コンプレックス1
二柱の神はかなり落ち込んでいた。
「何だったんですかあれは?」
「イツキが連れてきた人間ということだけわかっている」
そこで後ろから僕がやって来たというわけだ。
「あ、大丈夫でしたかね〜?」
「「気遣うな!!」」
ビクッ!
「申し訳ありません……」
「いや、かしこまらなくてよい、しかし貴殿のあの動きは一体なんだったのだ?」
「ああ!あれはですね、イツキさまからもらったラーニング能力と一緒にいる龍神が教えてくれたものを合わせたんです」
「「…………んんん!?」」
「クスノキとか藤とか強い樹木には遺伝子の中に闘いの記録がたくさん保存されているんですよ。龍神が読み取って人間の闘いでも使えるものを教えてくれたんですよ」
「龍神……遺伝子情報……」
「スサノオさま」
「ああ、そういうことか」
何かいきなり二柱の神さまの態度が軟化した。
「ここは家だと思って気楽にしてください」
「……お前、名前は?」
「僕はカンナヅキといいます」
二柱の神さまは顔を見合わせる。
「神無月……神の不在か…」
スサノオさまの方がなんか泣き出した。
「人間の世界は生きにくかっただろう?」
「そうなんです!河童の子孫って浮いちゃうし……」
あの人間の正体は間違いなく兄上だろう、タヂカラオも同じ結論に至っていた。
昔からの変人ぶりは人間になっても健在だった。
植物研究が高じて武術の技に精通するなど聞いたこともない。
霊格が高すぎて人間の世界はさぞかし不便だっただろうな。
加えてあの有能さだ、火の神と同じく忌み子としての扱いを受けていた可能性が高い。能力の高すぎる人間は時代が必要とするまで雌伏の時を過ごさねばならないのだ。
兄上は昔からなんでもできた、できすぎる兄だ、おれは自分が無力でいつも壊れてしまいたいと思っていた。
「なのに」
〈お前がいたからおれはおれでいられた〉だと。




