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巡礼者の道  作者: 잿빛서기관


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47/55

整理 ①

翌日の明け方。


エリオンは目を覚ました。


眠った気がしなかった。


天井をぼんやりと見つめてから、


ゆっくりと身体を起こした。


部屋の中はまだ暗かった。


何となく、


そのまま横になっているのが息苦しかった。


エリオンは静かに寝台を抜け出した。


廊下へ出ようとした瞬間、


窓辺に座っている人影が目に入った。


司祭だった。


司祭は静かに窓の外を見つめていた。


顔色は、


一睡もしていない人のようだった。


エリオンはしばらく迷ってから、


口を開いた。


「眠れなかったんですか?」


司祭が小さく笑った。


「君も同じだろう」


エリオンは答えられなかった。


しばらく沈黙が流れた。


窓の外からは、


人々が一日を始める支度をする音が、


かすかに聞こえていた。


司祭が静かに尋ねた。


「それで」


エリオンは彼を見た。


司祭は相変わらず、


窓の外を見ていた。


「君は決めたのか」


エリオンは何も言わず、


窓の外を見つめた。


赤い夜明けの光が、


城壁の上へゆっくりと広がっていた。


少しして。


エリオンはゆっくりと口を開いた。


「……最初は、考えていませんでした」


司祭がそっと顔を向けた。


「最初は?」


エリオンは小さく頷いた。


「はい。最初は」


少し言葉を選んでから、


もう一度口を開いた。


「教理や聖法に興味がなかったと言えば……


嘘になるでしょう」


エリオンは苦く笑った。


「ですが、


今はよく分かりません」


司祭は何も言わずに聞いていた。


「最近あったことが……


重かったので」


しばらく沈黙が流れた。


「だから、いっそ故郷に帰ろうかとも思いました」


エリオンは自分の指先を見下ろした。


「心にもないことをしたくはなかったんです」


司祭は答えなかった。


エリオンは少し声を落として続けた。


「けれど……


現実が浮かびました」


「現実?」


「一生、船に乗りながら、


サラを幸せにしてやれるのか」


司祭の目が少し深くなった。


エリオンは窓の外を見つめたまま言った。


「中央教会に入れば、


安定した暮らしができると聞きました」


司祭の眉がわずかに上がった。


エリオンは照れくさそうに笑った。


「サラにもっといい服を着せてやれると思いました。


もっといいものも食べさせてやれるでしょうし」


しばしの静寂。


そして、


司祭がとうとう笑い出した。


「ずいぶん恋人思いだな」


エリオンは何となく頬を掻いた。


「好きなんです。


かなり」


司祭はしばらく笑いをこらえてから、


ゆっくりと頷いた。


「そうだな。


それも大切な理由だ」


エリオンは少し躊躇した。


「それから……」


司祭が彼を見た。


エリオンは自分の手を見下ろしながら続けた。


「僕に何ができるのかも、


少し知りたくなりました」


司祭の表情から、


笑みが少し消えた。


「できること?」


「はい」


エリオンは小さく頷いた。


「今回のことで……


何もできなかったという思いが、


ずっと残っていました」


病人を背負って走ったこと。


レアが一人で残ったこと。


結局、


病人を置いていったこと。


そのすべてが、


一瞬、脳裏をよぎった。


エリオンは低く言った。


「聖法を学んだからといって、


すべてを変えられるわけではないでしょうけど」


彼は窓の外を見つめた。


「無力なままではいたくなくなりました」


司祭はしばらくエリオンを見つめていた。


そして、


ゆっくりと頷いた。


「よく考えたな」


柔らかく言った。


「サラには……


私からよく話しておこう」


それから小さく笑った。


「ああ、とはいえ手紙くらいは書いておきなさい。


平謝りする内容でな」


エリオンの表情が一瞬固まった。


司祭はかすかに笑いながら続けた。


「手紙もなければ、


