第80話
砂漠の遺跡内部にて、ルビードラゴンと遭遇したアルディア達。
最初は攻撃を仕掛けるルビードラゴンであったが、聖石サファイアが反応をしてからは一転、アルディア達の話に応じる姿勢を見せた。
そして、アルディア達とのやりとりをした後、ルビードラゴンはアルディアに聖石『大地のルビー』を授けた。
ルビードラゴンから聖石ルビーを受け取ったアルディア達は、そのまま砂漠の遺跡を後にし再びナジューラの街を目指し、砂漠を歩く。
そして、一同はナジューラの街に到着したのであった。
――――ナジューラの街
砂漠の中を進んでいった先で、石の塀に囲まれた街に到着したアルディア達。
塀の中に入ると、そこにはテントで日よけをつくった路面店が、道を挟んで所狭しと並んでいた。
「ここが、ナジューラの街……」
目の前の光景を目にして、アルディアはそう呟く。
「かなり活気のある街だな」
「ディナの都とは違う活気だね」
路面店の様子、そして街中に溢れる人族と魔族の姿を見て、ザフィーアとエスメラルダはそれぞれ言葉を口にする。
そしてルービィはというと、
「なんか、すっごく楽しそうだね!」
と、目を輝かせながら路面店の様子を見る。
そして、
「早速街の中、見に行こーよ」
そう言うと、ルービィは街中へと走って行ったのであった。
「ちょ、ルー!」
街中へと走って行ったルービィに、声をかけるエスメラルダ。
だが、その声はルービィに届くことはなかった。
「……既に姿が見えないな」
エスメラルダが声をかけた時には、既に街中に消えていたルービィ。
そんなルービィの方を見て、ザフィーアは冷静にそう言った。
「いや、速すぎでしょ……」
ルービィが消えた街の方を見て、エスメラルダは呆れた様子を見せながらそう言うのであった。
「……ところで、ルーは金持ってたか?」
ルービィが消えて少しした後、ザフィーアが思い出したようにボソリと呟く。
それを聞いたエスメラルダは、
「あっ……」
と言葉を漏らす。
そして続けて、
「それどころか……お金の使い方、知ってるのかな?」
と、ザフィーアに尋ねた。
「少なくとも、金をつかってるところは見たことないな……」
エスメラルダの問いかけに、腕を組み、空を見上げ、そう答えるザフィーア。
「まさかとは思うけど……盗んだり奪ったりしないよね?」
「……悪気なく、やるかもしれないな」
「「(まずい……!!)」」
やりとりをした後、心の中で同じ事を思うエスメラルダとザフィーア。
そして、両者はお互いの顔を見合わせると、何も言わずこくりと頷き、街中へと走って行った。
エスメラルダとザフィーアが街中へ走って行くと、
「え、あ、ちょっと、待ってよぉ!」
アルディアはそういうと、両者を追って街中へと走って行ったのであった。
――――ナジューラの街・街中
街の中へ消えていったルービィを追ってナジューラの街中へと入っていったアルディア達。
所狭しと並ぶ路面店、そして溢れる人族と魔族で街中は進むことすら困難な状況であった。
「うぅ、狭い~……」
人魔密度の多さに苦戦、人魔混み(人混みのこと)で酔いそうになっているアルディアは、必死に人族と魔族を押しのけながら前へと進む。
「人魔密度、凄いな……」
「ディナも人族魔族は多かったけど、あっちはここまで狭くなかったからね」
アルディアよりも少し先に進むザフィーア、エスメラルダも、ナジューラの街の人魔混みに苦戦をしている様子を見せた。
「これだけ密集していると……ルーを探すのも一苦労だな」
ザフィーアはそう言いながら人魔混みをかき分けながら進んでいく。
すると、
「なにやってんだテメー!」
という叫び声が、街の奥の方から聞こえた。
「何だろう、今の声」
「男の声だが……」
聞こえた叫び声に、エスメラルダとザフィーアはそのようなやり取りを交わす。
そして少しの間、沈黙をした後、
「……まさかとは思うが、ルー絡みじゃないだろうな?」
「いや、まさか……」
ザフィーアとエスメラルダはそう言うと、お互いの顔を見合わせる。
そして、
「「(嫌な予感がする……)」」
両者は心の中でそう思うと、お互いの顔を見合わせたまま何も言わず首を縦に振る。
そしてその後、声が聞こえた方へと進んでいった。
そんな両者を見たアルディアはというと、
「え、あ、嘘。また行っちゃうの? 待ってよ!」
そう言うと、人魔混みに悪戦苦闘しながら、ザフィーアとエスメラルダの後を再び追うのであった。
「おいテメー! どういうつもりだ!!」
「?」
激怒し、声を荒げる人族の男性。そしてそんな男性の怒号に、理解が出来ず手に持った果実を食べながら首を傾げるのは、ルービィであった。
「いや、何首傾げてんだよ! 商品、しかもよりにもよってマンゴーを食いやがって!」
怒りで声を荒げる男性の話を、口に含んでいる果実、マンゴーを食べながら聞いているルービィ。
そして、口に含んだマンゴーを飲み込むと、
「でも、欲しいもの持って行っていいって言ったじゃん?」
と、男性に返した。
「そりゃ商品として欲しいものって意味に決まってるだろ! それをテメー、金払う前に取って食いやがって! 勿論金、払ってもらうぞ!」
「金?」
「そうだ! マンゴー1玉300ガラッド! しっかり払ってもらうぞ!」
男性は怒りながら、ルービィに代金を支払うよう言う。
だが、ルービィは
「金? ガラッド? 何ソレ?」
と、再び首を傾げながら男性にそう返した。
それを聞いた男性は、
「はぁ? テメー何言ってんだ!?」
とルービィにそう言う。
そして、
「そんなつまらん冗談で金払わないつもりか!? ふざけんなよ!」
と、再びルービィに声を荒げた。
だが、ルービィはというと、
「別にふざけてはないけど……」
と言いながら、手に持っているマンゴーを食べる。
そして手に持っていたマンゴーを食べ終えると、
「これ甘くておいしいね! もういっこちょーだい!」
と言うと、目を輝かせ満面の笑みを浮かべながら両手を差し出した。
そんなルービィを見た男性は、
「やるわけねーだろ! 何考えてんだテメー!!」
と激怒。いよいよルービィに掴みかかろうとしていた。
「あ、ザフィ。あそこ!」
男性の叫び声を聞きつけ、駆け寄ったエスメラルダが、そんなルービィと男性の様子を見つけ、指を指す。
「さっきの叫び声は、あの男性のだな。……やはり、ルーの奴がやってたのか」
エスメラルダが指を指した方を見て、ザフィーアは悪い意味で予想通りの展開にそう言うと溜め息をつく。
「正直、関わりたくないけど、そうもいかないよね……」
エスメラルダも溜め息をつきながらそう言い、ルービィの方へと向かう。
そして、ザフィーアとエスメラルダがルービィの下へと到着しかけた、その時であった。
「何かあったのか?」
突如としてルービィと男性の前に、人族の青年が一名、姿を現す。
「誰、あんた?」
突如現れた青年に、首を傾げながら尋ねる。
一方、ルービィに掴みかかろうとした男性は、青年の方を見ると動きを止め、
「アリババさん……」
と、ボソリと呟いたのであった。




