第77話
エメラルドドラゴンに乗り、南の大陸に渡ったアルディア達。
エメラルドドラゴンに教えてもらった町、『ナジューラの街』を目指し、砂漠を歩いていると、突然砂嵐に襲われた。
砂嵐から回避するため、ルービィが発見した遺跡に避難。遺跡内部に入り、どんどん奥へと進んでいった。
そして、遺跡の内部を進み、とある部屋に辿り着いた時、アルディア達はルビーレッドの身体を持つ、大型の蜥蜴のような存在に遭遇したのであった……。
――――砂漠の遺跡・内部
「貴方は……?」
視線の先に現れたルビーレッドの身体を持つソレに尋ねるアルディア。
「フン、侵入者に名乗る名など、ない!」
ルビーレッドの身体のソレは、そう言うとアルディア達を睨み付ける。
「もしかして……四柱帝?」
「四柱帝だと?」
四柱帝の名を出したエスメラルダに、ソレは反応し、今度はエスメラルダを睨み付ける。
そして、
「我があのようなクリーチャーだと言いたいのか!? 貴様!」
と、声を荒げ、ソレはエスメラルダに問い詰める。
「いや、そういうわけじゃあ……」
声を荒げ、問い詰めてくるソレの勢いに押され、たじたじになりながらそう返すエスメラルダ。
「待ってくれ! 私たちは砂嵐から身を守るために、中に避難させてもらっただけだ。決して貴殿の住処を荒らしに来たわけではない!」
息を荒げるソレに、今度はザフィーアが説得を試みる。
だが、
「避難だけだと? なら、何故このような奥地にまで侵入してきた!」
「それは……」
ソレの問い詰める内容に、
『仲間が好奇心で先に進んだから』
とは流石に答えられず、言葉を詰まらせるザフィーア。
ザフィーアが言葉を詰まらせていると、
「フン! 答えられぬか」
とソレはザフィーアを睨み付けながらそう言う。
そして、
「愚かな侵入者め! 我が聖域に足を踏み入れた事、後悔するがよい!」
そう言うと、身体から炎の魔力を滾らせ、戦闘態勢へと入った。
「うそっ! やる気!?」
戦闘態勢へと入るソレを見て、動揺するエスメラルダ。
「正直、不本意ではあるが……」
ザフィーアはそう言うと、腰に帯刀している刀の柄に手をかける。
「向こうも戦う気だし、仕方ないよね!」
ルービィは両拳に炎を纏わせ、戦闘態勢へ。
そしてアルディアは、
「悪意ある存在には感じないけど……」
と、戸惑いながらも、応戦するためにオーバードライブを1.2倍の出力で発動させた。
アルディア達が応戦の態勢に入ると、ルビーレッドの身体のソレは、自身の顔面周辺に4つの炎を作り出す。
作り出した炎は、術者であるソレの予備動作もないまま、アルディア達の方へ目がけ、真っ直ぐに飛んでくる。だが、アルディア達はこの魔法を難なく回避した。
回避された炎は、そのまま地面へと着弾。炎が着弾した箇所には、1メートルほどの高さの炎が立ち上がった。
「中々の威力だな……」
立ち上がる炎を見て、そう呟くザフィーア。
「フン。こんなもの、開戦の狼煙に過ぎん」
着弾し立ち上がる炎を見るザフィーアに対し、ソレはそう言葉を返す。
「開戦の狼煙でコレ? そんな威力じゃないでしょ、これは……」
開戦の狼煙で放った程度の魔法であると聞いたエスメラルダは、げんなりした表情を浮かべながら言葉を漏らす。
「だとしたら、四柱帝ではないにしても、同レベルの実力の持ち主、ということだな」
ザフィーアはそう言うと、抜刀し手に持つ刀を、一段と強く握りしめた。
「そうなれば、こっちも速攻で仕掛けた方が良さそうだね!」
ルービィはそう言うと、ソレに向かい飛びかかる。
そして、炎を纏った右の拳で正面から顔面を殴りつける。
だが、
「効いてない!?」
真正面からルービィの火炎拳を受けながらも、ソレは微動だにすることもなく、真っ直ぐルービィを睨み付けていた。
一切微動だにしないソレに、ルービィは動揺しつつも、とっさに後退。態勢を立て直した。
「ルーの攻撃が効いていないあたり、属性は火か?」
「しかもかなり、魔力差ありそうだけどね」
ルービィの攻撃を真正面から受け止めた様子を見て、状況を分析したザフィーアとエスメラルダは、各々口々にそう言う。
「フン。では、次はこれだ!」
ルビーレッドの身体のソレは、そう言うと今度は右前足に魔力を纏わせる。
そして、魔力を纏った右前足を地面に叩きつけた。
ソレが右前足を地面に叩きつけると、叩きつけた箇所を震源に、地面から吹き出す炎がアルディア達に向かって走り出す。
アルディア達はこれを左右に避けて回避。難なく対処した。
だが、ソレは立て続けに今度は魔力を纏った右前足でアルディア達を殴りかかる。
しかしながら、今度はそれをアルディアとザフィーアで対応。アルディアは魔法で形成した
光の刃『レイセイバー』で、ザフィーアは氷の魔法を纏った刀でそれぞれ攻撃を防いだ。
だが、
「フン!」
ソレは勢いよく右前足を振るうと、そのまま受け止めていたアルディアとザフィーアを、その勢いで吹き飛ばす。
「うわあぁぁ」
「うおっ!」
吹き飛ばされた両者は、大きく身体を宙に浮かせる。そして、吹き飛ばされてた勢いのまま、遺跡内の壁面に激突。そのまま地面へと倒れ込んだ。
「アル! ザフィ!」
倒れ込んだアルディアとザフィーアに声をかけ、駆け寄るエスメラルダ。
「う……ぐぁ……」
激突のダメージに苦しみ、うめき声をあげるザフィーア。
一方、アルディアはというと、
「いたたたた……」
というと、背中をさすりながら立ち上がった。
「アル……何で普通に立ち上がってるの?」
うめぎ声をあげ、ダメージに苦しむザフィーアとは対照的に、痛そうな表情等をうかべてはいるものの自力で直ぐに立ち上がるアルディアに、思わず尋ねてしまうエスメラルダ。
「エスメ君……。まぁ、オーバードライブで身体強化してたからね……」
アルディアは背中をさすり続けながら、エスメラルダにそう答えた。
「……オーバードライブ、万能すぎない?」
アルディアの回答に、エスメラルダは苦笑いをしながらそう返す。
「コントロール、難しいけどね」
アルディアもまた、軽く笑いながらそう返した。
アルディアとエスメラルダがそんなやりとりをしていると、
「……多少、できるみたいだな」
ルビーレッドの身体のソレが、アルディア達を見てそう言う。
そして続けて、
「では、今度は少し、本気を出させてもらおうか!」
そういうと、ソレは口を大きく開き、口内に熱を溜め始めた。
「大技!?」
溜めを始めたソレの様子を見て、警戒を強めるアルディア。
「エメラルドドラゴンと同じ、ブレス系の魔法!?」
エスメラルダも同様に、警戒を強め、攻撃に備える態勢を取る。
「先に攻撃仕掛ける?」
警戒する両者に対し、ルービィはそう言うと両手の拳に炎を纏わせる。
だが、そんなルービィに対し、エスメラルダは、
「やめときなよ。属性の関係もあって、ルーの攻撃、効き悪いから」
とルービィを制止。
アルディアも、
「とりあえず、どんな攻撃かわからないから、回避に専念した方がいいかも……」
と、やんわりと、ルービィの攻撃案を制止した。
「そっか……」
両者に諭され、ルービィは炎を纏っていた拳を解き、ソレを見つめる。
一方、ソレはというと、口内に溜めていた魔力を一定量、溜め終える。
そして、
「侵入者よ、この『ルビードラゴン』の力、その身を以て思い知るがよい!」
そう言うと、溜めていた魔力を熱閃のブレスとして吐き出す。
吐き出された熱閃のブレスは、その名の通り閃光の熱放射としてアルディア達に向かい真っ直ぐに放たれる。
単純な炎よりも強力なその熱閃は、巨大な光線として周囲を溶かしながら、アルディア達に襲い掛かったのであった……。




