聖女任命式2
大慌てでミカエルは女王の間に向かった。
そこで見覚えのある男が見張りをしていた。
「クリス殿!お願いいたします、女王陛下に謁見させていただきたいのです!」
「なにい?それは流石に難しいぞ」
「無理は承知でお願いしているのです、どうしても女王陛下に見ていただきたいものがあるのです!」
クリスは戸惑うばかりであった。
あの己の欲と利益にしか興味の無い男がこんなにも必死に懇願する姿を見せるのである、まさに青天の霹靂であった。
「なぜそこまでする?あの愛人とやらが何か関係あるのか?」
「彼女を引き取った時は確かに下心からでした、しかし彼女の本当の魅力を知ってからはそのような気持ちでは接しておりません。誓って言います、彼女は純潔なままであります」
「それは誠か?」
「ええ、少なくともわしと姦通したという事実はありません、もし彼女が処女でなければわしを処刑にしてくれていい、今一度精査していただきたい!」
クリスはとうとう困ってしまった。自分はどうするべきか分からなくなったのだ。
「面白い話をしているではないか」
「女王陛下!?」
「もしそなたの愛人が処女でなければ処刑を受けると言ったな?」
「はい……もしも彼女が処女でなければわしは処刑を受け入れます」
「そなたの愛人は今どこにおる?」
「おそらく、中庭でございます」
「中庭!?このような大雨の中そなたの愛人は一人で何をやっておるのだ?」
女王を連れて中庭を探索すると案の定ラハブが舞踏を始めていた。
クリスも女王もポカンとしている、自分たちは屋根のある場所から彼女の姿を見ているが、彼女は全身に雨を受けながら踊っている。
彼女の動きは非常に妖艶でありながらいやらしくは感じなかった。
「(そなたの愛人は一体何をしているのだ?)」
「(舞踏にございます!)」
「(それは分かっている、分かっているが謎だ)」
「(神に生きる喜びを語っておるのです)」
「(なんだと?今までの努力を無かったことにされた直後にか?)」
「(そうです、彼女は今神と対話しておるのです、もはや先程のことすら忘れております)」
クリスは本気で引いている、当たり前だ、わしだっていつも驚かされる。
「(女王陛下、約束してくださいますな、彼女を聖女にするべきかどうかの精査をもう一度してくれると)」
「(あ、ああ……というかこれはあれだな、心底惚れてしまったようだ)」
「((えええ!!?))」
クリスとミカエルはそろって驚いた。




