第78話
砂漠の遺跡に入り、奥まで進んでいったアルディア達。
進んだ先には、ルビーレッドの身体を持つ、大型の蜥蜴のような存在がアルディア達を出迎えた。
大型の蜥蜴のソレは、侵入者と見なしたアルディア達に攻撃を仕掛ける。自衛のため、応戦をするアルディア達は、何とかソレの攻撃を受け止め、回避し、対応する。
だが、アルディア達が出来ると見たソレは、アルディア達に向かい大技と思われる熱閃のブレスを放つのであった。
――――砂漠の遺跡・内部
ルビードラゴンと名乗ったソレがアルディア達に放った熱閃のブレスが晴れる。
熱閃のブレスが通った場所の床は、ブレスの形状に合わせて溶けており、ルビードラゴンと名乗ったソレが放った熱閃のブレスがいかに高温であるかが伺える。
「流石に、やりすぎたか?」
熱閃のブレスの形状に合わせてまっさらになった目の前の景色を見て、ルビードラゴンは言葉を漏らす。
だが、
「……っぶなぁ~」
「!?」
どこからともなく聞こえる声に反応し、辺りを見渡すルビードラゴン。
すると、部屋の壁際、アルディア達がやってくる以前より崩れていた瓦礫の辺りから、声の主であるエスメラルダの姿があった。
「エスメ君、大丈夫?」
「アル……。とっさに引っ張ってくれてありがとう。助かったよ」
エスメラルダは、隣に居るアルディアにそうお礼を言う。
「ルーちゃん、大丈夫?」
エスメラルダの無事を確認したアルディアは、今度は向かい側の壁面に向かい、そう声をかける。
「アルー……大丈夫だよー……」
アルディアの声かけに対し、ルービィは手を振りながら、そう答える。
そしてそんなルービィの下から、
「ルー……。緊急回避だったのはわかるが、先ずはそこをどいてくれるか?」
と、ルービィの下敷きになっていたザフィーアが、ルービィに対しそう苦言を呈した。
「あ、ごめんごめん」
尻の下に敷いていたザフィーアに、ルービィは軽く謝ると、そそくさとザフィーアの上から移動をした。
「回避していたのか……。やるではないか」
アルディア達が全員無事であることを見て、ルビードラゴンは感心したかのようにそう言う。
「いやー、ギリギリだったけどねー」
ルービィは立ち上がりながら、ルビードラゴンにそう返す。
「っていうか、あいつ、『ルビードラゴン』って言わなかった?」
エスメラルダはルビードラゴンを見ながら、アルディア達にそう言う。
「うん、言ってたね」
エスメラルダの言葉に、アルディアははっきりとそう返す。
「ルビードラゴン……。三神龍か?」
ルビードラゴンの名を聞いたザフィーアは、目の前の相手が三神龍である可能性を疑う。
「三神龍なら、聖石見せたらなんとかなるかな?」
ルービィは一同に尋ねる。
「かもしれんな」
ルービィの提案に、そう返すザフィーア。
「ならアル。聖石を!」
エスメラルダはアルディアに向かい、聖石を出すよう促す。
「わかった!」
アルディアはそう言うと、袋に手を入れて中身を漁る。
そして、袋の中のものを取り出すと、
「はいっ!」
と叫びながら、両手に持ったサファイアとエメラルドを目の前に掲げた。
「(うぉーい! やっぱり聖石出すだけかーい!!)」
かつて、バベルの時と全く同じ行動を取るアルディアに、バベルの時同様、冷や汗を流しながら心の中で叫ぶエスメラルダ。
だが、
「(でも、あの時はこれで上手くいってるんだよなぁ……)」
心の中でそう呟きながら、視線をルビードラゴンの方へ向けるエスメラルダ。
ルビードラゴンはというと、アルディアの掲げたサファイアとエメラルドを、何も言わずしっと見つめていた。
「(エメラルドドラゴンと同じ反応……。もしかしてこれは……)」
ルビードラゴンの反応に、わずかな期待を抱くエスメラルダ。
だが、ルビードラゴンは、少しの間サファイアとエメラルドを見つめると、
「だから何だと言うのだ!」
と叫び、両前足を地面に叩きつけ、アルディア達の足場を激しく揺らした。
ルビードラゴンの地ならしで、バランスを崩すアルディア達。
「なんで! 聖石見せたのになんでー!!」
バランスを崩し、尻餅をつきながらそう叫ぶアルディア。
「いや、聖石見せただけじゃダメでしょ!!」
膝から崩れ落ちながら、アルディアにそう言うエスメラルダ。
「でも、エメラルドドラゴンは納得してたよ!?」
「エメラルドドラゴンが理解がありすぎただけだよ! ルビードラゴンの反応が本来だよ!!」
「ええー……」
揺れ動く地面で、そのようなやりとりをしているアルディアとエスメラルダ。
すると、
「アル、エスメ、危ない!」
突然アルディア達に向けて、ザフィーアが叫ぶ。
その叫び声に反応するアルディアとエスメラルダ。息を合わせたかのように両者はそのまま前方のルビードラゴンの方を見る。
すると、ルビードラゴンが口内に熱閃の魔力を溜めていた姿があった。
「!あれは……」
「熱閃のブレスの魔法!?」
熱閃のブレスの予備動作をするルビードラゴンを見て、そう言葉を口にするアルディアとエスメラルダ。
両者は回避行動を取ろうと、地面から立ち上がろうとする。
だが、
「しまっ……!」
両者が行動を取ろうとした頃には時既に遅し。ルビードラゴンの口から、アルディア達に向かって熱閃のブレスの魔法が放たれた。
アルディアとエスメラルダ目がけ、真っ直ぐに飛んでくる熱閃のブレス。高速で飛んでくる熱閃のブレスに、回避行動が間に合わなかったアルディアとエスメラルダは、迫り来るブレスに思わず目を瞑ってしまう。
そして、いよいよルビードラゴンの放った熱閃のブレスが、アルディア達を飲み込もうとしたその時であった。
「……え?」
熱閃のブレスがアルディア達に直撃しようとした瞬間、アルディアの手に持っていた聖石サファイアが突然光を放つ。サファイアから放たれた藍色の光は、アルディア達の身体を包み込む。そして、その藍色の光は、ルビードラゴンの放った熱閃のブレスから、アルディア達を守ったのであった。
「嘘……無事……?」
目をゆっくりと開き、無傷であることを確認し、自身の身に起きた事に驚きを隠せない様子を見せるエスメラルダ。
「聖石が守ってくれた?」
アルディアもまた、首を傾げ、そう言う。
「聖石って、あんな能力あったの?」
アルディアとエスメラルダ達に起こった一連の出来事を見ていたルービィが、驚いた表情を浮かべながら言葉を漏らす。
「あんな効果があったなんて、今初めて知ったがな」
ルービィの横で、ザフィーアは冷静にこう反応したのであった。
そして、アルディアの手に持つ聖石サファイアの加護を見て、驚いた様子を見せたのは、アルディア達だけではなかった。
「……あの輝き、まさか、本物か?」
アルディアの身体を包み込んだ藍色の光、そしてその光を放ったアルディアの手に持つ聖石サファイアを見て、そう呟くルビードラゴン。
「(まがい物であれば言うまでもなし。本物だとしても、主でなければあのような事は起こりえぬ……。だとすると……)お前達、少し、話を聞こう」
「え?」
突然攻撃を止め、話を聞くと言い出すルビードラゴン。
そんなルビードラゴンの様子に、アルディア達はまたしても、驚いた様子を見せるのであった。




