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悪役令嬢に転生したいと願ったら悪役妃に転生してしまった件 ~マリー・アントワネット転生記~  作者: ヒロ1972
第二章 現代知識無双のはずが、全部説教で返り討ちにあう件
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第七話 財政やばいって、本当ですか

日々の王宮生活に振り回される中、妙子の頭から離れなくなったもの。


それは、史実で待ち受ける最悪の結末でした。


未来を変えるため、彼女はまずフランス王国の財政状況を確かめようと動き出します。


挿絵(By みてみん)

さて、そんな毎日にも、多少は慣れ――いや、慣れはしないけれど、なんとか我慢できるようにはなってきた、ある日のこと。


日を追うごとに、わたしの中でどんどん存在感を増していくものがあった。


ギロチンのイメージである。


最近では、窓の向こうからギロチンがこっちを覗いているんじゃないかと、つい窓の外を確認してしまう始末。違う、ここは異世界、異世界、と呪文のように唱えてみても、不安は募るばかりだ。むしろ唱えるたびに、首のあたりがスースーする。


このままではいけない。


まずは現状をもっと正確に把握しなければ。


そう思い立って、今日は財務長官の執務室までやってきた。


執務室に入ると、財務長官のテレーが、にこやかな笑顔で出迎えてくれた。


「ようこそお越しくださいました。お呼びくだされば、こちらから参りましたものを。こんなむさくるしいところですが、どうぞごゆっくり。お力になれることがあれば、何なりとお申しつけください」


歓迎の言葉。


ただし、顔は笑っているけれど、目はまったく笑っていない。「くそ忙しいのに、王族が何しに来やがった。また無理難題を押しつける気か?」と、その目にはっきり書いてある。営業スマイルというか、塩対応を全力で取り繕った顔というか。


そこで、わたしは単刀直入に切り出した。


「お忙しいところ、ごめんなさい。ちょっと教えてほしいことがあるの。今、この国の財政って、危険水準なのかしら?」


すると、テレーは少し驚いた顔をした。


「……そのお話は、どちらから?」


あ、いや、ギロチンされたくないんで――とは、さすがに言えない。


「あぁ、その。侍女たちが、なんだか不穏な噂をしていたものだから。ちょっと気になったというか、なんというか」


そう言うと、テレーは驚きつつも、ふむふむと頷いた。そして、ちらりと背後の書類棚に目をやってから、急に真面目な顔つきになった。


「危険水準、というのはさすがに穏やかではありませんが。確かに、順調とも言いかねますね。別に、国が今日明日にも消滅するというわけではありません。ですが、先の戦争の後遺症で、民も国もすっかり疲弊しております。戦費を賄うために発行した国債、その返済も、かなり切迫してきているのが実情です。できることなら、王族貴族の方々にもご助力を願いたいところなのですが……何かと難しいことも多く、頭を悩ませているところでございます」


「ってことは、やっぱりきついのね。国民はどうなの? 革命とか、起きそうなの?」


「いや、さすがにそこまで差し迫ってはおりません。とはいえ、よい状況とも言えませんな。まあ、そこはやりよう次第ですよ」


なるほど。


「ありがとう、わかったわ。やっぱり、やるしかないわね。こうなったら、出してやろうじゃないの――現代知識無双ってやつを。チートで世界をひっくり返してやるわ」


「は? やるって、何をやるんですか? というか、なんですかその、げんだいちしきむそう、というのは」


「大丈夫。ぜーんぶ、わたしに任せなさーい」


そう言い残して、テレーが制止する間も与えず、わたしは意気揚々と宮殿に戻ったのだった。


――王族が国の財政を気にかけてくださるのは、それ自体は喜ばしいことだ。だが、頭を打って以来どうも奇行が目立つと噂の、あの外国人王太子妃様。本当に大丈夫なのだろうか。


そうひとりごちる、財務長官テレーであった。

お読みいただきありがとうございました。


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