おれさま
用事も終わったし僕はニライアイランドに入ろうと思った。そこでフッと辺りが暗くなる、太陽に日食が起こったようだ。それでいて様子がおかしい、あまりにも暗い。
何か大いなる闇が迫ってくる。
「大変よ〜!」
水の女神さまが走ってきた。
「どしたん?」
「弟の破壊神さまがご機嫌すぎたせいで太陽神さまがストレスの限界になってしまわれたの、療養のために引き篭もられたわ」
「ええ……引き篭もりは僕の専売特許だよう」
「太陽神さまがお出でになるまでニライアイランドは使用不能よ」
「そうですか……」
最悪だ、水がやれないとあんな常夏の空間のものなんて一日で枯れるよ。
「とりあえずもっかいついてきて!」
「…………仰せのままに」
この時の僕は青白い顔をしていただろう。なんとかセリフを絞り出しただけで足が前へ歩こうとしてくれない。
太陽神さまのお部屋とはまた違った狂気のお部屋に辿り着いた。
「入りたくねえ……」
「了解したからには文句言わないの……」
部屋の中から何やら独り言が聞こえてきた。
「おれは常におれを超えていく、だからこそおれはおれなんだ、だから世界はおれだけを見るべきだしおれ以外に価値のあるものがあるはずがない」
「…………どういう意味?」
僕は神さま相手についつっこみをしてしまった。
「ああもうわからないかな、おれはおれが思うがゆえに存在し、おれが思わないところに世界は存在せずおれが世界を観察している時だけ世界は存在するんだ」
大地の女神が要約する。
「破壊神さまは最近西の方で流行っている自我という概念にご執心なのです」
あああれか、哲学とかいうゴミだな。わざわざ自分を分解して検証していく無価値な学問だ。あれほんとになんの役に立つんだ?
「弟君さまの様子をご覧になって太陽神さまは大層心を痛められ引き込もられてしまわれたのです」
「しょっちゅう引き込もられてたらたまったもんじゃないな」
「そこでです、格闘技大会やダンスイベントを行って太陽神さまに楽しんでいただこうと思うのです、ただ人員が不足しておりまして、どうか参加してはいただけませんか?」
というわけだ。




