第76話
エメラルドドラゴンに乗り、東の大陸から旅立ったアルディア達。
一同は次の目的地、南の大陸へと辿り着いたのであった。
――――南の大陸
「この辺りで良いか?」
砂漠地帯の中で降り立ち、アルディア達にそう言うエメラルドドラゴン。
「砂漠のど真ん中……。もうちょっと町に近寄れない?」
砂漠の中で降り立ったエメラルドドラゴンに、そう言うエスメラルダ。
だが、エメラルドドラゴンは
「町の近くに我が降り立ったら、流石に騒ぎになるだろう?」
と、エスメラルダに答える。
「確かに……」
エメラルドドラゴンの答えに、納得するエスメラルダ。
「では、ここから最寄りの町まで歩くか」
ザフィーアはそう言うとエメラルドドラゴンの背中から降り、日よけのローブを羽織り、水の魔石が入った魔石箱を首から下げた。
そんなザフィーアの様子を見たアルディア、ルービィも同じように日よけローブを羽織り、魔石箱を首から下げた。
「まぁ、頑張って歩きますか~……」
エスメラルダもそう言うと、他三名と同じく準備をし、エメラルドドラゴンの背中から降りた。
「この先、少し歩けば南の大陸唯一の町『ナジューラの街』があるはずだ」
エメラルドドラゴンはそう言うと、町の方向へ首を向ける。
「そこに行けば、何らかの情報は手に入るだろう」
「ありがとう。エメラルドドラゴン」
町の情報を教えてくれたエメラルドドラゴンに、そうお礼を言うアルディア。
「我はしばらく、バベルにてラファエルの奴との戦いの傷を癒やすとしよう。協力できるのはここまでだ。まぁ、無理のないようにな」
エメラルドドラゴンはそう言うと、空へ飛び立つ。
「エメラルドドラゴーン、本当に色々とありがとー!」
飛び立ち、去りゆくエメラルドドラゴンにアルディアはそう声をかけ、大きく両手で手を振るのであった。
ナジューラの街を目指し、砂漠を歩くアルディア達。
日の照った昼間の砂漠は、日よけのローブ、身体冷却用の魔石箱を用意しても厳しいものであった。
「あっつ~~い……」
汗だくになり、猫背の姿勢で歩きながらそう言うルービィ。
「魔石箱があっても、厳しいね……」
エスメラルダも杖で身体を支え、杖を地面に引きずりながら歩いていた。
そんな中、ナジューラの街を目指しながら歩いていると、一同に更なる試練が襲いかかる。
突如、一同の辺り一面の空が少しずつ、砂が飛び交いはじめる。
飛び交う砂の勢いはどんどんと激しさを増し、アルディア達の周囲は砂嵐に見舞われた。
「うそっ! 当然の砂嵐!?」
「さっきまであんなに晴れてたのに」
突然の砂嵐に、足を止め、腕で襲い掛かる砂嵐を防ぎながらそう言うエスメラルダとアルディア。
「このままでは、迂闊に動くのは危険だな……。どこかで避難できる場所は……」
ザフィーアはそう言いながら、飛んでくる砂が目に入らないように目を細めながら、辺りを見渡す。
すると、
「ねぇ、あそこは?」
ザフィーアの横からそう声をかけたのは、ルービィであった。
ルービィは砂嵐の中でうっすらと見える何かを指差し、そう言う。
「なんだろ? あれ?」
ルービィの指差す方を見たエスメラルダは、ザフィーア同様、目を砂から守るよう目を細めながら、指差す景色の先を見る。
「わからんが……このままここで立ち往生するわけにもいかないだろう。とりあえず、行ってみるか」
ザフィーアはそう言うと、ルービィの指差す方へゆっくりと歩みを進める。
ザフィーアが歩みを進めると、アルディア、エスメラルダ、ルービィもザフィーアに続くように、砂嵐の中、うっすらと見えた場所へと歩みを進めたのであった。
砂嵐の中、景色の場所へと近寄った一同。
その場所へと辿り着くと、石造りの遺跡跡のような建造物があった。
「なんだろ? ここ」
建造物を見てそう言うアルディア。
「何かの遺跡かな? って言っても、柱と床だけで、遺跡の跡って感じだけど……」
アルディアの横で、建造物を見たエスメラルダがそう言う。
「あれ? なんか降りる階段がある……」
床を指差しそう言うのはルービィであった。
「地下に通じているのか? ……砂嵐がやむまで避難させてもらおうか」
ルービィの指差す方を見て、ザフィーアはそう言う。
ザフィーアがそう言うと、一同は何も言わず首を縦に振り、地下へ通じていると思われる階段の方へと進み、階段を降り内部へと入っていったのであった。
――――砂漠の遺跡・内部
階段を降り、内部へと入ったアルディア達。
内部に入ると、そこは地上の建造物と同じ造りの床、柱、そして壁が広がっていた。
「砂漠の内部に、こんな場所があったなんてな……」
辺りを見渡し、そう呟くザフィーア。
「相当古そうだけど……。でも造りはかなりしっかりしてるみたい」
エスメラルダも壁を触りながら、そう言う。
「海底城とか、天空宮みたいな、神話時代の物かな?」
内部を見渡すザフィーアとエスメラルダの横から、アルディアは両者に尋ねる。
「かもしれないな」
アルディアの問いかけに、冷静にそう答えるザフィーア。
「ってことは、ここも四柱帝の居城?」
エスメラルダはそう言うと、苦笑いをした。
「今までの傾向からしたら、可能性はあるな」
「南の大陸に来て早速四柱帝? 冗談きついなぁ……」
ザフィーアの言葉に、更に苦笑いをしそう言うエスメラルダ。
「ま、とりあえず進んでみよーよ」
アルディア、ザフィーア、エスメラルダのやりとりを横目に、ルービィはそう言うとどんどんと遺跡の奥へと進んでいく。
「ちょ、ルー。まーた危なっかしいことを……」
奥に進んでいくルービィに、そう言い呆れた様子を見せるエスメラルダ。
「……砂嵐から避難するだけだったのだがな」
「とりあえず、ルーちゃんを追いかけようよ」
アルディアがそう言うと、ザフィーアは
「そうだな」
と言い、アルディアと共にルービィを追って遺跡の奥へと進んでいった。
「ちょ、待ってよ!」
奥へ進んでいくアルディアとザフィーアを見て、エスメラルダはそう言うと、彼もまた三者を追って奥へと進んでいったのだった。
遺跡の内部をどんどん奥へ進んでいく一同。
遺跡内部は上層部と変わらない構造で、砂にまみれた同じような景色が続いていた。
そして、内部はクリーチャーが一切おらず、遺跡内は静寂が続いていた。
「なーんにもないね」
一同の先頭に立ち、奥へ進んでいくルービィがそう言う。
「クリーチャーもいない……。四柱帝の居城でもなかったのかな?」
エスメラルダも、辺りを見渡しながらそう言う。
「まぁ、違うならそれに超したことはないがな」
エスメラルダの言葉を聞いたザフィーアが、軽く笑いながらそう言う。
「ま、それはそう」
ザフィーアの言葉に、エスメラルダも軽く笑いながらそう返した。
そのようなやりとりをしながら、遺跡の奥へと更に進んでいく一同。
一同が進んでいった先には、遺跡と同じ造りの大きな石扉があった。
「扉?」
目の前の扉を見て、首を傾げるアルディア。
「この奥に何かあるのか?」
両腕を組みながら、ザフィーアはそう言う。
「開かないかな?」
ルービィはそう言うと、扉を押してみる。
すると、扉はゆっくりと、左右に分かれて開いたのであった。
「あ、開いた」
あっさりと開いた扉に、扉同様あっさりとした反応をするルービィ。
「元々ロック、かかってなかったのかな?」
開いた扉を見て、エスメラルダが首を傾げ、そう言う。
「ま、開いたんだし先進もーよ」
ルービィはそう言うと、またしても先へと進んでいった。
「ちょ、ルー……。警戒ってのを知らないのかな……」
先に進むルービィを見て、呆れた様子でそう言うエスメラルダ。
「まぁ、とりあえず私たちも進もう」
「そうだね」
ザフィーアがそう言うと、アルディアはそう答え、両者はルービィを追って先へと進む。
そしてエスメラルダも、そんな両者を追って、奥へと進んでいったのであった。
扉の奥へと進んだ一同。
奥も先ほどに比べ薄暗くなっている点以外は、今までと変わらぬ景色が広がっていた。
変わらぬ景色に、気にも留めることなく進んでいった一同。するととある場所に辿り着いた時、突如、どことなく声が聞こえた。
『我が聖域に何をしに来た、侵入者よ!』
「誰!?」
突如聞こえた声に、反応し辺りを見渡すアルディア達。
辺りを見渡していると、ある存在がアルディア達の目に映り込んだ。
それは、ルビーレッドの身体を持ち、背中や肩に赤い宝石のような石が生えている、大型の蜥蜴のような存在であった。
「貴方は……?」
目に映るその存在に、アルディアは思わず言葉を漏らしたのであった。




