↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敗北者  作者: 松尾樹
48/60

激突!!漢の一騎討ち

カインとマステマは東の国で生まれた、だからカインは自分の故郷の文化を研究したことがある。

おぞましい風俗習慣はあるものの、興味をひくような内容がいくつかあった。


その中の一つに自衛の手段の研究があり、かなり内容が豊富だったのだ。

著名な人物の書いた本に武術が記されており、自衛の技術の研究がそのまま趣味に昇華され、内容や解釈も二代目、三代目へと受け継がれ洗練されていく。


そうした創意工夫の結晶をカインは容易に手に入れられる立場にいた。これこそクリスの養子でいて最も良かったことの一つである。


ただしカインは東の国の剣術の中でも比較的薄暗いものを好んだ。

アサシン部隊や政治の裏側、野盜崩れが使うような剣術だったが自分はクリスと同じようにはなれないし、なりたくもない、反抗心半分、理想半分の心境だった。

しかしその精神性と具体的な技術のバランスは驚くほどカインには馴染んだ。


つまりカインは今回の戦いにおいてクリスの正義の剣と自分の暗黒剣、どちらが上かと問うているのだ。

クリスは剣を構える

「いいだろう、かかってくるがいい」







この刀は母さんが俺のために残してくれたものだ、睚眦(がいさい)という龍のような獣の顔が柄に施してあり、敵を屠るのに必要な殺気をカバーしてくれる。これによってどんな弱虫でも強敵と戦える。


普通の刀が2キロほどあるのに比べて軽量化しており、実質1キロくらいしかない。

それによって可能になる細かな太刀筋は相手の虚をつくのに非常に有利になる。それでいて一撃の斬撃の威力は鋭い切れ味がカバーしている。


こちらは片手剣で左手に持ってクリスは両手で持って構えている、出している足もオーソドックスな左足同士だ。そこまで確認する。


問題は距離感だ、さっき観察したがやはりクリスの剣に比べて少し短い。

となればクリスの刺突に合わせるのは危険だ、鎧を着ていない現状では僕たちはグラディエーターのように刃物に対して無防備な状態で戦闘を強いられる。


クリスが一歩出て両手を振りかぶった、刀ごと体を後方へ逃がす、二の太刀で横一閃になぎ払う、完全に伏せて避ける。


あっぶねー!!開幕でやられたら秘策もなんもないわ。

ということで左手に持って前に突き出してた構えから右手に持ち替えて後方へ刀と手を伸ばす。


「何かを狙っているようだが、それが東の国の剣術なのか?」

「さあ、来てみろよ、パラディン」

「よかろう」


クリスは歩を進めながら✕字に切り下ろす、それをカインは横へ躱す、カインから見て右方向である。

安全圏とみせかけてクリスは横一閃になぎ払う。

カインは伏せながらクリスの左足を横なぎに切る、跳んで躱された!


両者は構え直すが距離が近くなったままだ、少し中へ踏み込まれたと感じたクリスは何となく刺突をした、そこへカインの秘策が発動する。


開いた両手を閉じる勢いで刀を振り刺突をいなす、一回転してくる刀でクリスの腹を切った!

ちょうどカインの胸の前で止まった刀を今度は両手を開く力で横なぎに一閃!同じ辺りをもう一度切り✕字がクリスの腹に描かれる。


「ぐはあっ!」

「クリス殿!」

しめた!今のでクリスの動きはかなり鈍くなった、これで次の手がだいぶ読みやすくなった。


「ククク、なかなかやるな」

「まだ褒めるには早いぜお義父さん」


さりげなく刀を両手で持って右足を前にする構えに切り替えておき、予めクリスの構える剣より内側に少し逃げておく、そのまま近づき、刀をすり抜けさせる。

これは相手の構えている剣をさけて逆方向からまた入れるだけなのだが、肩周りの筋肉をまるで弓をつがえたような状態にすることによって瞬間的に互いの剣の位置を入れ換えることができる。


完全に虚を突かれたクリスは目を潰されてしまう。

「ぐああっ!!」

これで完全決着だ!横なぎに一閃!ニ閃!三閃!四閃!五閃!

これだけ切られたらさすがのクリスももうだめだろう。


カインがダメージを期待してクリスを視認すると何かがおかしい。


「まさか効いていない!?そんなはずは……」


クリスはこれ以上無いくらいに嬉しそうに笑っていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。