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第二十五話 偽善か、自己満かと問われたら

理事長室に押しかけてきたフリー記者、レオン・ドブレ。


彼は妙子に対し、慈善病院に関わる理由を真正面から問いただします。


それは、彼女自身も目をそらしきれない問いでした。


挿絵(By みてみん)

「ぜひ、お聞きしたいのですがね」


椅子に深く腰掛けたドブレが、へらへらと笑いながら切り出した。


「なぜ、王太子妃様のようなお方が、こんな慈善事業にしゃしゃり出てこられたんです? 苦しんでいる民を間近で眺めて、楽しんでいらっしゃるんですか? それとも、惨めで哀れな貧民どもに慈悲を与えて、自己満足に浸りたいとか?」


「貴様、何を!」


シャルティエが、顔を真っ赤にして叫んだ。


ヴァロワも、ロジエも、そして部屋の隅に控えていた護衛騎士たちまで、一斉に殺気立つ。


護衛騎士に至っては、サーベルの柄に手をかけて、今にも斬りかかりそうになっている。


確かに、ちょっとムカつく。ムカつくけど、相手は記者。記者を斬ったりしたら、それこそ即ギロチンものの大炎上である。


こういうときは、心を落ち着けるに限る。今夜の晩ごはんのことでも考えてりゃいいのよ。


なにせ、わたしの自慢の「踊ってみた」サイトには、いっつもクソリプをつけてくる粘着野郎が何人かいた。「ナニコレ自己満?きっも」だの、「需要ある?」だの。それでもわたしは、ブロックしたい衝動を耐え抜いて、めげずに投稿を続けてきたのだ。


この程度、正直、どうってこともないわ。


「みんな、静かに! ドブレと話をしているのは、わたしです。みんなは引っ込んでなさい」


ぴしゃりと言い放つと、騎士たちが、しぶしぶサーベルから手を離した。


「で、ドブレ。あなたは、何が言いたいのかな?」


「俺が言いたいのは」と、ドブレが目を細める。「王族の思いつきのお遊びで、振り回すんじゃねぇってことだ」


「慈善病院の運営が、お遊びだとでも?」


(お遊びじゃなくて、無理やり押し付けられて困ってるんですけどね。まじで)


「あぁ、そうだ。国も王族も、結局は最後、自分かわいさで俺たちを切り捨てる。いつものことだ。お遊びじゃないって言うなら、なんだ? 偽善か? 自己満か?」

お読みいただきありがとうございました。


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