私でも受け止めきれるか分からないからな」


エリオンは真剣に答えた。


「……本当に、うまく言ってください」


司祭は窓の外を見つめながら笑った。


「努力はしてみよう」


夜明けの光が、


少しずつ明るくなっていた。


エリオンもまた、


自分の道を決めつつあった。


陽射しの温かな朝。


一行は静かに朝食を取っていた。


いつもなら、


トリーがふざけてベルと言い合いになっていただろう。


けれど、


今日は違った。


トリーは匙でスープをくるくるとかき混ぜているだけで、


ベルも食べているのかいないのか分からない様子だった。


エリオンも、


大して変わらなかった。


司祭は何も言わず、


水の入った杯を見下ろしていた。


その時、


トリーがふと顔を上げた。


「兄さん」


突然呼ばれて、


エリオンは少し驚いた。


「うん?」


トリーは力なく笑って言った。


「私が有名な傭兵になったら、


たくさん稼いで兄さんのことも助けるね」


エリオンはぽかんとトリーを見つめた。


「何を急に変なこと言ってるんだ?」


トリーはわりと真面目な顔で答えた。


「聖職者って、貧しそうだから」


ベルが、


ぷっと小さく吹き出した。


エリオンも呆れたようにトリーを見つめ、


司祭は小さく笑って匙を置いた。


一行の反応に、


トリーが頭を掻いた。


エリオンは柔らかく笑いながら、


トリーを見た。


「そうだな。


有名になったら、たくさん助けてくれ」


少し考えてから、


付け加えた。


「金も借りるし、名前も借りる。


骨の髄までしゃぶり尽くしてやる」


トリーはぎこちなく笑った。


「そこまでするつもりはなかったんだけど……」


ほんの少しの間だった。


それでも、


重かった空気が少しだけ和らいだ。


そうだ。


これが最後ではなかった。


一緒にいられなくても、


縁が切れるわけではないのだから。


そう思うと、


心が少しだけ楽になる気がした。


食事が終わり、


しばらく静寂が流れた。


司祭が杯を置いて言った。


「昨日の話の続きをしなければならないな」


空気が再び静かになった。


トリーは何となく自分の腕を触り、


ベルはうつむいた。


司祭が尋ねた。


「トリー」


トリーが顔を上げた。


「まだ同じ考えか」


トリーは床を見つめた。


それからベルをそっと盗み見て、


再び司祭を見た。


「はい」


いつになく、


しっかりとした声だった。


司祭が頷いた。


「そうか」


トリーはしばらく唇を動かした。


「怖くはあります」


照れくさそうに笑った。


「ちゃんとできるかも、


分かりません」


しばしの沈黙。


トリーはもう一度顔を上げた。


「それでも……


やってみたいです」


ベルは顔を上げられなかった。


何も言わなかった。


トリーがベルを見つめて言った。


「ごめん」


ベルの指先がぴくりと動いた。


しばらくして。


ベルは小さく首を横に振った。


そして苦しそうに、


トリーと向き合った。


「……違うよ」


声が少し震えていた。


ベルは無理やり息を飲み込み、


小さく言った。


「応援する」


トリーの目元が赤くなった。


トリーは涙を拭いながら頷いた。


「うん」


トリーは無理に笑った。


「頑張ってみる」


司祭は今度、


エリオンを見た。


「君は?」


エリオンはしばらく沈黙した。


双子の視線が彼へ向いた。


エリオンはゆっくりと口を開いた。


「僕も残ります」


部屋の中が静まり返った。


トリーは安心したように、


小さく息を吐いた。


ベルはうつむいた。


しばらく唇を動かしていたベルが、


苦しそうに言った。


「そう……


なんですね」


エリオンは低く言った。


「ごめん」


ベルは首を横に振った。


「いいんです」


涙を飲み込んだ。


そしてようやく、


エリオンを見て言った。


「行ってきてください」


エリオンは、


すぐには答えられなかった。


その小さな一言が、


あまりにも痛かった。


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