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地獄
「神よ!」「神よ!」
ラハブはなぜか山賊たちに神と崇められていた。
「神よ!供物です」
真っ赤なスープを渡された、トマトにしては生臭い。材料は……ラハブはそれ以上考えることをやめた。
目玉のようなものが器の底に見えた気がしたが気のせいだ、スープを掬って飲もうとするとなにか金属のようなものが口に入った。
金属の歯である、それは父親の義歯であった。
畏れが込み上げてくる、絶叫したくなる気持ちをおさえた。この時彼女の心の中の重要な部分がいくつか壊れた。
「神よ!踊りをお願いします」
頼まれればラハブは舞った、舞っている時は恐怖を忘れられた。
「神よ!」「神よ!」「神よ!」
一ヶ月ほどこの洞窟のアジトで過ごすのだが、ラハブは何も覚えていない。
王宮の騎士団によって山賊たちは討伐されたそうだ。
最後まで踊りを所望されていたような気がするが記憶が定かではない。それに忘れてしまいたい。
気がついたらいつの間にか保護されていて、なぜか後見人にはいつもうちに商談を持ちかけてくる商人のミカエルさんがなってくれていた。




