第82話
ナジューラの街にて、商人の男性とトラブルを起こすルービィ。
そこへアリババ、ザフィーア、エスメラルダ、そしてアルディアがやってくる。
アリババの仲介と、ザフィーアの弁償で一旦は事が収束するものの、アルディアがやってきた時に、ルービィがまたしても行動を起こしたことで、再燃。
甘いマンゴーの誘惑に揺れ動くアルディア。エスメラルダが支払いをすることで再燃したトラブルも収束した。
そんな一同を見て面白いと言うアリババ。
そして、一同に少し付き合ってほしいと話を出したのであった。
――――ナジューラの街・屋台の茶屋
「成る程な。お前達、東の大陸から来たのか」
アルディア達を屋台の茶屋に誘ったアリババは、屋台の椅子に座りながら、アルディア達のこれまでの経緯を聞いていた。
「しかしまぁ、四柱帝なんて、そんなの本当にいたんだな」
アリババは腕組みをしながら天を見上げ、そう言う。
「南の大陸では、被害はないのか?」
ザフィーアは天を見上げるアリババに尋ねる。
「そうだな。今のところ、そんな被害は聞かないな」
アリババは腕組みをしながらそう答える。
「ま、もし四柱帝なんかが暴れてたら、ここナジューラは今頃こんな雰囲気ではないだろうしな」
「まぁ、それはそうだね」
アリババの言葉に、エスメラルダは首を縦に振り、そう言った。
すると、そんな一同の前に、
「はい、お待ち」
と、店員と思われる魔族の男性が、一同が座るテーブルの前に木の実とストローを運ぶ。
「お、来た来た」
アリババはそう言うと、ストローを持つ。
そして、アルディア達の方を見ると、
「あ、このヤシの実は俺のおごりだ。遠慮せず飲んでくれ」
と、アルディア達にヤシの実ジュースを勧めた。
だが、アルディアは
「遠慮せずって言われても……」
と首を傾げる。
そして続けてルービィが、
「これ、どうやって飲むの?」
と、ヤシの実を指の間接でコンコンと叩いた。
そんなアルディアとルービィを見たアリババは、
「あ、悪い悪い。飲み方、知らなかったんだな」
と、言う。
そして、隣に座るアルディアのヤシの実を見ながら、
「ほら、ここに穴が開いてるだろ? そこにストローを差し込んで飲むんだよ」
と説明。今度は自分のヤシの実にストローを差し込んで、飲んで見せた。
アリババの姿を見たアルディアとルービィは、見よう見まねで真似をしてヤシの実にストローを差し、中のジュースを飲む。
「おいしい!」
「さっぱりした味だね!」
初めて飲むヤシの実のジュースの味に、アルディアとルービィは口々に感想の述べる。
エスメラルダ、ザフィーアもヤシの実のジュースを口にすると、
「うん、さっぱりしてておいしい!」
「暑い砂漠には、丁度いいな」
と、感想を言葉にした。
そんなアルディア達を見て、
「ヤシの実はここ南の大陸ではポピュラーな飲み物なんだけどな。ま、水分自体貴重だから、重宝するものでもあるんだけどな」
と、説明をした。
「いや~、さっきのマンゴーといい、南の大陸はおいしいもの沢山だね!」
「本当。どれも東の大陸では食べたことも、飲んだこともないもん」
ルービィとアルディアは、ヤシの実のジュースを飲みながら、そう言葉を口にした。
そんな両者を見て、アリババは
「ははは。あんたら、本当に面白いな」
と、笑いながらそう言うのであった。
「いや~、飲んだ飲んだ」
ルービィは口元を手の甲で吹きながら、そう言う。
「おいしかったねー」
アルディアもにこりと笑みを浮かべながら、そう言う。
「はは。そう言ってもらえると、俺もご馳走した甲斐があるよ」
満足そうな顔をするルービィとアルディアを見て、アリババは笑みを浮かべ、そう言った。
「いいのか? ご馳走になって」
アリババに奢りだと先に言われたとはいえ、気になったザフィーアがアリババに尋ねる。
