本物の龍殺し
30分ほど前、一時解散したクリスは家でハーブティーを飲んでくつろいでいた。
その時家の外で「ドオオオン!!」と大きな音がした。
「なんだなんだ!?何が起きた?」
すぐにクリスは天使を何人か呼ぶ。
「ラミエル!ハニエル!ザフキエル!」
「呼んだかクリス」
「ちょっと家の外を見て回る!野生動物かもしれん」
クリスが外へ出て確認すると上半身裸の巨漢が立っていた。
身長はおそらく2メートルを優に越している。
地面は柔らかい目であるがそれを勘定しても足が沈み過ぎている、体重が重すぎるのだろう。なのにあの膨らんだ腹は脂肪ではなく筋肉だと分かる。
クリスが声を出せないでいると、その男は口を動かした。
「龍がどこにいるか知っているか?」
クリスは一瞬何を言われたか分からなかったが、思考して目的が自分に似ていることに気がつき、同志なのかと思った。だからつい友好的に話してしまった。
「あなたも龍を倒したいと思っているんですね!?僕も……」
二の句を告げる前に男が喋った。
「龍を絶滅させる……」
クリスは明らかに自分とは異質なものを感じた、確かに自分は龍を殺そうと思ってはいるが、この男のように憎悪のような感情ではない。もっと楽観的で楽しい出会いに近いものを望んでいる。
「龍の居場所を知っているのか?」
「今はまだ知りません、ですが見つかったとしても、あなたには教えられません!」
「ほう、それはなぜだ」
「それは、龍は僕の獲物だからだ、あんたには、渡せない!」
「勝手にしろ、見つけた方が先に龍を殺す、それだけだ」
「……」
その時転送陣からカンナヅキたちがこちらに送られてきた。
「カンナヅキくん!まずい、来るな!」
リリスは人間の姿をしているが、大鵬王は一度取り憑かれているため龍の気配と言うものを知っている。
大鵬王はリリスとルシファーにロックオンをした。
次の瞬間大鵬王は消えた、2メートルを超す大男がまるでネズミやウサギのように視界から消えたのだ。
そして次に姿を見た時は、リリスとルシファーは脱落していた。木っ端微塵だった。
「お前は一体何者だ?龍かと思って軽く殴ったが拳が弾き返された」
「僕はカンナヅキ、植物学者だ」
「なるほど、人間か。それにしては何か懐かしいような……まあいい、邪魔をするわけでないなら殺す必要はないな」
「いいや、そっちに無くてもこっちにはあるんだよ、お前舐めてんのか……」
カンナヅキはカッパパンチで大鵬王の腹に一発入れた。
「こっちはとっくにブチ切れてんだ!どっちかが倒れるまでしばき合いに決まってんだろ」
「えええええ!!ダメだよカンナヅキくん、逃げようよ!」
「クリス、もしも龍に会えた時に同じことを言う気か?強くなるまで待ってもらって、次に会うときにはあいつが龍を先に持ってっちまった後だ、そうなりゃ君はフラれた男、そんなんダサいと思わないか?」
クリスはハッとした。
「その通りだよ、カンナヅキくん!龍より先にあいつを倒そう!」
「ドアホ!!」
アマテラスさまが空から飛んできて二人をさらって行った……




