がかなり大きくなるので、ランバート商会で信用のおけるところに声をかけながら進めていくこととなった。


そんな話がまとまったのは、もう夕食の時間だった。


そこで、今日はルシアン様を夕食に招待して、泊まっていただくことになった。

もちろん、セリーヌも一緒だ。


「今日は、夕食にまでご招待いただき感謝申し上げます。宿泊まで、本当に申し訳ない。」


ルシアン様はかしこまって、頭を下げた。


「いえいえ。こちらこそ時間のかかる相談事をしてしまい、遅くしてしまいました。今日は、私どもが作った家庭料理ですが、召し上がっていってください。」


お母様も申し訳なさそうに挨拶を返した。


「あ!こちらは私の学園の友人でセリーヌさんです。カフェを作ろうと思ったきっかけを作ってくれた人です。」


私が、セリーヌを紹介すると、慌ててセリーヌも立ち上がって挨拶をした。


「アリシアの友人のセリーヌです。どうぞよろしくお願いいたします。」


なんだか真っ赤になってかしこまって挨拶をしている。

セリーヌってこんなに人見知りだっけ?あんまり話を振るのはかわいそうね。話題を変えましょう。


「ところで、今日の料理はいずれカフェやレストランでも出せたらいいなと思っている料理もあります。まずは、食べてみてください。」


私は、そう言って領地の野菜にジャムのドレッシングをかけたサラダを勧めた。


「これは...見た目もおしゃれでいいな。このドレッシングも新しいもの好きな貴族には受けるぞ。味はどうだ...

ーーー甘酸っぱくてさっぱりしていて旨い。もともとの野菜の味を更に引き立てている!」


ルシアン様は食レポ番組のリポーターも真っ青なほど、詳しく感想を話してくれた。


「ル、ルシアン様は、意外と野菜派なんですね。」


突然、恥ずかしそうにセリーヌがルシアン様に声をかけた。


これは!!!野菜派仲間を増やそうとしているのね。セリーヌったら。でも、分からないわよ。

私がしかと確かめなければ...


「ルシアン様。こちらは、鶏肉にハーブを添えて焼いたものです。どうでしょうか?」


ルシアン様は、ローストチキンをよく観察してから食べてみる。


「これは食欲をそそるような香りがするね。

ん~~~!鶏肉の臭みも抜けて皮もパリッと焼けていておいしいな。」


またまた好意的な感想!セリーヌ!なんと、ルシアン様は野菜も肉もどちらも好きみたいよ。



そんな風に、リサーチを重ねつつ、楽しい食事の時間は過ぎていった。



その夜ーー



セリーヌから衝撃の告白を受けることとなる...


お読みいただき、ありがとうございます。

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