だが、アリババは笑みを浮かべると、
「いいんだよ。奢らせてくれよ」
と、二つ返事でそう答えた。
「それよりも、あんたらの事、もう少し聞かせてくれよ」
と、アリババは続けてアルディア達にそう言った。
「いいですよ」
アルディアはそう言うと、自身の故郷アシェル村の事から、2年前のアシェル村襲撃の話。それを切欠に打倒四柱帝の旅に出る事を決意した事、北を目指す道中、エスメラルダ、ルービィ、ザフィーアと出会った事……。
すると、その段階でアリババが、
「ちょっと待て! 林の中って何だ!?」
と、笑いながらアルディアの話にツッコミを入れた。
「林の中がどうかしました?」
アルディアは首を傾げながらアリババに尋ねる。
「いや、ルービィってのと会った場所。林の中で住んでたって何だ!?」
「何だって言われても……。あたし、記憶ある時には既に林の中で住んでたし……」
アリババの言葉に、ルービィは首を小さく傾げた。
そんなルービィの反応を見たアリババは、
「だから金の概念も知らなかったのか」
と、全てを理解し、空を見上げた。
「どうしよう? 続き、話した方がいい?」
空を見上げるアリババに、アルディアは尋ねる。
アルディアに尋ねられると、アリババは顔を下ろすと、
「いや……、場所を変えよう」
と一同に提案する。
「ここで話をすると、何か問題でもあるの?」
場所を変えると言ったアリババに、アルディアは首を傾げながら尋ねる。
「いや、話の内容の問題じゃない。ただ、もっと詳しく聞こうと思うと、長くなってしまいそうだからな。と、なると、回転率命の屋台で長居するのはマズい」
「成る程。店の為、と」
アリババの説明を聞き、エスメラルダはそう言い、納得をした。
「そういうわけだ」
そう言うと、立ち上がるアリババ。
「ところで、どこへ移動するのだ?」
立ち上がるアリババにザフィーアは、行き先を尋ねる。
「そうだな。とりあえず、俺の家に行こうか」
アリババはそう言うと、茶屋の店主に代金を支払う。
そして、一同はアリババの後について屋台を後をしたのであった。
――――ナジューラの街・街中
アリババの後をついて、アリババの家を目指す一同。
道中、火を囲む、とある一味を見かけた。
「何だろ? あれ」
火を囲み、崇めるように祈りを捧げる一味を指差し、そう言うアルディア。
「何かの儀式? それにしても、身なりの整った方ばかりだけど」
エスメラルダは火を崇める一味を見ながら、アルディアに続きそう言った。
火を崇める一味は、エスメラルダの言うとおり、刺繍の入ったローブやジャケットを身につけており、その容姿から魔法に精通した学者などのような地位にいる者と思われた。
「ああ、あいつらか。何か、魔法学の祖となった神様を崇めてる連中だな」
「魔法学の神様?」
アリババの説明に、そう聞き返すアルディア。
「あー、俺も詳しくはわからないんだけどな。そんな神様がいるらしい」
「へー」
「女神フレイア様とも違う神もいるのかな?」
アリババの話に、エスメラルダはフレイア以外にも神がいるのかと言葉を口にする。
「さぁ? 一緒の神様かもしれないし、違う神様かもしれない」
エスメラルダの言葉に、アリババはそう返した。
「ま、そんな神様だから、学者連中からは崇められる存在みたいらしくてな」
「成る程、だから学者のような身なりの者が目立つのか」
アリババの説明に、今度はザフィーアがそう言う。
「でも、何で火を囲んで祈ってるの?」
ザフィーアの言葉の次に、ルービィがアリババに尋ねる。
「あー、何かその魔法学の祖の神様が、火を象徴する神様らしくてな。それもあって火を崇めてるらしい」
「ふーん」
アリババの説明に、ルービィはそう返した。
こうして一同は、火を崇める一味を横目にアリババの家を目指し、移動するのであった。




