1-2 婚約が決まりました!
コケコッコー!!
今日も朝から、一家総出で働いたグランベル家。
食卓には今日もおいしそうな料理が並んでいる。
みんなが席について食べ始めた。
「お父様!」
私が声をかけようとすると...
「おっ。今日は、トマトと卵とピーマン、ナスの炒め物か。彩りもきれいでおいしそうだな。」
お父様が朝食の席で、いつものように感想を言ってくれる。
「あら。それは、アリシアが作ったのよ。料理長に教わりながら。どんどん腕を上げてるわ。」
お母様にも褒められた。
「シア姉さまもお料理上手だね。いつもおいしいよ。」
エドワードは、いつもみんながうれしくなる感想ばかり言ってくれる。本当にいい子!
「ありがとう。お母様と料理長に...って!!!そうじゃなくて、お父様!」
危ない!今日こそ大事なことを聞きだそうと思っていたのに、おいしい食事を前に危うく忘れるところだった。
「私ももう14歳になってだいぶ過ぎてしまいました!」
私は、もうこれ以上待てないと立ち上がった。
「そうだったね。大きくなった。そして、ずいぶんきれいになったね。」
お父様が、私を見てうれしそうに微笑む。
「ありがとう...って!もう、そうじゃなくて!私の婚約のお話はどうなったのですか?」
パン!
私は、テーブルの料理に気を付けながらちょっと優しく手をついた。こぼしたら大変だもの。
お父様は、一瞬キョトンとした顔をしたけれど、思い出したのか私の方に向き直った。
「そういえば、ジャガイモの収穫で忙しくて言うのを忘れていたよ。おめでとう。婚約が決まったよ。」
なんと!私の婚約はジャガイモに負けたのか!!まあ、確かに今年は豊作で...って、そうではない。
「もう、そんなに大事なことは早く教えてください!いったいどこの領地に行くことになるんですか?どこの?」
それこそ、一番大事なことが分からない。
「もうお嫁に行くことを考えているのかい?まだまだ早いよ。」
「シア姉さま、まだこの家にいてください!」
お父様も、弟も悲しそうな顔になってしまった。
「私が話しているのは、最終的にです。どちらの方との婚約が決まったのでしょうか?」
私も反省して落ち着いて質問することにした。
「それなんだけどね、実は・・・私の友人であるアシュフォード侯爵のご令息だよ。私から話を持ち込んでみたら、すぐにうなずいてくれたよ。」
お父様は以前から親交のあったアシュフォード侯爵に話に行ったということだった。
「侯爵家なんですね。その・・・ある程度の資産はちゃんとあるんですか?まさか、貧乏ではないですよね。」
私は、もう気になって気になって質問を止めることができない。
「アリシア。婚約とは一生を決める大事なことだよ。相手をきちんと見ないとだめだよ。」
お父様は、食事の手を止めて私にわかるようにゆっくりと話す。
「そうよ。一生楽しくいられる相手かどうかどうかが大事よ。あなたには、幸せになってもらいたいもの。」
お母様も、私に優しく声をかける。
本当だ。これでは相手にも失礼だった。私はすぐにみんなに謝った。大切なのは、どんな方なのか。私が楽しくいられるか。そこが大切だと分かった。
それでも私には、やはり領地も大切だ。
私は、婚約者の方と仲良く過ごして、やがて結婚する。その後で、もし、お願いできるのならこのグランベルの領地を豊かにするお手伝いをしていただきたい。
そのためにも、まずは婚約者の方にお会いして、私を気に入っていただかなくては...
結婚までしっかり愛を育んで、そしてかわいくおねだり!?なんちゃって...
どこまでも、ずれていく思考ーー
おいしい朝食をいただきながら、アリシアがまさかそんな作戦を立てているとは、家族は誰一人、気付かなかった。
そうして、自分のちょっとずれた人生設計をしっかり立てながら、婚約者に会う日を待つ幸せなアリシア。
婚約が決まったのに、なかなか顔合わせができない時点で、おかしいと気づかないのがアリシアだった。
それでもようやく、婚約者との顔合わせの日程が決まったと連絡が来たのは、ジャガイモの収穫もとっくに終わり、アリシアが学園に入学する準備が必要な頃だった。
明日からできる限り投稿していきたいと思います。
よろしくお願いします。




