表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
体調を崩して会社を辞めた私、部屋の扉の先が異世界だったのでスローライフを配信したらバズって人生逆転しました  作者: non


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

第4話 炎上寸前、そして専門家の参戦


「……5230人」


白石紬は、配信画面の数字を見つめたまま固まっていた。


ほんの数十分前まで、誰にも見られていなかった配信。


それが今、5000人以上。


しかも、まだ増え続けている。


「……すごい、けど」


コメント欄の流れは、さっきまでとは明らかに違っていた。


《コメント:これ絶対合成》

《コメント:いやガチだろ》

《コメント:どっちだよ》

《コメント:検証しろ》


——空気が、割れている。


「……えっと」


どう話せばいいか分からない。


でも、何か言わないといけない。


「これは、その……自作のVRゲームで——」


《コメント:その説明無理ある》

《コメント:技術的に不可能》

《コメント:開発者だけどこれはありえない》


「……っ」


言葉が詰まる。


その時だった。


《コメント:※現役グラフィックエンジニアです》


「……え?」


一つのコメントが、流れを止めた。


《コメント:このレベルの水表現、個人制作はまず無理》

《コメント:物理演算もおかしい》

《コメント:リアルタイム処理じゃない可能性ある》


「……リアルタイムじゃない?」


《コメント:事前レンダリングか、もしくは——》

《コメント:——現実そのもの》


「……え」


一瞬、背筋が冷えた。


《コメント:いやいやw》

《コメント:それはない》

《コメント:でもちょっと分かる》


コメント欄が、一気にざわつく。


「……現実って」


冗談のはずなのに。


妙に、引っかかる。


その時。


手のひらの上で、ミズがぷるん、と跳ねた。


「……あ」


《コメント:ミズ動いた》

《コメント:かわいい》

《コメント:それもCG?》


「……ちょっと、歩いてみるね」


紬は立ち上がり、ゆっくりと外へ出る。


草を踏む感触。


風の匂い。


すべてが、現実そのもの。


「……この辺、探索してみます」


カメラを周囲に向ける。


すると。


「……あれ?」


少し離れた場所。


森の奥に、見慣れない“光”が見えた。


淡く、青白く輝く何か。


「……あんなの、さっきあった?」


《コメント:初見》

《コメント:新エリア?》

《コメント:イベントきた》


「……行ってみる」


足取りはゆっくりだけど、確実に近づいていく。


ミズが、少し震えた。


「……怖いの?」


ぴた、とミズが動きを止める。


まるで、警戒しているみたいに。


「……大丈夫、大丈夫」


自分に言い聞かせるように呟く。


そして、光の前に辿り着いた。


それは——


「……石?」


地面に埋まるようにして存在する、青く光る石だった。


表面には、見たことのない模様が刻まれている。


「……これ、なに」


《コメント:遺跡っぽい》

《コメント:ルーン文字?》

《コメント:触ってみて》


「……うん」


紬は、ゆっくりと手を伸ばす。


そして。


石に、触れた。


——その瞬間。


ドクン。


「……っ!?」


心臓が、強く脈打つ。


視界が、一瞬だけ揺れた。


「……なに、今」


頭の奥に、何かが流れ込んでくる感覚。


知らないはずの“知識”。


言葉にならない情報。


「……っ、痛……」


思わず、その場に膝をつく。


《コメント:大丈夫!?》

《コメント:演出じゃないよね?》

《コメント:顔色やばい》


「……だ、大丈夫……」


呼吸を整える。


ゆっくりと、顔を上げる。


すると。


さっきまで読めなかった石の模様が——


「……読める?」


頭の中に、意味が浮かんでくる。


「……『接続点』……?」


思わず、口に出す。


《コメント:え?》

《コメント:今読めたの?》

《コメント:設定じゃないの?》


「……分からない。でも、なんか……分かる」


自分でも意味が分からない。


でも確かに、“理解できてしまった”。


《コメント:やっぱりおかしい》

《コメント:これゲームじゃないだろ》

《コメント:ガチの可能性ある》


「……」


紬は、静かに石を見つめた。


——この世界、ただのスローライフじゃない。


何かが、ある。


その時。


同時接続数が、さらに跳ね上がった。


——9870。


「……え」


もう、驚く余裕もない。


ただ一つ、確信していた。


「……これ、すごいことになってる」


炎上寸前の疑い。


でも、それ以上に。


“本物かもしれない”という期待。


その両方が、配信を押し上げていた。


——白石紬の配信は、この瞬間、“ただのバズ”を超えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