天狗
結局クリスくんには包み隠さず全て打ち明けることになった。
「なるほど…外の世界には龍がまだいたんだね」
「クリスくんは龍を知ってるんだ」
「うん、これは言っておくべきか。僕はね、正確には三代目クリス。祖父である初代クリスはクロス教創設者だ」
「えええ!」
「今でこそ世界中の龍を倒して侵略している悪名ばかりが有名だが、元々クロス教は博愛主義の宗教だったんだ」
「そうなんだ!」
「そりゃ祖父自身信者達にはめられて奴隷落ちさせられたり色んな罪を着せられたりしたんだ、その上で聖者と呼ばれるに至ってようやく設立となったクロス教を……次の代で奪われてしまった……」
「人間とは一体……」
「まあ慣れっこさ、それよりクロス教を奪われた時に頼りにしていた最後の龍も幽閉されてしまったんだ」
「西の国にもまだ龍がいた?」
「2匹の龍が交差するところからクロス教と命名されたのさ」
「クロス教の中心にいたのが龍たち?それじゃ現在のクロス教の中心になっているのはなんなの?」
「……それは謎で僕も追い出される時に司教に詰めたが何も教えてもらえなかった」
「何かにおうな」
「カンナヅキくんはここには何をしに来たの?」
「う~ん、色々あるけどまずはクエストだよ、実は知り合いから頼み事を引き受けてて…かくかくしかじか……」
「火凶のみかえる、金凶のけるべろす、木凶のらどん、水凶のヒルコだね」
「退治してくれって話だけどそもそも依頼主が水凶のヒルコさんなんですわ」
「ふむ、面白そう…それに火凶の「みかえる」なら知ってる」
「まじか!」
「なにかとつっかかってくる赤い天使だよ、我が強いからすごく目立つし、ここいらではちょっとした有名人さ」
その時背後から待ったがはいった。
「おっと!それ以上のおしゃべりは許さん!」
声のする方には全身真っ赤な肌の筋肉隆々な天使がいた。首がなくて胸辺りに大きな目が1つ、極端に背の低いちんちくりんな容姿だった。
「天狗がこの文明にもいたのか…」
「ん?テングとはなんだ?」
「テングはこの地域の言葉で表すなら、スカイ ドッグ……かな?」
「なに!犬だと!!」
赤い天使は怒ったまま嘲笑う。
「ハァッハッハ、ならばお望み通り本物の犬を見せてやろう!まあ犬は犬でも……けるべろすだがな!」
「しまった!犬神を使うのか!」
「ん?犬神とはなんだ?」
「えーと、ドッグ ジーザス?」
「許さん!やはり殺す!」
「カンナヅキくん!これで「みかえる」と「けるべろす」には会えたな!」
「一体ずつ会いたかったけどね!」
三頭の大型犬がこちらに向かって来た時、こちら側の背後からも誰かがぬっと出てきた。
チリンチリンと鈴の音が聞こえる…
それはなんとトヨウケヒメさまだった!
「今回は特別です…」
大地の女神さまが鈴を鳴らすとバッタバタとけるべろすたちは眠りにつく…
「何者だ貴様!」
「天使とやらは口の利き方も知らないのですか」
大地の女神様は手を地面にかざして唱えた。
「おおかみ……」
地面が割れて底なしの穴が広がった。




