表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

08 色々な交流

ようやく続きが書けました。

ブックマーク、評価、レビューありがとうございます。

一応終わりまでは考えてあるのでそのまま更新できると…いいな。


 しばらく無言で食事をしながら考えた。

 今、ダンさんに色々ぶっちゃけるのはマズい。いい人そうだが信用できるかはわからないからだ。

 しかし情報は欲しい。もし内乱中とかなら、そんな町になど行きたくない。

 こちらのカードは食料とウサギのチートだろうか。ダンさんにとっては命の恩人だしな。


「私の名はエリィと言います。色々お話したいことはありますが、町の様子を先に教えてもらえませんか?」


 ストレートに要求することにした。

 どう考えてもダンさんより私の方が優位。ダンさんが刃向かってきたらウサギに取り押さえてもらうことも可能だ。

 ダンさんに信頼してもらう必要性も現在は感じない。ならば先に要求をしてもいいだろう。

 大体こちらにお人好しだとか言いながら、囮になって死にかけている彼の方がよっぽどお人好しだし。


「……ポレンの町は東の荒野の最前線だ。多くの冒険者や騎士団が滞在していて、魔物の侵攻を食い止めている」


 東の荒野って言わずと知れたここのことだろうな。

 ダンさんは残っていたスープをぐいと飲み干した。


「領主様は税の引き下げを中央に求めた。武器も防具もギリギリすぎて、怪我人も死人も増えてきたからだ。だけど中央は税の引き下げに応じなかったし、食糧の輸送に制限をかけやがった」


 なるほど制裁か。

 これはまたお約束な展開になってきたなぁ。


「町の西側ではまだ畑が出来る。けど、ポレンは最前線なんだ。チョロチョロ作ったって全員の食糧を賄えるはずがない。魔物の肉も食えるものは少ない。魔物の皮や牙を中央に売ってもポレンの出身だとバレると値切られる。密かに食糧を持ってきて、食いつないでいるのが現状だ」

「バカですね、その中央」

「ああ、ポレンの町がなくなれば次の砦は交易都市のダダナンだ。あんな町、一瞬で魔物に食われちまう」


 いやいや、普通前線の志気は下げないもんだし。使い捨てにするには作戦が杜撰すぎる。使い捨ては短期決戦で断腸の思いでやるもんだ。今回みたいな長期の状態でやるなんて、国全体の志気が下がる。

 このあたりも考えて箱庭を作ったのだろうか。

 女神としては、魔物の平定をしたいはず。魔力の調整に白馬を揃えたわけだし、魔物を倒すポレンの町を支援するのは悪くないだろう。

 問題は領主の人柄か。実は税は下がっていたし制裁もなかったけど、領主がちょろまかしていたと言う可能性もある。

 中央じゃなくて、よその貴族に嫌がらせをされている場合もあるかぁ。

 ふむと考える。


「どうやら、領主様に会ってお話する必要がありそうですね」

「いやいや、だからお嬢様は一体何者なんだ」

「あらやだ。いいんですか、そんなの聞いちゃって」


 別にいいんだけど、適当に話を濁してみる。

 ダンさんは顔をひきつらせて、私とウサギを交互に見た。そしてガックリとうなだれる。


「俺にはあんたらを止められないもんな。でも領主様を害するようなら、ポレンの町の冒険者ギルド全員をかき集めてでもあんたらを討たせてもらう」


 領主様はよほど信頼があるようだなぁ。


「心配いりませんよ。私はお人好しみたいですから」


 私はにっこり笑った。




 ポーン


 夜、馬車に入ってスマホをいじっていたら、新しい通知が表示された。

 ウサギは見張り。ダンさんは外で寝ているから、スマホをいじっても大丈夫なんだけど。


「ん?」

『“掲示板機能”が追加されました。

“資源交換機能”が追加されました』


 これは一体……。

 ゲーム画面の隅っこに掲示板と資源交換のアイコンが出来ている。

 掲示板を開いてみると、すでに書き込みがあった。


『皆さんこんにちは。優と言います。

 異世界に飛ばされて数週間。皆さんいかがお過ごしですか?

 他の箱庭の人たちと交流が持てるように、女神様にお願いしました。

 本当はチャット機能がいいかと思っていたんですが、皆さん忙しいだろうということで掲示板になりました。

 内緒話が出来ませんが、そのあたりは追々考えていきましょう(笑)

 ギフト機能はありませんが、資源交換はかなり助かると思います。みんなで活用していきましょう。


 とりあえず、僕の近況から。

 僕は無人島に飛ばされています。船を造れば脱出出来ますが、元々引きこもりのため、しばらく島から出るつもりはありません。必要な資源があれば量産手伝いますのでカキコしてください。

 女神の使徒はカメです。ニンジャの格好をさせたいのですが逃げられます。誰か策を授けてください。

 ではでは、皆さんの書き込み楽しみにしています』


 最後のネタにフフっと笑ってしまった。

 ああ、鉄板ネタにこんなに癒されるなんて。

 外国に行った時に日本語のフレーズに癒されるのに似ている気がする。

 私は嬉しくなって、すぐに書き込みをすることにした。


『こんにちは! 絵理と言います。

 東の荒野と呼ばれるところにきてます。明日には一番近くの町に人参とトウモロコシを売りに行く予定です。

 東の荒野には魔物がいっぱいで、その町は魔物討伐の最前線なんだとか。今は国との兼ね合いが悪くて食糧難になっていると、魔物に襲われていた人が言ってました。

 その人が言うのには領主はいい人みたいなので交渉しようかと考えてます。

 また、こちらにはウサギがいます。有能で執事服に懐中時計を持ってます。

 皆さん、宜しくお願いします』


 何度か文章を見直して送信する。

 なんとなしに掲示板を見つめていると、またポーンと音がした。


『カキコしようとした瞬間にカキコされた。

 もう絵理さんは青いワンピースを着ればいいと思うよ。

 俺は鉄雄です。高校生でした。

 今は近くのダンジョンに行くために鍛錬してます。ステータスマジ有能。スキルマジ感謝。

 せっかくの異世界なんで、内政チートじゃなくて普通のチート狙うつもり。うちのネコが言うには可能だって〜。

 あ、ネコは長靴というかブーツ履いてます。帽子は耳が蒸れるからイヤだと言われたので、耳だし帽子を作りたいですね!

 皆さんもまた話を聞かせてくださいね〜。』


 軽い雰囲気の文章にまた少し笑ってしまう。

 生産チートしか考えてなかったけど、案外鍛えたら強くなれるのかもしれないな。

 でも荒事はなぁ。よくラノベとかである剥ぎ取りとかも出来る自信がない。

 続いて二件も掲示板に書き込みが続く。みんな掲示板嬉しいんだ。


『綾女です。

 元々好きだった洋裁にハマってまーす。

 生産が5つまでってルールは自分が作る分には当てはまらないので、ガンガンやってるよ!

 友達のコスプレ服とかも手伝っていたので、青ワンピいるなら声かけてね。忍びは作ったことあるから、サイズと色教えてくださいな。

 みんなすごいなぁ。私はまだまだ家から出ないつもりです。夢だったウェディングドレスまでは作りたいしね!(相手はいいの)

 あ、貴族いるならお針子さんたちもいるのか。町に出てドレス屋巡りはしたいかも!

 そんな感じですが、みんな宜しく〜。

 あ、一緒にいるのは羊です。トラップ作るの上手そうじゃなくて、結構ビビりでーす』


『真衣です。

 今は商会を立ち上げようと馬車を大量に作っています。

 商品があるんだから売るのが自然だと思ったんですが、皆さん考えることはそれぞれですね。

 奴隷などもいるそうなので、商人と護衛として養うのもありかと考えています。

 願わくば、私の地域の国がまともであってもらいたいのですが……

 あ、ちなみに一緒にいるのは犬です。柴犬がいいのですが、何故かセントバーナードです。……安心感があります。

 では、宜しくお願いします』


 セントバーナード、普通なら可愛いだろうけど人間サイズで横にいられると……暑苦しいだろうなぁ。

 てか、異世界来て二人は引きこもりか。

 書き込みはせずに毛布に潜り込んだ。

 次に書き込むのは、町についてからでいいだろう。困った時に相談できる相手がいるだけで充分だ。


「しかしイベント臭がするわ。このタイミングで掲示板が繋がるとは……」


ということで、ここで掲示板が繋がりました。

次回はイベント。頑張れ絵理。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