第十五話 有能参謀キャラ、ついに登場か
慈善病院の記事が王宮を騒がせる中、財務長官テレーが妙子への緊急面会を求めてきます。
予算の件で文句を言うつもりだった妙子でしたが、待っていたのはテレーと財務職員たちの一団。
そして彼女の前に、いかにも有能そうな眼鏡の官僚が姿を現します。
翌日の午後。
「王太子妃さま。財務長官から、緊急の面会を求められております」
侍女長が、そう告げに来た。
「え、わたしに? なにかしら。まぁいいわ、通してちょうだい。ちょうど、わたしも話したいことがあったし」
そう。慈善病院の予算の件で、テレーに直接文句を言ってやろうと思っていたところだ。向こうから来てくれるなら、手間が省ける。むしろ好都合じゃない。
そんな軽い気持ちで、わたしは面会室へ向かった。
扉を開けて――足が止まった。
面会室には、すでにテレーと、大勢の財務職員がずらりと並んでいた。
いい年をした大人たちが、ずらり。整列して、こちらを待ち構えている。その光景は、さすがにすさまじい圧力があった。なんだこれ。集団面接? 圧迫面接? わたしが面接される側?
よく見ると、一番後ろのほうに、見覚えのある金髪が立っている。シャルティエだ。なぜか、びくびくしながら、ひたすら額の汗を拭いていた。挙動が、どう見てもあやしい。
「お待ちしておりました。王太子妃様、今日もお美しいですね」
テレーが、にこやかに口火を切った。
「あ、ありがとう。ところで、今日は何のご用かしら?」
「はい。今朝の新聞を拝見しました。慈善活動をお始めになるそうで」
そう言って、テレーは一枚の新聞をテーブルに広げて見せた。
(え、もうニュースになってんの? てか、一面記事じゃない。まぁ、記者を呼んだのはわたしだから当然っちゃ当然だけど。一面まで載せなくてもよくない?)
「え、ええ。さすがに、あれはちょっとダメだと思うんです。だから、何とかならないかと思って」
すると、テレーの口元が、一瞬、にやりと歪んだ。
ような気がした。
「そうですね。我々も、あのような惨状を放置するのは、心が痛んでおりました」
「本当? じゃあ、何とかなるかな?」
「えぇ、そうですね。ところで王太子妃様。最近、いろいろと王宮内で経費削減に取り組んでおられるとか?」
「え。あぁ、まぁ、あれはなんていうか。思いつきというか。うまくいかなかったというか……」
ドレスの着回しも、売却も、食事の削減も、全部失敗した黒歴史なんですけど。なんでそれを今、蒸し返すの。
「大丈夫ですよ、王太子妃様。あなた様には、我々がついております。ぜひ、お力にならせてください。――おい」
テレーが、軽く顎で合図する。
すると、一人の、眼鏡をかけた官僚が、すっと前に進み出てきた。
年の頃は、三十代前半くらいだろうか。すらりと背が高く、知的な雰囲気。まごうことなき、イケメン眼鏡。
ん?
これは、もしかして。
待ちに待った、イベント、来たか?
妙子鑑定スキルが、ビンビンに反応する。有能参謀キャラ、ついに登場か。これでわたしの無双が始まるのか。
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