第四十五話 ルイ十五世に、直談判
侍女長から告げられた、あまりにも過酷な王宮の伝統。
手を握っただけで精一杯の妙子とルイ君にとって、それは到底受け入れられるものではありませんでした。
この公開文化を止めるため、妙子はついに国王ルイ十五世へ直談判することを決意します。
公開。
世継ぎ作りが、公開。
侍女長の口から告げられた衝撃の事実に、わたしはしばらく、その場で固まっていた。
おまるも公開。着替えも公開。だったら、その究極形として、いちばん大事なアレも、当然のように――公開。
考えてみれば、この世界の流儀からして、当然の帰結だったのかもしれない。でも、いざ突きつけられると、受け入れられるわけがない。
何でもかんでも、公開、公開、公開。
そのくせ、二言目には「世継ぎ」「世継ぎ」「お世継ぎ」。
……いいでしょう。
そんなに欲しいなら、いくらでも作ってやろうじゃないの。望むところよ。母上の圧もあることだし、いずれは、そういうことになるのも、覚悟はしている。
だけど。
こっちにも、譲れない条件がある。
作る。作るけど。
その代わり――非公開に、させろやおらぁぁぁ!!
【俺の怒りが有頂天】って、やつである。
(注・正しくは「頂点」だが、妙子は混乱のあまり脳内で誤用している。指摘する者は、この場にいない)
というわけで。
わたしは、急遽、国王陛下に謁見を申し出た。
このいかれた公開文化を是正できる権限を持つ者がいるとすれば、それはもう、この国の頂点に立つお方しかいない。最高権力者への、直訴である。
謁見の許可は、驚くほどあっさり下りた。すぐに会えることになった。
どうやら、わたしとルイ君の関係が進展しているという噂を聞きつけて、国王陛下も興味津々だったらしい。
そして、陛下の執務室で、謁見と相成った。
「陛下。急なお願いに、ご対応いただき、ありがとうございます」
「よいよい」
ルイ十五世陛下は、上機嫌だった。でっぷりとした体を椅子に沈め、にこにこと目を細めている。
「最近は、ルイとうまくいっているそうではないか。いやいや、めでたい。これで我が国も、安泰というものよ」
ことのほか、ご機嫌な様子である。孫の縁談がまとまった、おじいちゃん、みたいな顔をしている。
よし。機嫌がいいなら、話が早い。
「それで、その。折り入って、お願いがございまして」
「うむ。何でも言うがよい。わしにできることなら、何でもしてやろう」
なんという、心強いお言葉。さすが、国王陛下。器が大きい。
これは、いけるかもしれない。
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