ガールズトーク
「マステマさま、どうしてこのようなことをしたのですか」
「ラハブ嬢、よく私を見つけましたね」
二人は城下町に来ている、クリスたちとは鉢合わせなかったようだ。
「なぜと問われれば自分でもよく分からないのよね、うーん……たぶん現時点で今の自分に何ができるか試してみたかったのかも」
マステマはあっけらかんと答えた。
「…………分かる!!分かりますそれ!無力な自分に何ができるか試したいこといっぱいありますもん!」
ラハブは少し警戒を解いてざっくばらんな話を聞きたくなった。
「私が生まれた国は東の方にあって、そこは男尊女卑が非常に酷い文化だった。いつも母に叱られてばかりいたわ。強くなれ、誰にも負けるなって。母は結婚した相手の男性にかなり酷い扱いをされたらしくて、私には男に負けない生き方を押しつけたかったみたい」
「はええ~、そんな国があるんですねえ……」
「まあ、母は厳しかったけど国の悲惨な状況を鑑みればさもありなんという感じかしら」
「お母様からは何かをもらっていないのですか?」
「母からもらったもの……自害用の短刀、それから子守唄」
マステマはそばに置いてあった木箱に乗り、歌い始める。
この歌声が夜明け前に響き渡る
彼は羽ばたき海を越えてくる
彼の目の輝きは澄んでいて
信仰心を燃やしている
避けられない死に向かって歌う……
マステマの歌を聞いているとラハブはなんだかうずうずしてきた。自然と足が踊り出す、まるで鳥になる。
しばらくの時が過ぎ、二人はもう戻れないところまで来てしまった。
あまりにも神に近づき過ぎた。
二人は、波長が高いレベルで共振し、融合を果たしてしまう。
マステマの理想の高さ、現在の自分の足りなさを振り切って思い切り背伸びをしようとした。
それがなぜか神の心に届いた。
悪の部分もはらんではいるが、ある意味純真だったため、神はそれを無視できなかった。
二人は……黒い塔となってしまったのだ。
今この時、この場所でこそ、ようやく分かった。
私はこの世の果てでただ一人踊り続けていたかっただけなんだ。
誰かを助けたいとか、必要とされたいとか、全て誤魔化しだった。
私は生まれた時から私で、全く他のものではなく、こうなるべき存在だったのだ。
マステマさま、巻き込んでごめんなさい。
声が聞こえてくる。
あーあ、せっかく女王陛下を降すことができると思ったのに、全てパアよ。
でもまあ、クリスお義父様の度肝を抜くことはできただろうしこれはこれで悪くないかもしれない。
ラハブ嬢褒めて使わす、よくぞ私の野望を叶えてくれた。なんつって。
これからどうしよっかなあ。
やりたいことがないならさ、私たち食べ物になれないかな。この国の人たちがずっと食べ物に困らないように。
あなたねえ、人肉を人に食わせるつもりなの?……いや、でも今持っている力をうまく使えば何かできるかもしれない。
空気中には肉の元になる物質が含まれていると習った覚えがある。それを私たちの力で圧縮すれば不可能じゃないかもしれない。無実の肉が精製できる。
そして聖女二人からできたタワーからは無限にヤブマメが実るようになった。
天から拍手が鳴り響いてくる。
神々が二人を讃えているのだろう。
二人の魂は今まさに神々の玉座に侍り、深く一礼した。
「ハレルヤ……ハレルヤ……」
「ハレルヤ……ハレルヤ……」
「ハレルヤ……ハレルヤ……」
うーん、まいったなあ、聖女やっといてなんだけど神様とかいまいちピンとこないのよねえ……




