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悪役令嬢に転生したいと願ったら悪役妃に転生してしまった件 ~マリー・アントワネット転生記~  作者: ヒロ1972
第五章 病院が綺麗になったと思ったら、理事長を押し付けられた件
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第二十一話 義叔母様たちの、密談

慈善病院の理事長という新たな肩書きを背負わされた妙子。


そのころ宮廷の奥では、義叔母様たちもまた、財務局の強引な動きに頭を悩ませていました。


妙子が知らないところで、王族たちは王族なりの苦しい判断を迫られていたのです。


挿絵(By みてみん)


――さて、ここで少し、宮廷の様子に目を向けてみよう。


王太子妃マリー・アントワネットが、慈善病院の理事長という、よくわからない肩書きを背負わされたころ。宮廷の奥では、王族たちが、ひそやかに、けれど深刻に、頭を抱えていた。


「ねぇお姉様。最近の王宮、どう思います?」


そう切り出したのは、下の義叔母様。


「あいつら、今日もわたくしのところに来て、あれこれ物色していきましたわ。本当に、忌々しいハイエナどもだこと」


あいつら、とは、もちろん財務局の連中である。


「そうねぇ」と、姉である義叔母様が応じる。「ちょっと、財務局の連中、調子に乗りすぎね」


「こちらも、何か動いたほうがいいのかしら」


「うーん。今は、やめておいたほうがいいんじゃないかしら。タイミングが悪いわ。下手に動いて、こちらの足元を見られたら、たまったものじゃないですもの」


「確かに……。でも、まさかマリーをダシに、ここまでやるとは思わなかったわ」


姉の義叔母様は、ため息をついた。


「そうねぇ。こちらの落ち度と言えなくもないけれど。いくらなんでも、子どもを利用して、こんな強引な手を打ってくるなんて、思いもしなかったわ。こうなってしまったら……マリーには可哀想だけれど、ちょっと、距離を取らせてもらうしかないわね」


「そうねぇ。あいつのことだから、下手に突っぱねたら、『王族のせいで増税せざるを得ない』とか『王族のせいで債務が払えない』とか言って、債権者に債務を踏み倒しかねないわ」


「もしそんなことになったら、伝統がどうのこうの以前に、わたくしたちの首が飛んでしまいますものね」


姉の義叔母様は、もう一度、深いため息をついた。


「はぁ……。わたくしも、財政状態の悪化には、ずっと警戒していたし。いつかはこうなるだろうと、覚悟もしていたわ。けれど、いざこうなってみると、さすがに厳しいわね。このままでは、王族の権威が、失墜してしまう」


「本当に、そうですわ。そもそも、マリーもマリーよ。まったく、あんな奴の手のひらの上で踊らされて、何をやっているのかしら。情けない」


「もう少し、しっかりしているかと思っていましたが。再教育が必要そうね。……でも、マリーがテレーの手の内にある以上、下手に近寄るわけにもいかないし。困ったわ」


「「はぁ……。本当に、嫌になってしまいますわ」」


姉妹そろって、ため息が、重なった。


――義叔母様が、わたしに距離を置いたのには、こういう事情があったのだ。


見捨てたわけではない。むしろ、下手に庇えば、テレーに付け入る隙を与えてしまう。それがわかっているからこそ、苦渋の選択として、距離を取らざるを得なかった。


もっとも、当のわたしは、そんな宮廷の深謀遠慮など知る由もなく、ただ「義叔母様にも見放された」と、しょんぼりしていただけなのだが。

お読みいただきありがとうございました。


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