第四十三話 リア充爆ぜろ、ただし自分が
ルイ君の照れを見抜き、すっかり調子に乗った妙子。
けれど、意地になったルイが彼女の手を握った瞬間、甘い雰囲気はまさかの物理ダメージへと変わります。
それでも妙子の胸には、これまで知らなかった感情がじわじわと広がっていくのでした。
突然。
「て、手をつなぐくらい、わけないよ!!」
ルイ君が、やけくそみたいに叫んで、わたしの手を、ぎゅっと――。
「痛っ!!」
握った。というか、握り潰された。
思いっきり、万力みたいな力で握られたので、わたしは思わず悲鳴を上げた。
精密な鍵は繊細に扱えるくせに、人の手の力加減は、まるでわかっていないらしい。さすが、機械はいじれても人間相手はポンコツの、技師オタク。
「ご、ごめん!!」
ルイ君は、ぱっと手を離した。
そして。
あとはもう、お互い、顔を真っ赤にして、うつむいて。
何が起きたのか、誰も触れないまま、うやむやのうちに、その日は解散となった。
……うん。
自分で言うのもなんだけど。
これ、もしかして。
リア充、爆ぜろ。
って、やつでは。
前世のわたしは、彼氏いない歴イコール年齢の、生粋の非リアだった。バレンタインもクリスマスも他人事。手をつないで歩くカップルを見ては、心の中で「爆ぜろ」と呪いを飛ばしてきた、そっち側の住人。
なのに。
今、どうだ。
握り潰されたとはいえ、旦那様と手を握って、お互い真っ赤になって、うつむいて。これはもう、まごうことなき……リア充の所業ではないか。
つまり、わたしは。
長年「爆ぜろ」と呪ってきた、まさにその対象に――いつのまにか、なってしまっていた。
呪う側から、呪われる側へ。
非リアから、リア充へ。
……かつての同志たちよ、すまない。今のわたしは、爆ぜるべき側の人間だ。心置きなく、わたしを呪ってくれていい。
手を握るどころか、握り潰されて終わった、人生初(?)のスキンシップ。客観的に見れば、ただの大惨事である。
でも。
なぜだろう。
握り潰された手が、じんじん痛むのに。
胸の奥が、なんだか、ぽわぽわして。
悪い気は、まったく、しなかった。
恥ずかしいような、嬉しいような。むずがゆいような、叫びたいような。枕に顔をうずめてジタバタしたいような。
名前のつけられない感情が、ぐるぐる渦巻いていた。
リア充、爆ぜろ。
(※他でもない、自分が)
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