進捗報告
依頼の進捗状況を報告するため転送陣のある場所まで帰り、一旦アマテラス大神宮へ戻った。
「とりあえず、火凶の「みかえる」金凶の「けるべろす」木凶の「らどん」の退治まで済ませました」
「思ったより早かったな」
「トヨウケさまに道案内までしていただいたので全く迷わずに辿りつきました」
「トヨウケヒメもなかなか贔屓しよるわ」
コホンと咳払いして僕は気を取り直し、嘆願する。
「それはさておき、リリスを連れて行きたいのですが問題ありませんか」
「ほう、体こそスサノオから分かれた身じゃが中身は全く別の概念から来ておる魂じゃから何の問題もないぞ」
「それでは遠慮なく連れて行きますね」
「反対はせんが理由が聞きたい、何故やつを連れて行くのか」
「実はですね……」
その時外から声が響く。
「イツキです、失礼いたします」
「入れ」
イツキさまとヒルコが部屋に入ってきた。
「おお、少しは楽しめたかカンナヅキよ」
「ええ、ヒルコさまもお人が悪い」
「まああの地域では13歳になる時にイニシエーションとしてみんなやるのよ」
「えええ……僕がやる意味あったんですか?」
「それはもちろんあるわよ、だってあなたは元々西の国の出身者なんだから」
「え?僕が西の国出身?」
「南の国に移住したのはだいぶ昔のことよ、生まれてすぐはしばらく西の国にいたのよ」
「それは初耳でした」
アマテラスさまが口をはさむ。
「どちらにせよ、お主にはいつか西の国にてやってもらいたいことがある」
「僕にやってもらいたいこと?」
「そうだ、お前の父である大鵬王が西の国で目撃されたという情報があるのだ」
「僕の父?……なんかピンと来ないんですが」
「うむ、知らないのも仕方はない、そもそも記憶が無いのだからな。それより重要なのが、やつはタヂカラオの全盛期より更に強い、タヂカラオは大昔に膝に矢を受けてから弱体化してしまっているが、大鵬王は弱くなる前のタヂカラオよりもフィジカル面が上なのだ」
「タヂカラオさまより……」
「世界最強の力士、破滅の天使、大海蛇……様々な呼ばれ方をしているが、確かなのは素手で軍隊並みの戦力を持っているということ」
「そんな人に僕をぶつけるというんですか!?」
「そうだ」
カンナヅキはわなわなとして全身を震わしている。
「わ、わくわくしてきた!僕の知識欲が涎を流している!」
「うむ!そうじゃろう、あとはよろしくな!」
「任せてください!」
イツキもヒルコも感心している。
「流石は実の姉……」
カンナヅキは気を取り直して、説明する。
「実はクリス三世とコンタクトを取ることに成功しまして、現在行動を共にしております」
「なんと!」
「しかも意気投合しまして話してみたところ、リリスと和解ができそうだと判断したのです」
「なるほどな、西の国はなにやら複雑な問題を抱えておるのだな」
「ええ、クロス教は元々龍を信仰していたらしいんです、それがなぜか龍を迫害する側になっていると」
「あいわかった、引き続き調査をたのむ」
「はい、では失礼いたします」
ぺこりと頭を下げて退室する。
そこからそのままエデンアイランドへ直行する。
リリスが出迎えてくれた。
「なかなか早いお帰りですね、何かありましたか?」
「うん、実はクリス三世とコンタクトを取ることに成功してな……」
リリスは神妙な顔になって聞き返す。
「今、なんと…」
「クリス三世と知り合いになったよ」
「クリスの子孫ですか……わかりました、ただしちゃんと分身を終了させてからでもいいですか?」
「そうだね、不便だしきちんと分けてしまおっか」
ヤマトアイランドに置きっぱなしのヤマタノヒドラの切れっぱしを集めに行く。
切れっぱしはいくつかあるが、現状ではスサノオ、ルシファー、リリスの分で2つ足せば十分だろう。
主人格のスサノオがまず現れて、2つの切れっぱしに触れるとだんだんヒトガタになってきた。
人は土からできたかもしれないが、龍はやはり植物からだ。
「おお……動く、やはり自分の身体があるというのはいいものだな」
ルシファーがぐっぱっと手を握ったり開いたりしている。
その時急に誰かが現れた、トヨウケさまだった。
「カンナヅキ!今はまだ西の国に転送しないでください!」
「トヨウケさま!?どうしましたか」
トヨウケヒメは少し間を置いて深刻そうに告げる。
「西の国の転送陣のそばに大鵬王が現れました」




